佐野利器

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佐野 利器（さの としかた、1880年4月11日 - 1956年12月5日）は日本の建築家、構造学者。

山形県西置賜郡荒砥村（現白鷹町）出身。東京帝国大学建築科で辰野金吾に学んだ（辰野は佐野が3年のときに辞任）。卒業後、同校講師、助教授。1911年-1914年にドイツ留学。1915年に教授に就任。

「家屋耐震構造論」（1916年）で工学博士号を得る。同論文は日本の建築構造学の基礎を築いたものとされる。代表作は鉄骨煉瓦造の丸善書店（1909年）。丸善は関東大震災では地震に耐えたが、周囲の激しい火災により鉄骨が飴のように曲がってしまい、貴重な洋書の多数を焼失する結果になった。この他、国技館や東京駅の構造設計も行った。

1923年から帝都復興院理事、また1924年から東京市建築局長を兼任し、関東大震災後の区画整理事業や鉄筋コンクリート造の小学校建築に当たり、都市の不燃化に務めた。また、清水組に招かれ、東大を辞任。1929年-1932年に清水組副社長を務め、建設会社組織の近代化を図った。清水組を退社後は日本大学の工学部長などを務めた。

[編集] 評価

耐震構造学の研究を進め、また震災後の都市復興に務めた功績は特筆される。また、構造計算の必要上から、尺貫法・ポンドヤード法の不合理性を痛感し、メートル法普及に尽力した（建設業界では尺貫法が広く使われており、強い反発があった）。一方、形（デザイン）の良し悪しを考えるのは女子供のやること、という信念を持っていたため建築の芸術面を軽視し、日本の建築学の工学偏重を招いた、とも評される。