殺し屋

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殺し屋（ころしや）とは、殺人を請け負うことで金銭的利益を得る者。刺客（しかく）、ヒットマンともいう。広義では、死刑執行人も刺客として含める場合もある。

[編集] 概要

当然のことながら非合法である。殺し屋はどこの国においても紛れも無い犯罪行為であり、また、殺し屋に殺人を依頼しただけでも、殺人教唆罪となり、刑法で罰せられる。

その多くは単独犯である。何名かのチームワークで行われる場合もあるが、それだけに裏切りや利益独占などで仲間割れが起こりやすいということもあり、多くは単独で行う。

日本、ヨーロッパ、ロシアなど、一般に先進国といわれている国家では発生し難い。しかし、アメリカなど他国への軍事介入するなどして、それと敵対するゲリラやテロリストなどが邪魔者を消す為に殺人を依頼もしくは自分たちで行うするケースもあり。法整備が手薄な国家や、貧富の差が烈しい国家では横行していると言われている。

殺し屋は義理や人情といったことで動いてはいけない殺伐とした非情な世界で活動するわけで、依頼主への深入りは絶対にしない。あくまでビジネスと割り切って動く。

[編集] 任侠史における殺し屋

例えば日本での暴力団同士の抗争には「殺し屋」は存在しない。やくざは「擬制的」家族関係、即ち盃を介して親と子の存在を確立した時点で全て「一家一門」への奉仕という建前となる。「人を殺す」という行為もこの範疇に入るため所属する団体の「面子を守る（実際には経済活動の防衛だが）」義務に対しての個人的責任感が動機である。

このため親分が殺人教唆を具体的言動で行う場合は殆ど無い。道具と呼ばれる凶器の手配は己で行い代わりに組織より「見届人」という存在が付けられる。これは殺害を行うように監督する役目と、手順どおり殺し屋が殺害をして後に親分に類が及ばないように手配する段取り役である。これ以外にもプロである犯罪者たちは細かい点まで神経を使い作業を完遂する。

但し、犯罪行為のプロであるアウトローたちは、プロである分だけ利害計算が働き反目する人間であっても「殺し」は嫌うという説がある。また現実にはこのような英雄的自己犠牲が推奨される分だけ「親分」も「子分」も内心では打算が働いているとされる。

[編集] マフィアにおける殺し屋

20世紀になり、アメリカでは五大ファミリー結成後にマーダー・インクと呼ばれた殺人集団が組織された。アルバート・アナスタシアとルイス・バカルターが中心となったこの集団は、銃撃や溺殺、ナイフなどにより100人以上のギャングたちの殺害に関与したといわれる。

1940年代に構成員の大半が逮捕・処刑されるとマーダー・インクは事実上消滅し、殺し屋は各ファミリーの中から雇われるようになった。

[編集] 主な対象者

殺害相手であるが、これは依頼主の意図による。しかし、実際には殺し屋のほうも客を選んで商談に入るし、どんな殺人でも請け負うわけではない。リスクが大きいにもかかわらず、利益がそれに見合わない場合などは受け付けない。

殆どの場合は、政治家や財界大物、大企業の経営者が対象で、それらを殺害する必要のある事情をかかえているものが相当の多額の依頼料・礼金を支払い殺人を代行してもらうというもの。

殺し屋のほうはプロなので、殺人を犯したことの無い、武器の扱いにも慣れていない依頼主が、殺人を行うよりは発覚する確率も低く、成功率も高い。というより、取引した殺し屋はその時点で完全な共犯者になるのでもはや後には引き返せない。仕損じればそれだけ自身の受けるリスクも大きくなるので確実にやり遂げなければならない状況になる。

怨恨だけで殺人を依頼する者があったとしても、相当の多額の礼金が必要なので一般市民同士のあいだで殺し屋が雇われまた対象となる確率は極めて低い。しかし全く無しとも言い切れない。

[編集] 殺害方法

これは依頼主が殺し屋に指示し、この方法で殺してくれというケースもあるが、それ以外は殺し屋自身の判断による。

まず、内密に殺害することが絶対条件である。対象者が殺せればどのような方法でも良いというものではない。依頼主に容疑が掛からない方法を選ぶことは勿論だが、殺し屋自身にも一切容疑が掛からない方法を用いなければならない。

これは、殺し屋にしても自分が警察に捕まるわけにはいかないし、そうなれば依頼者との繋がりも全てばれてしまうからである。

それらの理由を踏まえて、確実に絶対にそれも一回で殺害できる方法を選ばねばならない。一回でも仕損じ、逃げられてしまえば警察に駆け込まれてしまい、そうなれば殺害の機会は皆無も同然。計画は水の泡となるからである。

さて殺害方法は極めて計画的で、かつ殺人者が特定されにくい方法をとるのだが、一般的に知られているのはスナイパーのやる遠隔射撃による殺害法である。　これは確かに確実かもしれないが、対象者に一度でも警戒されたら成功は難しい。また遠方からの射撃は銃器取り扱いによほど精通していないと無理である。　他に、刃物を用いて人気の無いところで出会いがしらに即殺害、即行撤収する方法もある。

毒物などを巧妙に用いて殺害する方法がとられることもあるが、こちらは薬事によほど精通しており、またそれをどうやって投与するかについても熟練した技術を要する。

以上のようにいずれの方法をとってもリスクは必ず付き纏う。警察の捜査の裏を掻く為にはどうすれば良いか。その観点で鑑みて「事故死」に見せかけて殺すという方法を用いる殺し屋が非常に多い。暴力団同士の抗争の場合は別だが、相手が市民の場合ならば、派手に殺せばすぐに足がついてしまう。

事故死に見せかけることが出来れば、警察は死因を事故として処理するので、事件捜査はなされず、事件発覚はしづらくなる。しかし、事故死に見せかける殺人というのも非常に難しいもので、警察では死因不明の場合、司法解剖を依頼し、また事故死に見せかけることができたとしても、どの道行政解剖で徹底的に死因を検証されるので足がつく可能性が強い。

さらに、現代の警察は科学捜査が極めて進んでおり、どんなに巧妙な手口で殺しを行ってもプロファイリングの犯人像推定でどの道、ばれてしまう公算が高い。

むしろ、病死に見せかける殺人がもっとも低リスクで済むと考えられる。病死の場合は、死因を医師が判定し、解剖もなくそのまま火葬となる。その為、犯行がばれる可能性は低くなる。

医師の判定で死因決定も行えることから、殺人を医療ミスなどの理由で隠蔽することも容易に行える場合がある。