名鉄5500系電車
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名鉄5500系電車(めいてつ5500けいでんしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)が1959年に開発した汎用型の電車である。4両編成と2両編成があり、1960年までに合計30両が製造され、2005年に引退した。
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[編集] 概要
1957年に開発された5200系電車の延長上に開発され、当初から冷房装置を搭載しており、特別料金不要の車両としては日本国内初の「冷房電車」(大衆冷房車)として特筆される。なお、正確には1936年の南海鉄道(現・南海電気鉄道)2001形が最初であるが、1両のみの試験的な存在(太平洋戦争激化により撤去)であり、継続使用を前提とした量産車ではこの5500系が最初である。東芝製のユニットクーラーを屋上搭載し、これに伴って冷房装置の電源となる電動発電機の容量が大型化された。このため各種搭載機器の小型化が必要となり、抵抗制御の在来型電車としては画期的な「パッケージ制御器」を採用した。また、主電動機も5000系と同じ75kw/2000rpmながら、高速性能を向上した補極・補償巻線付きに進化した。
これらの技術は1961年登場の著名な展望電車「パノラマカー」こと7000系電車にも受け継がれた。その点では「パノラマカーの技術的母体」と言うべき存在でもある。7000系先頭車が事故で使用不能になった時や車体更新時に先頭車が向上へ入場している際に、代用先頭車として代わりに先頭に立ったこともある。
冷房と改良型転換クロスシートを装備して接客面に優れ、5000系に磨きをかけた走行性能も1959年当時としては優秀であった。2・4両の短編成で、支線運用や増結運用での機動力に富むことから汎用性が高く、長期間にわたって第一線で重用された。
[編集] 復活塗装
全車引退を控えた2003年、残る3編成に対してかつて施されていた「懐かしの塗装」が復活した。編成毎に、5500系の登場当初の塗色であった「赤クリームとチョコレート」(ピンクとマルーン、優等車両塗装)のツートーン、1960年代後半から一時用いられた「ストロークリームに赤帯」(クロスシート車標準塗装)、1970年頃の「SR車(高性能車)」標準塗装である「スカーレットに白帯」の各色に塗り分けられた。
[編集] 編成
5500系は4両編成5本と2両編成5本である。
- モ5500(Mc1)-モ5550(M2)-モ5550(M1)-モ5500(Mc2)
- モ5500(Mc1)-モ5500(Mc2)
[編集] 高運転台改造車
1964年の新川検車場火災で被災したモ5509は、復旧に際してモ5202と同様の高運転台に改造されている。
[編集] その他
5500系の第3編成(5505F)に車両番号5555号があり昭和55年5月5日に「ゴーゴー記念」として名古屋本線・犬山線を走行した。
長年に亘って高い汎用性を維持した車両で当面の廃車予定は無かったが、2000年9月11日の東海豪雨で新川検車場が水没して被災した1編成の廃車を皮切りに翌年から新型車への置き換え対象となり、2005年1月29日のダイヤ改正をもって全車引退となった。
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