▲3七銀戦法

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矢倉▲３七銀戦法は、急戦矢倉、森下システムと並ぶ現代の矢倉戦法の一大潮流である。主導権を握り続けることが容易なのが主な特徴で、森下システムの流行が沈静化した現在では矢倉戦法の主流といえる。

大きく雀刺し、棒銀、3七銀戦法（加藤流）、4六銀戦法（有吉流）に大別されるが、前二者は主に飛車先不突矢倉が定着する以前の指し方であるため、ここでは後二者を中心に解説する。

[編集] 基本的な狙い

雀刺し、棒銀に組み攻撃する
▲3七銀～▲3五歩から一歩を手にし▲4六角～▲3六銀～▲3七桂の理想形に組む
▲4六銀～▲3七桂～▲3八飛の攻撃陣に組む

[編集] 加藤流

90年代前半の勝率7割ともいわれた森下システム全盛時にも独特のこだわりをもつ加藤一二三九段によって指され続けた息の長い戦法で、今でも矢倉を得意とする居飛車党によって愛用されている。当初は▲2六歩を早くから突く矢倉24手組からの移行であったが、現在は、頑なに飛車先不突矢倉を拒んでいた加藤一二三九段も、普通に飛車先不突矢倉から組むことが多い。 ▲2六歩～▲1六歩を決めた後に相手が端を受けるかどうかで対応が変わる。

端を受けた場合、棒銀の形から▲1七香～▲1八飛の形で攻め倒す。現在では先手有利が確立している。

端を受けなかった場合、端を突きこしてから▲3八飛と寄り▲4六銀と出る機会を狙う。後手側にある程度選択肢があり、△7三銀から速攻に出る、△5三銀と守りを固め中央からの反撃を窺う、など手段は多い。それぞれの手順について定跡が確立していている。

なお、▲3八飛と寄らず場合によっては棒銀の形から▲3七桂～▲2七飛～1八香と組む場合もある。

[編集] 4六銀戦法（有吉流）

現在の矢倉の主流戦法。玉の入城後直ちに▲4六銀と出る。

これに対して△4五歩と突いて追い返すのが当初多く見られたが、この歩が伸びすぎで争点を自ら作る形となり、一例をあげると▲3七銀と一度引いてから▲4八飛と回り▲4六歩△同歩▲同角△同角▲同銀△4七歩▲3八飛△4九角▲2八飛△4八歩成▲同飛△2七角成▲4五歩△5三銀▲3七銀と馬を作るものの追いまわされ、以下△3五歩に▲5七金などで馬は作ったものの僻地へ追いやられてしまい、締め付けられる手順で先手が有利となり、現在ではほぼ消滅している（また、▲3七銀で▲5七金△3六馬▲4七金△1四馬▲1六歩で先手有利とする手順もある）。また、現在では銀を引いた後に飛車を回らずに直ちに▲4六歩と反発する指し方が有力とされている。

後手の有力な対策は▲4六銀～▲3七桂～▲3八飛の理想形に組ませる間に△6四角から△5三銀として、△7三角と引き待機するもので、場合によっては△4二銀右と引いてさらに固める。この時に8筋でなく9筋を突きこし、桂馬を8五に使う構想の森内流もある。それに対して先手は一度▲6五歩と突いてから攻めるのが最新定跡の模様。△7三角と引かれた後でも▲6五歩と突いて後手の理想形からわざと一手指させてそれを崩すのが目的で、他にも▲6四歩の突き捨てや6六に角を据えるなどの手もみている。

この戦型は、かつては▲4六銀～▲3七桂～▲3八飛の理想形に組めるかどうかが争点であったが、現在はこの理想形から▲3五歩～▲1五歩～▲2五桂による攻めを軸に、いかにそれを防ぐかを主眼にしている。また、この攻めは反動が大きいために、先手はこの理想形を組んだ後に穴熊囲いに組み替えるという手がある。前述の森内流は端を突きこし、また飛車先を保留することにより桂の活用の余地を留保することで、その穴熊囲いを牽制している。