中沢啓治

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日本の漫画作品

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中沢啓治（なかざわけいじ、1939年 3月14日 - ）は、日本の漫画家。広島県広島市舟入本町（現在の広島市中区舟入本町）出身。現在は埼玉県所沢市に在住。

自身の被爆体験を元にした代表作『はだしのゲン』等で戦争、特に原子爆弾を取り上げている。

[編集] 人物

1945年 8月6日、国民学校1年生だった時に広島で被爆し、父、姉、弟を失った。父は日本画家だった。
終戦後、手塚治虫の「新宝島」を読んで感動し、漫画家になることを決意。
上京して2年後の1963年、『スパーク1』（『少年画報』）でデビュー。 1966年、母の死を切っ掛けに戦争を題材とした漫画が連載される。

『はだしのゲン』は、33歳の時、出版社の企画で描いた自伝の漫画『おれは見た』に感動した編集長に長期連載を勧められ始まったもので、広島の原爆で父、姉、弟を喪った主人公の少年、中岡元（なかおかげん）が逞しく生きる姿を描いている。作中、主人公の姉と妹の名前が作者自身の姉と妹の名前と同じであり、弟の名前も似たもので、自伝的要素が強い。

尚、彼の漫画は全て一人で描いている（ただし、仕事に追いこまれている時は彼の妻に手伝ってもらうことがある）。これは彼がベルトコンベア式（つまりアシスタントを雇って作業する）の作業方法を嫌っており、どんなに苦しくても自分一人で描くというポリシーを持っているためである。また、彼には漫画家の友達がおらず、違う職業の人しか顔を合わせない。理由は、自分の顔を見られることが嫌（原爆漫画家と同業者からレッテルを貼られているためそれを不快に思っている）だからだそうだ。原爆関連の作品については、単行本未収録の物が多い事からも窺うことはできる。

自身が、戦争や原爆を経験したせいか、今日の自衛隊のあり方や各種の戦争において批判的立場を取っている。原爆を投下したアメリカとその相手国の日本の双方を批判している他、自衛隊に関しても「環境保護をするべきだ」などと語っており、軍用機の保持は不要であるという旨の発言をしている。

こういった発言が左翼思想と取られ一部識者から批判を浴びているが、彼自身が終戦前後の悲惨な状況を目の当たりにしたがゆえ、このような立場を取るということを考慮しなければならないだろう。在日米兵が日本人女性に対してレイプ事件を起こすシーンを幾つもの作品にて描写している事からも、反米的な漫画家と捉えられる事も少なくない。しかしながら、『はだしのゲン』の作中にて、捕虜の米軍兵士が被爆死した姿を見て、主人公のゲンが哀れんでいるシーンも描写しており（米兵の死体に対して被爆者たちが石を投げつける）、反米と決め付けるのは短絡的である。実際、アメリカの黒人差別問題を正面から取り上げて作品にした事もあるため、一般的な自虐史観に基づく反日反米左翼とはスタンスを異にしており、特定の勢力や主義思想に囚われない視点を持ち合わせている。最近では北朝鮮の核実験に対しても抗議の意思を示している。

尚、中沢作品の中で「自衛隊に入ればただで大学に入れる他、さまざまな恩恵を受けられる」という旨の描写があるが、そのことに関して陸上自衛隊少年工科学校の生徒から「自衛隊の人事制度を誤解もしくは曲解している。少工は旧軍の幼年学校のように防衛大に無条件に入校することはできない」と批判されたことがある。

2001年頃から約30年前から患っていた糖尿病を悪化させ視力が低下、細い線が描けなくなり、以後漫画を描いていない。『はだしのゲン　第二部　東京編』は執筆開始の目処は立っていないが、彼自身も考えており、現在はネーム（または原作）のみの段階で構想中との事である。

2002年、第14回谷本清平和賞を受賞。

現在は原爆のすさまじさをどうしても実写で伝えたい、と映像化を準備中。