道徳の時間

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道徳の時間（どうとくのじかん）とは、道徳教育のために特設された小学校及び中学校の教育課程の一領域である。

道徳の時間は、「愛国心」の涵養を徹底するための方策として、1958年の小学校・中学校学習指導要領の改訂の際に設けられたものである。学校における道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて行うことが基本であるが、道徳の時間は、各教科、特別活動および総合学習の時間における道徳教育を補充し、深化し、統合するものであり、その意味では学校における道徳教育の「かなめ」とされている。小学校・中学校とも週1単位時間をあて、原則として学級担任が指導する。

1998年に改訂された小学校・中学校の学習指導要領は、道徳の時間を「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念」、さらには「未来を拓く主体性のある日本人」という言葉に示される道徳教育を目標とし、この時間を小学校1･2年、3･4年、5･6年、中学校というように学年段階別に挙げている。それらの内容をもとに各学校では「道徳教育の全体計画」と「道徳の時間の年間指導計画」を作成し、道徳の副読本その他の読み物資料、テレビ放送などを教材としながら、道徳的諸価値の内面化を図る。児童生徒の体験活動を生かすなど、指導方法の多様化が求められている。

しかし、道徳の時間については、1958年に特設されてから、徳目主義などの点で批判がある。対立する価値の比較や選択を自主的に行う能力を育成するという視点の欠如、普遍的と称してその実態は個々の徳目に埋め込まれた恣意的な価値方向性、言葉と行為との乖離などが問題として挙げられている。