上野英三郎

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上野英三郎（うえのひでさぶろう、1872年 1月19日（明治4年12月10日） - 1925年（大正14年）5月21日）は、農業土木学者。日本農業土木・農業工学の創始者。忠犬ハチ公の飼い主としてあまりにも有名である。三重県（後の久居市、現在の津市久居）出身。

明治28年7月10日東京帝国大学農科大学農学科卒業、同年同日農業土木及び農具研究のために大学院入学し、明治33年7月10日大学院満期。同年8月東京帝国大学農科大学講師。明治35年3月農科大学助教授。

明治32年、政府は「耕地整理法」を制定し、その翌年より耕地整理事業が着工されることになったが、当時は農業土木学の専門技術者が皆無の状態で、農業土木を研究していた唯一の学者が上野であった。そこで、上野氏は耕地整理の研究を進めながら、各地へ出かけて講演や技術指導を続けた。また、明治38年には農商務省委託の農業土木技術員養成官の任務につき、その後20年間に渡って3,000人を越える技術者の育成に努めた。上野から指導を受けた技術者は、大正12年の関東大震災後の帝都復興事業において重要な役割を占めた。

明治44年には農科大学教授に任ぜられ、農業工学講座を担当する。その後、農学科に農業土木専修コース（後の東京大学農業工学科）を設立。

大正12年の関東大震災を期に、それまで駒場にあった東京大学農学部は第一高等学校と敷地を交換し、現在に至る弥生キャンパスに移転する。

翌年大正13年（1924年）、上野は念願であった秋田犬を購入。しかし、震災とその後の復興事業，そして敷地交換による長い通勤（上野の自宅のあった東急百貨店本店付近から駒場キャンパスまでは徒歩５分程度であるが、本郷キャンパスまでは当時の交通手段で2時間近く懸かる）が祟ったのか、大正14年5月、上野は大学で講演中に脳溢血で倒れて急逝。その業績を記念し、農業土木の発展に尽くした者には毎年「上野賞」が贈られる。

愛犬ハチは帰らぬ上野を長期間待ち続け、「忠犬ハチ公」として秋田犬の名を世間に知らしめることとなった。