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三瓶町（みかめちょう）は愛媛県の南予地方にあった町である。2004年4月1日の東宇和郡明浜町、宇和町、野村町、城川町との合併により、西予市となった。
夏祭りのイベントを「奥地の海のカーニバル」と名づけているなど、「奥地」を逆手にとったまちおこしを進めてきた。
[編集] 地理
- 愛媛県西部に位置し、北は八幡浜市、東は宇和町（現・西予市）、南は明浜町（現・西予市）に接し、西は宇和海に面している。
- 深く切れ込んだ三瓶湾は波静かである。
[編集] 地名の由来
- 昔、嵐の翌日、磯辺に三つの瓶が打ち上げられた。そこに棲むホウジョウ（蜷）がその瓶を陸地まで押し上げた。神からの贈り物に違いないと考えた里人は、その瓶を神宝として奉ったという。この言い伝えに基づいて「三瓶」と名付けられた。
[編集] 歴史
- 古代 縄文式の石皿や弥生式の土器などが出土していることから、この時期には既に人が住んでいたものとみられる。
- 1615年（元和元年） 伊達秀宗の宇和島城入城とともに、宇和島藩の支配下となる
- 1657年（明暦3年） 吉田藩の分藩により津布理村、蔵貫村、加室浦（下泊）影ヶ平村（和泉）を除く村、浦は伊予吉田藩領となる
- 明治初期 12浦があった
- 明治18年(1885年) 行政区の改正によって、津布理村外３ヶ浦、二及浦外２ヶ浦、蔵貫村外３ヶ浦に統合
- 明治23年(1890年) 町村制施行により、三瓶村、二木生村、三島村となる。
- 大正10年（1921年） 町制施行。三瓶村が（旧）三瓶町となる。
- 1955年(昭和30年)１月 一町二村と双岩村の一部が合体し、「三瓶町」（新）となる。
- この時の町村の構成。
- 旧三瓶町（朝立・津布理・安土・有網代）
- 二木生村（二及・周木・垣生・長早）
- 三島村（蔵貫村・蔵貫浦・皆江・下泊・有太刀）
- 双岩村（一部、和泉・鴫山のみ）
[編集] 行政
[編集] 平成の合併
- 三瓶町は、もともと山越えで隣接する、東宇和郡の宇和町やごみ処理を共同していた同郡明浜町とのとの関係も深い。一方、東宇和郡4町は、合併による市への昇格（合併特例）がかかっていたため急ピッチで合併協議を進めていた。三瓶町が東宇和郡の組み合わせに加わるなら早い時期が望ましいとの姿勢であった。
- 三瓶町が独自に実施した職員アンケートでも東宇和郡の合併を求める比率が高かった。
- こうした事情のため、三瓶町では、郡の属する西宇和郡と八幡浜市との合併ではなく、東宇和郡との合併を志向した。
- なお、愛媛県の示した合併パターンでも、「参考パターン」として宇和町・明浜町との合併のパターン（組み合わせ）が示され、実現の可能性は大いにあった。実際には、東宇和郡全体＋三瓶町の合併となった。
- 課題となったのが、広域行政の処理。消防・救急は消防本部は八幡市にあった。ごみ処理も八幡浜市の施設へ持ち込んでいた。（元は明浜町との共同で設置した処理施設で処理していたが、老朽化していたうえ、処理人口が少なく、高温連続燃焼などダイオキシン対策が講じにくいといった問題があった）
- 結果として、三瓶町は長いつきあいのある八幡浜市・西宇和郡の側ではなく、ついあいがなくもない東宇和郡側についた。このため、八幡浜市と郡内の他の町を「振った」形となった。
- このため、特に、消防や救急などを引き受けてきた八幡浜市では態度を硬化、三瓶地域の消防などは新設される西予市でカバーすべき、市になる（人口５万人や人口連坦の要件は満たしていないものの、合併特例で市昇格）ならそれくらいの行政能力はあるだろうとの態度であった。
- いずれにしても、人口減少等が顕著で明るい話題の少ない、八幡浜・西宇和郡地域にとっては三瓶町の離脱は手痛い結果となった。
- 合併の形態は新設合併。
- なお、農業協同組合のエリアとしては西宇和農業協同組合のエリアである。
[編集] 教育
[編集] 高等学校
[編集] 交通
[編集] 鉄道
- 町内に鉄道はない。
[編集] 道路
- 圏域の中心都市である八幡浜市と結ぶ道路は、以前は海岸回りと山回りとがあったが、山回りのルート（県道26号）が改良整備されたため、現在では両地域を結ぶ交通の中心はこちらに移っている。宇和島自動車による路線バスも、山回りの便はローカル線の割りに便数も確保されているが、海岸回りの便は既に廃止されている（八幡浜と三瓶営業所からの路線が市町村境でぷっつりと途切れた格好になっている）。
- 東隣の宇和（東宇和郡宇和町）と結ぶ道路（県道30号）も峠越えの難路であったが、近時改良が進んだ。このルートの改良による、地域どうしの結びつきの強化が平成の合併の枠組み決定の追い風の一つとなった。バス路線はあるものの、利用が少なく、廃止検討対象路線の一つとなっている。
- 南隣の東宇和郡明浜町と結ぶ道路（国道378号）は八幡浜方面同様、「岬めぐり」の世界であり、バス路線も廃止されている。この事情については明浜町の記事参照。
- 国道
- 国道378号
- 県道
- 県道26号、県道30号
[編集] 産業
- 海岸線は典型的なリアス式海岸で、湾内は屈曲の変化に富んでおり、ハマチ、ヒラメ、タイ等の養殖が盛んに行われている。また、まき網漁の基地でもある。
- 農業 ウンシュウミカンや、ニューサマーオレンジなど晩柑類の栽培が盛んに行われている。養豚が盛ん。
- 商工業
- 商業 北に隣接する八幡浜市と結ぶ道路が改良され、交通の便がよくなるに連れて、八幡浜市等への流出が顕著になっている。中心市街地である朝立（あさだつ）にはアーケードのある商店街も形成されているが、空き店舗もかなり多く、活気に乏しい。このほか、エーコープや地元資本によるホームセンター等がある。朝立以外の集落には、零細な商店が点在している。
- 製造業 かつて大手紡績工場があり繊維産業が盛んであったが、既に撤退し、跡地は学校ほかの公共施設用地となっている。
- 縫製業
- 食品加工業（冷凍食品製造）
[編集] 観光
[編集] 名所
- 町の中心部に位置している、廃業しそのまま未利用となっていたホテル「朝屋」の６階建て建物を三瓶町が購入し、ホテル・風呂・海の駅の複合施設として、地域活性化の核としたもの。合併後の西予市において合併特例債等を活用し、改築、2004年度（平成16年度）オープン。
- ほぼ垂直に切り立った断崖の上に位置し、晴れた日には遠く九州まで一望できる景勝地としても知られ、船の安全と漁業の繁栄を祈る観音像が設置されている。一帯は須崎園地として公園になっており、四季折々の美しい自然が人々の眼を楽しませる。
- 水田地帯の一画に住民の手により設置されたもので、かつての「里」の光景を偲ばせる。東屋や水車も設置されている。
- 先人達が営々と急傾斜地を切開いて築いた石垣の段々畑が町内各地にみられ、現在も、農家の人たちの営みが行われている。かつては盛んに芋の作付が行われた。
[編集] 特産物
- 海産物 ヒラメ、ハマチ、ウニ珍味、カワハギみりん干し
- 農産物 ニューサマーオレンジ、その他かんきつ類
- 農産加工品 ニューサマーオレンジのマーマレード、ワイン『サマーキッス』
[編集] 名物料理
- いけすから揚げたての活きのいい鯵（アジ）を3枚におろし、氷で〆て、山のように盛って食べる。夏季の代表的な料理。
- 丸ごと一匹煮た鯛に、金糸玉子などをかけて「そうめん」の上に乗せた鉢盛。「鯛」の身を「そうめん」と混ぜて食べる。祝い事によく出される。
- 町内では1980年頃から養殖を手がける業者が現れ、現在では、全国でも有数の出荷量を誇る。特に刺身で食べると美味。
- フカ(鮫)の切り身を沸かした湯にくぐらせた後、冷水にさらしたもの。盛り付けとして、からし味噌を添える。
- ホー（頬）がタレル（落ちる）ほど美味しいということから名づけられた。刺身のほか天麩羅等で食べる。
[編集] イベント
- 町おこしとして始められた三瓶地域の夏祭り。豚のロディオなどのユニークな催しで知られる。
- ただし、三瓶町が含まれる愛媛県南予地域には「奥地」と呼ぶかどうかは別にして、僻地、遠隔地、条件不利地は多数あるが、三瓶町が愛媛県内で相対的に見て、「奥地」とは必ずしも言えない。この意味では「自虐的」な、奇をてらったネーミングといえる。
