中国野球リーグ
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中国野球リーグ(ちゅうごくやきゅうリーグ)は、2002年に誕生した中国のプロ野球リーグのこと。英字略称はCBL(China Baseball League)。中国野球協会は「まだプロと呼べる水準ではない」との声明を出しているが、実質的にはプロリーグ。現在は6チームによる1リーグ制。
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[編集] 概説
- 中国に野球が伝わったのは100年以上前のことで、アメリカや日本への留学生やアヘン戦争後にやってきた宣教師によって伝えられたと言われている。1959年の第一回全国運動会(日本で言う国体)では、30以上の省・市のチームが優勝を争った。しかしその後文化大革命によって野球文化は衰退、野球チームも解散となった。
- 70年代から北京や上海などの都市で再び野球チームが結成され始め、現在では十数の野球チームが存在している。2008年に行われる北京五輪に後押しされ、その中でも強豪とされる北京市、天津市、上海市、広東省のチームが新リーグを結成、2002年にCBLとして始まった。
- 2005年シーズンから新たにCBL新規加入決定戦に勝ち抜いた中国ホープスターズと四川ドラゴンズの2チームがリーグへ加入。中国ホープスターズは首都体育大学管轄の若手主体のチーム、四川ドラゴンズは1979年に発足した歴史あるチーム。両チームの活躍が期待されている。
- なお、2005年度から始まったアジアシリーズでは本来なら日本、韓国、台湾共々リーグ優勝チーム(2006年度は天津)が出場するが、北京オリンピック(2008年)の中国代表の野球強化策の一環ということで中国リーグ選抜「チャイナスターズ」として参加した。
[編集] 沿革
[編集] 構成球団
- 北京タイガース(北京猛虎) - 北京
- 中国ホープスターズ(希望之星) - 江蘇省無錫
- 天津ライオンズ(天津雄獅) - 天津
- 上海ゴールデンイーグルス(上海金鷹) - 上海
- 広東レオパーズ(広東獵豹) - 広東省広州
- 四川ドラゴンズ(四川蛟龍) - 四川省成都
北京タイガースは読売ジャイアンツと、天津ライオンズは横浜ベイスターズと、上海イーグルスは阪神タイガースと、広東レオパーズは広島東洋カープと、中国ホープスターズは千葉ロッテマリーンズとそれぞれ業務提携が結ばれており、人材の派遣やキャンプ等での人材交流が行われることとなっている。
また天津ライオンズの呂建剛はかつて所属していた中日ドラゴンズからの要請で中日と中国球団の交流のためのパイプ役を引き受け、精力的に活動している。
[編集] 試合形式
- 2002年 発足初年度の2002年は総試合数は25試合で期間は1ヵ月。変則的なホーム・アンド・アウェー方式による4チームの総当たり戦を行い、勝ち点上位2チームによって決勝が行われた。
- 2003年 2003年は大幅な試合数増とオールスター戦を導入。5月のオールスターを挟んだ3月から6月にかけて、72試合のレギュラーシーズンを戦い、上位2チームによるチャンピオンシップによって優勝が決定される方式となった。
- 2006年 2006年から2地区制になり、レギュラーシーズンは各チームとも同地区のチームと6試合、他地区のチームとは各々3試合、計21試合を行う。そしてプレーオフは、両地区の1、2位チームがたすきがけ方式で3戦先勝の試合を行ない、勝ったチームが3戦先勝の最終シリーズで戦う。
- リーグ戦の他に全国体育大会(国体)への都市代表としてのプロチーム参加が認められており、香港などを含めた12の都市代表チームによって勝敗を争う。またチームの積極的な海外遠征も行っており、キャンプや交流戦などを主目的としてアメリカ、台湾、日本などに遠征している。
- 中国野球ではユニークなことに、野球のルールを知らない観客のために試合中に今のプレーはどういうことなのかという実況が会場内に放送される。またもうひとつの特徴として、多くの日系企業がスポンサーについていることが挙げられる。2004年の野球アジア選手権で中国代表のスポンサーに日立建機がついていたことが代表的である。
- 球場への入場料は無料で観客数も多く、2003年のオールスター戦では地元TVの中継によって27%もの視聴率を稼ぐなど、徐々に「野球」への認知が浸透している。
[編集] アジアシリーズ
2005年から東アジア各国のプロ野球リーグ戦の優勝チームによるアジアシリーズ・KONAMIカップが行われているが、中国野球リーグについては、第1回・第2回大会はリーグ優勝チームではなく、ラフィーバー監督率いる中国野球リーグ選抜が出場した。
[編集] 選手の待遇
- CBLは抜き打ちで体力測定を行っており、これに合格しなければ出場資格が与えられない。(3200メートルを14分20秒以内、ベースランニング1周16秒50以内など)不合格者を出したチームは罰金として1万元(10万円強)をCBLに収める必要がある。
- 選手の給料は月給制で、選手の能力やチームの経済力によってその額は異なるが、だいたい1000~4000元のあいだ。これは中国の一般の会社員の平均所得並である。
[編集] 日系企業と中国の野球
- 筑紫哲也 NEWS23(TBS系)によると、中国野球リーグでは前項で触れた日立建機のように著名な日系企業の支援が比較的目立っている。これは2008年の北京オリンピックを目指した地域再開発事業を進めるに当たって、国家的イベントに対する整備が待ったなしの状態にあることから生まれた「中国特需」を利用したこと、そしてそれに関連して企業イメージを全面的に打ち出すには成長著しい中国の野球が絶好のマーケティング媒体だといわれる。リーグ運営の相談を行っているのもDSM(ダイナスティ スポーツマーケティング)という日系企業であったが、2005年でギブアップし、2006年よりソフトバンクグループの中国棒球企画株式会社が、中国棒球協会(CBA)のマーケティング・パートナーを務めている[1]。
[編集] CBLの担う中国での野球普及への役割
- CBLではMLBやNPBなど海外リーグの協力のもと、「野球」への認知を深めようと「歓楽棒球」と呼ばれる野球体験教室の各都市での開催や、児童施設への訪問などを積極的に行っている。
- またプロリーグの発足によって、若年層の野球人口はここ数年で爆発的に増加した。(一説には日本の高校野球人口に匹敵する水準まで増加したとも言われる)しかし全人口から占める割合で言えばまだ少なく、これからの地道な努力が必要とされている。
[編集] 今後の中国野球の展望
- 中国野球協会では、将来的にリーグを南部と北部に分けた合計8チームへと大幅な拡大を予定している。2004年のアテネ五輪のアジア予選ではフィリピン、インドネシア、パキスタンと争った予選リーグを勝ち進み、見事決勝リーグへ進出。日本、韓国、台湾と戦い結果は全敗だったものの、各国を相手に善戦した。2008年の北京五輪へ向けて着実に実力が上がっていることを見せつけたと言える。
- しかし、サッカーや卓球、バスケットボールなど中国国内の先発の人気スポーツに対抗するために、日本の大学野球水準と言われる実力の底上げと、より一層の宣伝活動が必要だと考えられている。ただ、中日ドラゴンズやメジャーリーグベースボールに既に選手を送り出しており、人口13億人を擁するこの国は将来的に極めて有望な野球の市場であることは間違いないと見られている。