岳飛

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岳飛・『晩笑堂竹荘畫傳』より

岳飛（がくひ、1103年 - 1141年）は中国南宋の武将。字は鵬挙。相川湯陰（河南省湯陰県）出身。南宋を攻撃する金に対して幾度となく勝利を収めたが、岳飛らの勢力が拡大することを恐れた宰相・秦檜に謀殺された。その功績を称えて後に鄂王（がくおう）に封じられ（岳鄂王と呼ばれる）、関羽と並んで祀られている。

[編集] 生涯

岳飛は元々は農家の出であったが、幼児の時に父を亡くし、母の由氏の育てられたという。やがて21歳の時に、北宋代の1122年に開封を防衛していた宗沢が集めた義勇軍に参加した。彼は武勇に優れ、その中で金との戦いなどに軍功を挙げて頭角を現し、1134年には節度使となり、南宋の中の軍閥勢力となった。以来、岳飛は高宗の信頼が絶大となった。

だが、その増大する勢力が秦檜を初めとする和平派の疑惑を招き、また岳飛は農民の出であるが、独自に学問を学んでおり、そのことが逆に張俊のような他の粗野な軍閥の長官達の嫉視を招くことになる。

1140年には金の皇族である梁王･斡啜（兀朮･宗弼）の軍勢を大破して、開封の間近にまで迫った。だが、斡啜と密約を結んだ宰相の秦檜の命令により撤退を余儀なくさせられた。

その後、秦檜により金との和平が進められる。それに対して主戦派の筆頭であり、民衆の絶大な人気を持った岳飛は危険な存在であり、1141年に秦檜は岳飛とその養子の岳雲、岳家軍の最高幹部である張憲に対して、無実の罪を着せて誅殺した。この時、岳飛は39歳で岳雲は23歳だったという。（なお、岳飛の実子の岳雷･岳霖･岳珂兄弟の仔細は不詳だが、岳飛の子孫は岳珂の系統かと思われる。特に清代に岳飛の17代の孫である岳鎮邦とその孫の四川都督･岳鐘琪(1686年－1754年)などが出た）

その後に冤罪が証明され、1178年に武穆と諡され、1204年には鄂王と追封され、杭州の西湖のほとりには岳王廟が建立された。岳王廟の岳飛･岳雲父子の像の前には秦檜夫婦が縄で繋がれた形で正座させられている像が作られている。その背には母親によって彫られたとされる黥（入れ墨）の「尽（精）忠報国」の四文字があったという。

岳飛はその後の長い間救国の英雄として褒め称えられ、元による支配時には岳飛の名前が漢民族の中で語り継がれた。現代でも中国の歴史上の英雄と言えばまず岳飛の名前が挙がるほどである。