沢山池
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
沢山池（さやまいけ）は、長野県上田市にある池。沢山湖（さやまこ）ともいう。周辺に広がる農耕地域へのかんがい用水を確保することを目的に築かれたため池である。
目次 |
[編集] 歴史
長野県上田市、信濃川水系千曲川（長野県内における信濃川の呼称）に注ぐ浦野川の支流産川（さんがわ）をせき止め、ため池を新設するという工事が1934年（昭和9年）9月に着工した。総工費210,650円（当時）を投じ、29,300人余りを動員。えん堤は1936年（昭和11年）に完成し、ダム湖には沢山池（沢山湖）という名が付けられた。
沢山池より下流に広がる塩田平では、古くから水不足に備え多くのため池が築かれている。沢山池はそれら多くのため池に水を供給しているが、当初から湖底からの漏水と、水の温度が問題となった。漏水に関しては戦後、底部にセメントコンクリートを注入し漏水の遮断を図った。また、山間部に位置する沢山池の水は冷たく、稲の発育にも支障をきたしてしまう。そこで1951年（昭和26年）から1952年（昭和27年）にかけて表層の温水部分を取水する設備を新設する工事が行なわれた。
年月が経過し、老朽化した沢山池を改修する工事が1987年（昭和62年）8月に起工された。改修にあたり、これまで沢山池の主目的であったかんがい用水の確保に加えて洪水調節機能の追加が盛り込まれた。自由越流形の余水路に放流用ゲートを1門追加し、放水路として延長119メートルのトンネルを掘削。堤体上流側には表面700平方メートルにわたって防波ブロックによる護岸工を施し、堤頂右岸にダム管理事務所を建設した。総事業費6億6,400万円が投じられた沢山池改修事業は、1996年（平成8年）3月に竣工した。
 沢山池管理事務所 |
 改築工事竣工記念碑 |
 えん堤上流側 |
 インクライン（右）と取水口（左） |
 左岸放流設備 |
 放流警報設備 |
[編集] 周辺
沢山池は上田市塩田平の山奥にある。周辺は別所温泉で有名な温泉地で、多くの観光客が訪れる。
沢山池へ通じる道は別所温泉より長野県道177号鹿教湯別所上田線から向かうものと、独鈷（とっこ）温泉から産川に沿って林道を進むものとがある。いずれの道も乗用車1台通れる程度の道幅しかない。なお、後者の経路は崖崩れのため、2006年10月現在全面通行止めである。
[編集] 参考文献
- 上田市誌編さん委員会編集『上田市誌 近現代編 (3) 現代産業へのあゆみ』2002年10月1日、上田市上田市誌刊行会発行。
- 信濃毎日新聞社編集局編『信州の湖沼』1973年3月28日、信濃毎日新聞社発行。
