後手番一手損角換わり
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後手番一手損角換わり(ごてばんいってぞんかくがわり)は将棋の戦法で、角換わりの一種。2004年頃から盛んにプロ棋士が採用するようになった。2005年の名人戦(森内俊之に羽生善治が挑戦)では、7番勝負のうち2局でこの戦法が採用された。(結果は1勝1敗。)
角換わりの序盤において、先手が2五歩を突いたタイミングをみはからって、後手から、角交換をして、手損をする戦法。(いままでの角換わりでは、後手が先手の動かした角と角交換を行ったり、先手が相手の陣形を崩して角交換を行ったため、どちらから角交換を行っても手数に変化はなかった。)
例えは悪いかもしれないが、短距離走で、後手ではいくらやっても競り負けてしまうので、先手のフライングを狙って、スタートのタイミングをはぐらかすような戦法である。
従来の角換わりには、「腰掛け銀」「棒銀」「早繰り銀」の三戦法がある。以下ではそれぞれの戦法の角換わり一手損における展開を記す。
[編集] 腰掛け銀
角換わり腰掛け銀とほぼ同様。ただし、いわゆる角換わり同型になったとき、後手陣の歩が8五でなく8四にあるため、△8五桂からのカウンターが可能になる。先手から見ると、手得をしているので、後手より早く組みあがる。つまり、上記のたとえからいけば、「位置について」「よーい」まで言われて、いつでもスタートできる状態なのに「ドン」が一向に言われない事で、攻撃の調子が狂うのである。そこで、思い切ってスタート(攻撃)をかけてみても、フライング(後手のいいよう)になってしまう。
角換わりにおいて、膠着状態を打開できずに千日手になるのは、先手の作戦負けともいえる。従って、膠着状態に入る前の早い段階で先手が攻撃を仕掛けることが多い。その場合、以下で示すような棒銀の展開となる。
[編集] 棒銀・早繰り銀
先手側の対策として、後手の一手損に乗じて急戦をしかけるという手もある。真っ先に、銀を前線に出して速攻をかけるわけである。またたとえると、後手なんか待ってなくともゴールしてやる。という戦法で、「位置について」あたりで、もうスタートしているのである。ただし、たとえ後手が一手遅れているといっても、飛車先の歩が遅れているだけなので、囲いを作る速度はたいして変わらない。そのため、容易に後手陣を撃破できるわけではない。
[編集] 関連項目
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