River
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
river(リバー)は、2003年に北海道を中心に公開された劇場映画。鈴井貴之第2回監督作品・大泉洋初主演作品。東京国際映画祭、釜山国際映画祭、ヨーテボリ映画祭出品作品。全国的に名が知られている俳優をほとんど起用せず、北海道の役者を中心にキャスティングし、スタッフも北海道在住(あるいは出身)の人間を多く集めるなど、「MADE IN 北海道」にこだわった作品である。これは「中央(東京)で作ったからと言って必ずいい作品が出来るわけではない」という鈴井の思いから生まれたコンセプトである。
この作品は色味や撮影手法など、通常とは異なる方法で制作されている。これは物語が明るい話ではないので、全体的に暗く仕上げているのである。その為、「man-hole」や「銀のエンゼル」とは違った仕上がりになっている。
目次 |
[編集] ストーリー
警邏中に通り魔に遭遇したものの、拳銃に弾を入れていなかったがために人質の女性を見殺しにしてしまった実直な警察官、佐々木耕一。佐々木のせいで大切な恋人を失った藤沢聡。交通事故によってオリンピックの夢を断たれたスキージャンプの選手、九重達也。幼い頃、イジメに遭った横井茂。4人それぞれが忌まわしい過去を持つ。ある日、同窓会で会った4人は謎の男が提案した「記憶を操作できる薬」を北海薬品工業から盗み出す計画に参加する。しかしそれがある男の復讐劇の始まりであったことは知る由も無かった…。
[編集] キャスト
- 佐々木耕一:大泉洋
- 藤沢聡:安田顕
- 九重達也:佐藤重幸
- 横井茂:音尾琢真
- 須藤裕子(佐々木の恋人):中村麻美
- 川塚剛志(佐々木の上司、同じく警察官):森崎博之
- 佐藤探偵:佐藤誓
- 小杉和幸(横井の同僚、計画の首謀者):田中剛
- 権藤健司(同じく横井の同僚、通り魔事件の犯人):川井"J"竜輔
- 外崎慶子(藤沢の恋人):宮崎奈緒美
- 不動産屋:小橋亜樹
- イベンター:河野真也
- 工場関係者A:藤尾仁志
- オカマ:田中護
- 佐々木(少年時代):佐藤正一
- 藤沢(少年時代):佐々木駿
- 九重(少年時代):早坂四郎
- 横井(少年時代):宮津清也
[編集] スタッフ
- 企画・原作・脚本・監督:鈴井貴之
- プロデューサー:麻生栄一・鈴井亜由美
- ラインプロデューサー:波多野ゆかり
- 音楽:佐々木秀夫
- エンディングテーマ:太陽族「戦友」
- イメージテーマ:花男(太陽族)「今日の日はさようなら」
- 撮影:藤原秀夫
- 照明:吉村雅治
- 美術:中原芳雄
- 録音・音響効果:横山達夫
- 編集:小島俊彦
- スタイリスト:小松江里子
- 制作プロダクション:インデックス・コア
- 製作・配給:CREATIVE OFFICE CUE
[編集] エピソード
- 監督の鈴井は普段とは違う大泉洋を表現するべく、「ストレートパーマ・小動物好き・無口なキャラクター」の役を彼に与えた。実際のところは、ご覧のとおり天然パーマ、動物は嫌い、おしゃべりである。
- 大泉は撮影中、役作りのためにずっと寡黙でいたのだが、周囲の人間からは「機嫌が悪いのか」と勘違いされ、場の空気が読めない(自称)佐藤から茶化されていた。
- 探偵役は本来、監督自身がやる予定だったが、プロデューサー(鈴井亜由美)から「出るな」と言われしまい、やむなく大学時代の友人である、佐藤誓を代役に立てた。その頃から「事務所を替えたい」「俺のタレントとしての売り出し方はおかしい」とボヤくようになった。
- 監督曰く、「プロデューサーは一番偉いので、プロデューサーの言うことには逆らえない」とのこと。
- DVDに収録されているメイキングのナレーションは水曜どうでしょうの藤村忠寿Dである。
- オカマ役の「まもちゃん」こと田中護は、モザイクな夜の初代元気くんである。
- 画面がとことん寄りかとことん引き、逆光、その上バックショットが多いため、NACSメンバーからは「役者の顔が映らない映画」と言われた。
- 音楽は佐々木秀夫が現場にターンテーブルなどを持ち込んでその場で行うという今までにない手法を採っている。
- 森崎は大泉以外の役者とあまり絡まない役どころに不満だったが、キャストのクレジットでいわゆる「止め前」だったことに満足したようだ。
[編集] 関連項目
- 銀のエンゼル-鈴井が今作の後に撮影した映画