中村政信

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中村政信（なかむらまさのぶ、1966年 8月9日 - 1999年 12月23日）は、日本のオートレース選手。福岡県出身。19期。元飯塚オートレース場所属。1999年12月23日の飯塚オートレース場第11レースにて落車、殉職。享年33歳。

[編集] 経歴

1985年
- 8月14日、飯塚オートレース場でデビュー。デビュー戦を白星で飾る。当時の競走車呼名は「ザ・フィスト」。競走タイムは3.555。
1987年
- 3月3日、初優勝。競走車呼名は「クライシス」。競走タイムは3.508。
1991年
- 春のスピード王決定戦（飯塚オートレース場）優勝
1993年
- 開場記念ゴールデンレース（浜松オートレース場）優勝。
- 優秀選手賞初受賞。以後、1998年まで優秀選手賞を連続受賞。
1994年
- 秋のスピード王決定戦（飯塚オートレース場）優勝。
1995年
- GI開設記念（飯塚オートレース場）優勝。
- SG第8回全日本選抜オートレースでSG初制覇。競走車呼名は「トーマス」。競走タイムは3.412。飯塚オートレース場所属勢のSG制覇は1987年の第1回スーパースター王座決定戦での桝崎正（引退）以来。
1996年
- GIゴールデンレース（浜松オートレース場）優勝。
- GII春のスピード王決定戦（飯塚オートレース場）優勝。
- GII秋のスピード王決定戦（飯塚オートレース場）優勝。
1997年
- SG第1回オートレースグランプリで二度目のSG制覇。競走車呼名は「トーマス」。競走タイムは3.350。
- GIゴールデンレース（浜松オートレース場）優勝。
- GI開設記念（飯塚オートレース場）優勝。
- GII秋のスピード王決定戦（飯塚オートレース場）優勝。
- 自身初となる年間獲得賞金1億円突破（102,055,600円）を記録し、年間獲得賞金第2位にランクインする。
1998年
- GIダイヤモンドレース（飯塚オートレース場）優勝。
- GII秋のスピード王決定戦（飯塚オートレース場）優勝。
- 12月8日、飯塚オートレース場第9競走にて通算500勝を達成。競走タイムは3.419。当時の競走車呼名は「トーマス」。
1999年
- 12月23日の第11レース（優勝戦）、4周回バックストレッチにて先行する花元初美（8期、飯塚オートレース場所属）選手に追突し落車。その際に後続の松尾学（22期、飯塚オートレース場所属）選手が乗り上げてしまうという複合事故により受傷。全身を強打した中村はすぐに救急車で市内の飯塚総合病院に運ばれたが、午後5時59分に死亡した。
2000年

オートレース表彰選手において、特別賞が贈られる。

[編集] 生涯成績

1着 541回
2着 314回
3着 272回
着外 761回

[編集] 「西の横綱」

中村政信は、片平巧、岡部聡らと同期の19期生であった。彼が全国区に名前が売れ出した当時、オートレース界は「船橋最強時代」と言われ、船橋オートレース場所属である片平巧・島田信廣の2人が全国区を席捲していた。
その一方で、当時の飯塚オートレース場所属勢は凋落著しく、SGタイトルは1987年 3月31日の第1回スーパースター王座決定戦で桝崎正が優勝して以来誰も獲れていないという状況だった。そんな中にあって、中村は徐々に全国区に登り詰めていった。そして、1995年に飯塚勢としては実に8年ぶりとなるSGタイトルを手にし、「西の横綱」の異名を送られることとなった。
「メイチ（目一杯）で頑張る」という科白をよく口にしており、レーサーの中でも一際小柄な体で最後まで絶対に諦めない走りはファンを魅了し、長らく侮られていた飯塚勢、そして飯塚ホームのファンにとっての希望となっていった。しかし、1999年12月23日、悪夢のような事故によって中村はこの世を去ってしまったのである。

[編集] その後のオートレース界

彼の死は、オートレース界に深刻な衝撃を与えた。1993年に採用された新型エンジンセアによるレースの高速化が懸念されていた矢先の出来事で、この事故をきっかけに、セアの改良型エンジンが採用される事となり、さらには親交のあった田代祐一（15期、伊勢崎オートレース場所属）を中心に、落車時に頚椎を保護するための特殊なエアバッグが開発される端緒ともなった。
彼の死を悼みその名を残すべく、彼の代名詞ともなった愛車の呼名「トーマス」を取り、「GIIトーマスメモリアルカップ」が新たな記念開催として新設され飯塚オートレース場で開催されていたが、その後の競走制度改革で残念ながら姿を消してしまった。

彼のカリスマ的な影響力は未だ健在で、「政信さんのようになりたい」と語る若手選手も少なくない。現在の「飯塚最強時代」の礎を作ったのは間違いなく彼であるといえよう。中村の死から間もない2000年 2月15日、飯塚オートレース場で開催されたSG第13回全日本選抜オートレースで吹雪の中、第5回日本選手権オートレースでの二田水潤太郎以来30年ぶりとなる地元SGを制した浦田信輔（23期）は、優勝インタビューの際に「政信さんが勝たせてくれた」と言い、ファンの涙を誘った。

飯塚オートレース場正面入口の上にある展示室には、中村のかつての愛車「トーマス」号（レプリカ）やヘルメット、勝負服が展示されている。「西の横綱」と呼ばれた偉大なレーサーの偉業は、今なお語り継がれている。