趙匡胤

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趙匡胤（ちょうきょういん、927年（後唐天成2年） - 976年 11月14日（開宝9年10月20日））は、中国の宋朝の創始者で初代皇帝（在位：960年-976年）。廟号は、太祖（たいそ）。河北省固安県の人。父は後唐禁軍の将官・趙弘殷（宣祖）。母は杜氏。

趙匡胤

彼は後周の世宗の配下となり殿前都点検（近衛軍長官）となった。世宗は名君として知られたが、その後継者となったのはわずか7歳の恭帝であった。戦乱の時代の幼君に不安を持った軍人達は自分達の頭領である趙匡胤が権力を握る事を望み、趙匡胤が深酒をして酔い潰れた隙に強引に擁立してしまった（陳橋の変）。周りの声に押された趙匡胤は開封に戻り、恭帝から禅譲を受け皇帝となり国号を宋とした。

976年、天下統一を目指し他の国を征服し呉越、北漢を残した所で統一前に50歳で急死した。その死因については、弟の太宗により殺害されたという説（千載不決の議）もあるが、宮崎市定等の一部の研究者からは、生前の太祖は、陳橋の変の時に見られるように非常な大酒飲みであったとする記録等から、脳溢血等の疾患による急死だったのではないかと指摘する声もある。

戦乱が続いた五代十国時代の反省を受け、趙匡胤は軍人の力をそぐ事に腐心した。唐代から戦乱の原因になっていた節度使の力を少しづつ削いでいき最後には単なる名誉職にした。この時強引に力で押さえつけるような事をせず辛抱強い話し合いの末に行った。趙匡胤の政治は万事がこのやり方で無理押しをせず血生臭さを嫌った。また科挙を改善し殿試を行い始め、軍人の上に官吏が立つ文治主義を確立した。科挙が実質的に機能し始めたのは宋代からと言われる。ただ、趙匡胤の布いた文民統制政策はその後、代を経るごとに極端に強化され、そのことが軍事力の低下と官僚間の派閥争いを激化させる要因となり、北宋および南宋の弱体化と滅亡の要因となったことは否めない。

趙匡胤は自身が軍人であったにも拘らず文治主義を勧め唐末以来の戦乱の時代に終止符を打った。他の建国の皇帝たちはほとんど例外無く滅ぼした国の君主達を殺して、後の憂いをなくそうとしたのに対して、趙匡胤は後周の柴氏を初め降伏した国の君主達を生かして、その後も貴族としての地位を保たせている。柴氏は300年に渡って家が保たれ（水滸伝に登場する侠客で後周皇室の子孫・柴進の設定はこの一事にヒントを得たものであろう）、士大夫は朝廷において活発に議論をした。

また、小説『飛龍伝』の主人公としても知られる。

趙匡胤は中国歴代皇帝の中でも評価が高い名君の中の名君である。

[編集] 石刻遺訓

太祖趙匡胤が石（鉄という説もあり）に刻んで子孫に伝えた遺言で、宋朝の皇帝が即位するさい、必ずこれを拝み見ることが慣わしとなっていた。ただし、その存在は秘中の秘とされ、ごく一部の宮中の人間にのみ伝えられた以外は、宰相ですら知らなかったという。金軍の侵入で王宮が占領されたさいに発見され、初めてその存在が明るみになった。そこに刻まれていた遺訓の内容は以下の二条である。

・趙匡胤に皇位を譲った紫氏一族を子々孫々に渡って面倒をみること。

・言論を理由に士大夫（官僚/知識人）を殺してはならない。

この2つの遺訓が歴代の宋王朝の皇帝たちによって守られたことは、紫氏の子孫が南宋滅亡のさいに運命をともにしたこと、政争で敗れた官僚や諫言で皇帝の不興を買った臣下であっても処刑されず、最高刑が遠島だったことが証明している。趙匡胤の優れた人間性が後の宋王朝の政治に反映されたことをこの【石刻遺訓】は物語っている。