YC-14 (輸送機)
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YC-14は、アメリカ空軍の先進中型短距離離着陸輸送機計画(AMST, Advanced Medium STOL Transport)に基づいてボーイングが製造した軍用輸送機。YC-15とともに競争試作されたが、両機とも制式採用はされなかった。
[編集] 概要
1970年代前期にC-130を代替する先進中型短距離離着陸輸送機計画をアメリカ空軍は開始し、それに伴い、ボーイングはYC-14を開発することとなった。
YC-14の特徴は、主翼の前縁上部にジェットエンジンを搭載し、USB方式によって高揚力を確保することである。ジェット排気をコアンダ効果により、主翼上面からフラップを通じて下方へ導くというUSB方式は、高揚力を確保でき、STOL性能の大幅な向上がもたらされる。なお、フラップには二重隙間フラップが用いられており、また主翼外縁にはBLC制御を併用していた。主翼にはスーパークリチカル翼が用いられていた。
機体自身は1976年8月9日に初飛行を行い、1977年まで各種試験に用いられた。空軍のAMST計画の中止により、本機の開発も中止された。競争試作のYC-15と比較しUSB方式の欠点として、エンジンの排気口の一部が、主翼によってふさがれた形となっており、巡航時の推力ロスが挙げられている。
YC-14は2機が製造され、1機がデビスモンサン空軍基地で保管され、もう1機は博物館で展示されている。
[編集] 要目
- 全長:40.1m
- 全幅:39.3m
- 全高:14.7m
- 総重量:113t
- エンジン:GE F-103ターボファンエンジン(推力:23t)2基
- 最高速度:811km/h