出羽ノ花國市
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出羽ノ花 國市(でわのはな くにいち、1909年3月1日 - 1987年5月30日)は大相撲の力士、親方。現役時代の最高位は前頭筆頭。
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[編集] 経歴
[編集] 現役時代
明治42年3月1日東京都南葛飾郡(現在の江東区)に生まれる。(ただし、出身地は石川県小松市としていた)本名市川國一。 9歳の頃には既に体重が24貫(90kg)に達していた。
出羽海部屋（当時の出羽海親方は元小結の両國梶之助）を紹介され、大正14年1月初土俵。最初は出羽ノ子という四股名だった。 昭和5年5月に十両昇進、昭和7年の春秋園事件で西幕下筆頭から抜擢されて新入幕を果たすがチフスにかかり2月、3月とも休場して1度十両に戻される。 昭和9年1月再入幕。相撲が正攻法すぎて上位にはまるで通用せず師匠が「あいつに駒ノ里の出足でもあれば大関になれるのに」と言ったこともあるという。
昭和15年1月場所3日目に幡瀬川に負けて負傷、これが元で引退したが歩けるようになるまで1年もかかる重症だったという。現役時代の記録らしい記録といえば昭和11年5月初日に負けて以降ヌケヌケ(勝ち負けが交互に続く)を通して負け越したことくらいだった。
[編集] 部屋持ち親方時代
引退後は年寄武藏川(旧字体の藏)を襲名。
戦前の巡業で満州に行った際に、協会が勧進元に対し言い値をそのまま支払うのを見て愕然とし、経済学を学んで協会の財政に貢献した。以後、協会の金庫番や知恵袋としての活躍が始まった。
敗戦で國技館が接収され屋外で本場所を行なわざるを得なかった間、自宅を担保にするなど懸命に金の工面をして仮設國技館建設資金を捻出した。昭和32年に当時の理事長出羽海親方が国会に呼ばれたが病気により欠席した際には代理で出席、堂々の答弁に議員達から「正に大臣も務まる」と言わしめた。
昭和34年にその出羽海親方が亡くなると、昭和35年に名跡を出羽海に変更して部屋を継承した。この際、先代親方は元横綱千代の山の九重親方を後継者にしたかったらしいと言われ、現役時代の地位が低かった武藏川親方が継承をしたことは、後の問題への火種となった。
昭和40年には、日本相撲協会として戦後初の海外公式公演となるソビエト連邦公演の団長となり、モスクワのボリショイ劇場とハバロフスクのレーニンスポーツ宮殿での興行を成功させた。
また、当時大関の佐田の山の岳父となって後継者に指名、土地建物の名義も全て佐田の山に書き換えた。これは、後継者は今度こそ九重親方だろうという周囲の観測を覆すものになった。
[編集] 九重独立問題
昭和42年1月場所前に、横綱になっていた佐田の山への後継決定を不服として九重親方が独立を申し出た。出羽海親方は悩んだあげく場所後の回答を約束、1月31日に一門からの破門を条件に認め、大関北の冨士などが高砂一門へと移籍した。
この独立に関して、破門した理由は一門の創設者である横綱常陸山の「不許分家独立」の不文律が背景にあることは間違いないが、独立を許した経緯については諸説あり「北の富士と佐田の山の対戦を実現させるためだ」「不服のある者を一門から追い出す狙いだ(出羽海を継承した際に「独立したい者はいないか」と言ったと伝わる)」などと言われた。
[編集] 理事長時代
昭和43年、横綱になっていた佐田の山が引退すると、出羽海の名跡を譲って自身は武蔵川(こちらは現在の字体の蔵)に戻した。同年12月に理事長の時津風親方が亡くなると、後任となった。
理事長としては協会の近代化に尽くし、昭和46年には蔵前国技館改装の竣工にこぎ着けた。また、文部省（当時）より中学生力士の学校欠席問題が指摘されたのを機に、中学卒業見込前に相撲部屋に入門させることを禁止した。
横綱大鵬の晩年から玉の海の横綱昇進と急逝を経て、元弟子の北の富士や琴櫻の横綱昇進、そして輪島や北の湖の台頭を導いた。
また、昭和47年には外国出身力士として初めてハワイ出身の高見山大五郎が幕内優勝し、昭和48年には前年の国交回復を受けて中国公演（北京と上海で公演）を実現させ、大相撲の国際化を推進した。 このような活動により、大相撲は後の両国国技館建設につながる人気隆盛の基盤が築かれた。
昭和49年理事長の座を春日野親方に譲り相談役となり、昭和51年に67歳で定年退職。 昭和62年5月30日没。
