甲陽学院中学校・高等学校
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
甲陽学院中学校・高等学校（こうようがくいんちゅうがっこう・こうとうがっこう）は、兵庫県西宮市にある私立中学校・高等学校。中高一貫教育を行っているが、中高の所在地は異なっている（高校からの編入あり）。学校法人辰馬育英会（白鹿グループ）が運営する。灘中学校・高等学校と並び、阪神間の老舗進学校。
目次 |
[編集] 学院沿革
- 1917年（大正6年）2月6日 甲子園に伊賀駒吉郎氏の私立甲陽中学が設立される。
- 1920年（大正9年）3月6日 灘の酒造家・辰馬家の援助を得て創設された財団法人辰馬学院甲陽中学校に始まる。
- 1923年（大正12年）8月 第9回全国中等学校優勝野球大会（現:夏の高校野球）優勝。
- 1940年（昭和15年）3月 皇紀2600年奉祝記念事業として、専門学校令による甲陽高等商業学校を新設（後、工業専門学校に転じ、戦後廃校）。
- 1947年（昭和22年）4月1日 学制改革により、甲陽学院中学部を香櫨園に新設。
- 1948年（昭和23年）4月1日 旧甲陽中学校は甲陽高等学校となる。
- 1950年（昭和25年）1月1日 甲陽学院中学部を甲陽学院中学校、甲陽高等学校を甲陽学院高等学校に改称。
- 1978年（昭和53年）4月 甲子園の地が騒音公害などで教育環境が次第に悪化したため高等学校のみを西宮市苦楽園地区角石町に新築し、移転した。
- 1993年（平成5年）8月 中学校に従来の校舎の東側に新校舎竣工。旧校舎は改築の上、講堂・芸術棟及び記念塔として使用している。
- 2006年（平成18年）4月 中学校の募集定員を165人から約180人に変更し、55人3クラス制から40人前後の5クラス制へと変更。なお、この変更により40人前後5クラスでの最初の学年が高校へ進学する年から高校入試は廃止されることとなる。
卒業生は創立以来、16,000名余りに上っている。
[編集] 学校行事
中学校と高等学校の位置が違うため行事は中高で異なっている。
- 4月：入学式、始業式、校外学習、創立記念音楽会（29日）、
- 5月：体育祭（高校）、中間考査
- 6月：修学旅行（高2・北海道）、体育祭（中学）
- 7月：学期末考査、終業式、夏期講習、四国合宿（中1）、信州合宿（中2）、英国語学研修（中3）
- 9月：始業式、音楽と展覧の会（文化祭・23日・高校）、甲関戦（中学）
- 10月：中間考査
- 11月：音楽と展覧の会（文化祭・3日・中学）
- 12月：学期末考査、終業式
- 1月：始業式、中学校入試考査
- 2月：高校入試、耐寒登山（高校）、卒業式（高校）、スキー訓練（中3）
- 3月：学年末考査、終業式、卒業式（中学）
[編集] 学院概説
[編集] 設立趣旨
古人曰く、一年の計は穀を植うるにあり、十年の計は木を植うるにあり、百年の計は人を植うるにありと。天下の英才を教育して、各其の天稟を發揮せしめ、光彩陸離百花爛漫の偉観を現出するは、啻に國家百年の大計たるのみならず、人生の快事之れより大なるは無かる可し云々。
[編集] 教育方針
本学院は、気品高く教養豊かな有為な人材を養成することを目的とし、将来大学で学ぶ者のために充分な学力と体力とを錬磨するとともに中学校・高等学校は、人格完成にも品性陶冶にも極めて大切な段階にある点に鑑み、情操教育を重視し、特に規律の励行、礼儀作法の実践体得を旨としている。
[編集] 学校生活
生徒の年齢相応の環境と設備を整えた上で、一層実りの多い中高六ヶ年一貫教育を行うために中学校と高等学校を別々に設置している。高等学校からの編入（45名）あり。十分に配慮された教育課程のもと、日々の学校生活を通じて勤勉努力の風を体得すべく、特に中学校では、学力・体力の基礎づくり、高等学校では、自主性・創造性を重視している。生徒は、明朗・溌溂・無邪気の自由な校風の中で、クラブや行事の自主的運営によって個人の個性を生かし、教養と趣味の向上、体力と精神力の錬磨に励んでいる。
[編集] 出身者
[編集] 財界・経済界
- 原清 - 朝日放送元社長、大正15年卒、故人
- 山口興一 - 関西テレビ放送元社長、昭和2年卒
- 建内保興 - 日本石油元社長、昭和8年卒
- 平田豊 - ユニチカ元社長、昭和18年卒
- 山岡淳男 - ヤンマー会長、昭和18年卒
- 八木頼夫 - 八木通商取締役、昭和25年卒
- 井上亮一 - レンゴー会長、昭和29年卒
- 菅谷定彦 - テレビ東京社長、昭和32年卒
- 細田純一郎 - きんでん副社長、昭和32年卒
- 田淵輝久 - 田淵電機社長、昭和35年卒
- 澤田靖士 - 新日本製鉄副社長、昭和36年卒
- 辻卓史 - 鴻池運輸会長、昭和36年卒
- 藤本勝司 - 日本板硝子社長、昭和37年卒
- 千草宗一郎 - 関西テレビ放送社長、昭和38年卒
- 内藤誠二郎 - 内藤証券社長、昭和38年卒
- 佐治信忠 - サントリー社長、昭和39年卒
- 西村貞一 - サクラクレパス社長、昭和39年卒
- 黒田章裕 - コクヨ社長、昭和43年卒
- 西和彦 - アスキー特別顧問、情報学博士他、昭和49年卒
- 鈴木尚 - スクウェア元社長、昭和55年卒
- 篠崎一浩 - 篠崎倉庫社長、昭和56年卒
- 久義裕 - 久金属工業取締役、ベンチャーキャピタリスト、昭和56年卒
- 後藤玄利 - ケンコーコム社長、昭和60年卒
[編集] 大学教員
- 花房秀三郎 - 大阪バイオサイエンス研究所名誉所長、昭和23年卒
- 池上吉蔵 - 甲南学園前理事長、昭和27年卒
- 豊下楢彦 - 関西学院大学教授、昭和38年卒
- 田中健一郎 - 広島大学理学研究科教授、昭和39年卒
- 秋山哲郎 - 京都芸術大学教授、昭和39年卒
- 山根久和 - 東京大学生物生産工学研究センター教授
- 桂利行 - 東京大学教授、昭和42年卒
- 柴田直 - 東京大学教授、昭和42年卒
- 杉原薫 - 京都大学教授、前ロンドン大学教授、昭和42年卒
- 今田高俊 - 社会学者、東京工業大学教授、昭和42年卒
- 笠谷和比古 - 国際日本文化研究センター教授、昭和43年卒
- 宇野隆夫 - 国際日本文化研究センター教授、昭和43年卒
- 西田正吾 - 大阪大学基礎工学部長、昭和45年卒
- 深田吉孝 - 東京大学教授、昭和49年卒
- 岩坪威 - 東京大学教授、昭和53年卒
- 野上和裕 - 東京都立大学教授、昭和54年卒
- 中西寛 - 政治学者、京都大学教授、昭和56年卒
- 白石忠志 - 東京大学大学院法学政治学研究科教授、昭和58年卒
- 藤田友敬 - 東京大学大学院法学政治学研究科教授、昭和58年卒
[編集] 専門学校教員
[編集] 小・中・高校教員
[編集] 医師・病院
- 北村惣一郎 - 国立循環器病センター総長、昭和34年卒
[編集] 専門職
- 畑谷嘉宏 - 弁護士、昭和39年卒
- 仁科義昌 - 弁護士、昭和39年卒
- 高垣宗次郎 - 公認会計士、昭和39年卒
- 野口善国 - 弁護士、昭和40年卒
- 岩田元男 - 公認会計士、昭和43年卒
- 高村隆司 - 弁護士、昭和43年卒
- 安井育郎 - 建築家、昭和43年卒
- 辰野久夫 - 弁護士、昭和45年卒
- 赤羽貴 - 弁護士、昭和56年卒
[編集] 文化・芸能・スポーツ
- 別当薫 - 元プロ野球選手・監督、野球殿堂入り、昭和14年卒、故人
- 木谷恭介 - 作家、昭和20年卒
- 五十嵐喜芳 - テノール歌手、昭和20年卒
- 吉田文雀 - 文楽技芸員、人間国宝、昭和22年卒
- 柄谷行人 - 文芸評論家、昭和35年卒
- 田中和人 - 陶芸家、昭和39年卒
- 麻生香太郎 - 作詞家、昭和46年卒
- 河内厚郎 - 文化プロデューサー、昭和46年卒
- 村上たかし - 漫画家、昭和59年卒
- 上田慶行 - 朝日放送アナウンサー、昭和61年卒
- 真下貴 - NHKアナウンサー、昭和63年卒
- 清涼院流水 - 推理作家、平成5年卒
- 三枝零一 - 小説家、平成7年卒
[編集] 政官界
- 樋渡利秋 - 法務省事務次官、昭和39年卒
- 門口正人 - 東京高等裁判所判事、昭和39年卒
- 柳実郎 - 兵庫県洲本市市長、昭和39年卒
- 北橋健治 - 衆議院議員、昭和46年卒
- 木下信行 - 財務省九州財務局・局長、昭和48年卒業
[編集] 大学進学情報
毎年、京都大学をはじめとして、大阪大学、東京大学、神戸大学などの一流大学に多くの合格者を輩出している。 ちなみに、2005年度の京都大学合格者数は、生徒数が多くないにも関わらず、洛南、西大和学園、東大寺学園に続いて全国で4番目に多い合格者数である。
[編集] 歌
よく歌われるのは「甲陽学院のうた」であり、「学院歌」と呼ばれる。従って、校歌を歌う機会がないまま卒業する生徒も多い。
[編集] 高校野球
過去、甲陽学院は全国中学校野球大会（現高校野球）で春8回、夏4回出場を果たしている。そのうち初出場した1923年（大正12年）の第9回の夏の大会で優勝した。しかし1938年（昭和13年）の第24回の夏の大会を最後に1度も出場していない。なかなか出場できず、以前学校が甲子園にあったことから「甲子園に一番近くて一番遠い学校」と称された事がある。
- 春夏通算出場数：12回
- 優勝：1回
- ベスト4：3回
- ベスト8：4回
- 春夏通算：26試合15勝11敗
[編集] 所在地
中学校：〒662－0955 兵庫県西宮市中葭原町2-15
高等学校：〒662-0096 兵庫県西宮市角石町3-138
- 阪急電鉄・甲陽園駅下車、西へ徒歩20分
- 阪急電鉄・芦屋川駅、JR・芦屋駅からバスにて苦楽園下車、北へ徒歩10分
- 阪急電鉄・夙川駅からバスにて苦楽園下車、北へ徒歩10分
- 阪神バス・阪急バス柏堂町下車、南に徒歩5分
[編集] 関連項目
- 兵庫県高等学校一覧
- 阪下商店
- ラダートレーニング
