補助機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

補助機関車（ほじょきかんしゃ）とは、鉄道において列車の運転の補助のために連結される機関車のことで、略して補機（ほき）ともいう。

牽引力を増すために2両以上の機関車で牽引する場合の2両目以降の機関車や、急勾配区間などで、その区間を上り下りするための補助をする機関車のことをいう。なお、補機に補助されて先頭で列車を牽引する機関車のことを本務機関車（ほんむきかんしゃ。本務機）という。また、機関車が牽引する客車列車や貨物列車ばかりでなく、電車や気動車による列車であっても補機が連結される場合がある。

補機は連結位置により、列車の前方に連結される機関車を前部補機（前補機）、列車の後方に連結される機関車を後部補機（後補機）と呼ぶ。補機が列車の前部に連結されるのか、後部に連結されるのかについては、列車が運転される鉄道路線の事情や機関車の性能（機能）によって異なる。

[編集] 運転

2両以上の動力車が連結されるので、両車の間で協調運転が行われる。蒸気機関車時代はその機能上それぞれの機関車に運転士が乗り込み、汽笛等の合図により一斉操作するなど手動で協調運転を行っていたが、電気機関車やディーゼル機関車では、2両以上の機関車を一括制御する機能（重連総括制御装置）を備えたものがあり、この場合は本務機のみに運転士が乗務し、機関車間に制御回路を引き通す必要があることから、列車の前部または後部に一括して連結される。補機専用機関車の中には、碓氷峠のEF63形のように電車と協調運転を行うことができたものもあった。

補機の連結解放は、基本的に駅などの停車場に停車して行われるが、解放に関しては、それに要する時間を節約するため、列車の走行中に連結器の解放錠を操作のうえ、補機のみが減速して解放を行う、走行中解放を行うことがある。システム的にあまり難しくないこともあって、古くからこうした事例は多い。日本においては、特急「燕」の運転開始にあたり、箱根越え（現在の御殿場線）の勾配区間で連結される補機を、御殿場駅構内で走行中に解放を行ったなどの事例があり、山陽本線の八本松～瀬野間（通称：瀬野八）では、2002年（平成14年）3月まで、EF67形が八本松駅構内で走行中解放を行っていた。

[編集] 補機専用機

本務機との間で協調運転を行うため、補機も本務機と同じ性能を持った機関車が当てられることが多く、異形式や異車種による重連運転はむしろ特殊であるといってよい。特定の区間で補機として運用される機関車であっても、在来形式に補機運用に必要な装備を付加して使用する例が多く、補機専用形式が充当される例は多くない。日本においては、電気機関車にその例があるのみで、いずれも使用線区に特化した装備を備えている。

日本で使用されている（使用された）補機専用形式（区分番台）を記す。