雑木林
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雑木林(ぞうきばやしあるいはざつぼくりん)には、はっきりした定義はない。強いて言えば、次の二通りの使われ方がある。
- 雑草のごとき木の林。すなわち、有用樹種を植林して作られた区域に対し、役に立たないものとしてさげすんだ言い方。ざつぼくりんを使用。
- どこにでもあるような林の意味。多くの場合、人為的攪乱による代償植生の気配の強い林を指し、極相林には使用しない。ぞうきばやしを使用。ほぼ里山と等しい。
古くからの使用例としては2の方が普通であったと考えられる。すなわち、神社林や山奥の人のあまり入らない森林に対して、人里周辺の入りやすい森林に対して用いた言葉である。そのような林は、普段からの人の使用が行われており、萌芽更新を前提とした伐採や下草刈り、落葉落枝の収集などによって攪乱され、植生遷移が進まないような操作がなされている。その林がマツの優占した森林であればマツ林と呼ばれるわけだが、広葉樹を中心とした森林であれば、これを雑木林と呼んだ。
他方、有用樹種を利用する目的で作られた人工林に対して、そうでない林を指して雑木林(ざつぼくりん)と呼ぶ場合がある。特に、昭和30年代に林野庁が打ち出した拡大造林の方針のもと、自然林を伐採してそれをスギ・ヒノキを中心とする人工林に置き換えていった。この方針のもとでは、いかに優れた原生林であっても、すべては雑木林と呼ばれた。