雲鷹 (空母)
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雲鷹(うんよう)とは、日本海軍の護衛空母(大鷹型航空母艦)。
日本郵船所有の客船「八幡丸」を改装し、航空母艦としたもの。八幡丸は日本海軍の優秀船舶助成を受けており、有事には徴用・改装されることがあらかじめ決められていた。
八幡丸は、当時好況を博していた欧州航路の老齢船を置き換える目的で日本郵船が建造した豪華客船新田丸級三姉妹船の第2船として誕生した。新田丸級三姉妹船(新田丸、八幡丸、春日丸)は、日本郵船を象徴する客船であり、日本郵船株式会社のイニシャルNYKに因んでそれぞれNittamaru, Yawatamaru, Kasugamaruと命名されている。竣工後は太平洋航路に就役したが、1941年に海軍が徴用・購入を行い、空母に改装された。1942年に空母として竣工している。低速・小型であるため、前線での戦闘任務には付けられず、戦争前半においては航空機輸送任務に従事した。
1944年1月に航空機輸送任務中にアメリカの潜水艦ハドック(SS231)の雷撃を受け、その後、横須賀で修理を受けるが、その際に新型機用に着艦装置が更新されている。1944年8月より船団護衛任務につくが、9月17日にはアメリカ潜水艦の雷撃により、短い生涯を終えた。
[編集] 要目
- 最大速力 21ノット
- 排水量20,000t
- 機関出力25,200hp
- 航空機27機
- 12センチ単装高角砲6基
- 25mm三連装機銃10基
- 乗員747人
[編集] 年表
- 1938年12月14日 三菱長崎造船所で起工。
- 1939年10月31日 進水。
- 1940年 7月31日 客船・八幡丸として竣工
- 1941年11月 5日 徴用決定。
- 1942年 1月21日 呉にて改装工事開始。
- 1942年 5月31日 特設航空母艦・八幡丸として竣工。
- 1942年 8月31日 雲鷹に改名。これ以降、南方方面への航空機輸送任務に就く。
- 1944年 1月19日 サイパン島近海でアメリカの潜水艦ハドック(SS231)の雷撃により、二本被雷。
- 1944年 2月 8日 横須賀に帰投。ドック入りし、船体の修理及び高角機銃の増備を行う。
- 1944年 8月12日 修理完了。横須賀出港。
- 1944年 9月17日 ヒ74船団の護衛任務中にアメリカ潜水艦バーブ(SS220)の雷撃を受け、二本被雷、沈没。