長崎犯科帳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
『長崎犯科帳』（ながさきはんかちょう）は、ユニオン映画の製作により、日本テレビ系列で1975年4月6日～同年9月28日の間に放送された時代劇。全26話。
いわゆる裏稼業もので、朝日放送「必殺シリーズ」の亜流作品である。江戸時代としては特殊な地域であった長崎が舞台とあって、従来の時代劇では見られない、カステラ、オランダ凧、カードゲーム等といった道具が登場し、台詞には九州弁 (肥筑方言) が盛り込まれていた。
主題歌（エンディング）は「坂道」（歌：日暮し、作詞・作曲：中村幸雄）
目次 |
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
江戸末期の長崎に主人公・平松忠四郎が新しい長崎奉行として着任する。その長崎とは、わずかに一年ごとに交代する奉行よりも金という力を持った少数の豪商達が実権を握る町。歴代の長崎奉行らはほぼ例外無く就任の期間中、その商人らとなあなあの関係となり、多く彼らが非合法なやり口で自らを肥え太らせるのを黙認し、その見返りの賄賂で己自身もまた私腹を肥やしてきた。
新任の平松忠四郎もその点例外ではなく、菓子との名目で贈られた小判を喜んで受け取る男だった。今度の奉行もまた金でどうとでもなる男、と見て安心する町年寄らだが、しかし昼行灯の仮面をかぶった忠四郎には、悪を許さぬ闇奉行という隠れた顔があった。
[編集] 登場人物
- 平松忠四郎（萬屋錦之介）
- 長崎奉行にして闇奉行。指をパチンと鳴らす癖がある。悪徳商人らからの賄賂を平気で受け取り、その受け取った金を闇奉行の名での悪人狩りの資金に当てるという、色々な意味で稀有な男。闇奉行としての行動時には宗十郎頭巾で顔を隠しているが、その姿の時でも指を鳴らす癖はそのままだったため、闇奉行の手にかかった者の中には正体に気づいて死んでいった者が少なく無い（もっとも、気づかれたと言うよりは故意に気づかせていたフシがある。時には自分で覆面を引き下ろし素顔を見せてから斬る事さえあった）。
- 文武に秀でており剣の腕は相当なもの、新し物好きな性格なためか短銃も良く使う。また良順らへの呼び出しには凧を上げて合図にしていた。他人を安易に信じる性格ではなく、三次とお文の二人には話がかなり後になるまで自分の正体を明かしていなかった。
- 木暮良順（田中邦衛）
- 蘭法医。だらしない面もあるが医者としては誠実で、腕も確か。シーボルトの門下であるという。自分と同業である医者の悪事を許しておけず、殺害した。その弱みを忠四郎に握られた事で初めは嫌々闇奉行としての彼を手伝っていたが、段々と仲間意識を強めていった。おぎんといい仲。殺しの時にはメスを手裏剣の様に投げる。
- 三次（火野正平）
- 丸山の妓夫太郎（＝客引き。牛太郎とも）で通称は出島の三次。初め良順から「オレの用心棒だ」と説明されていた闇奉行を、上述の指を鳴らす癖から“正体は長崎奉行の平松では？”と疑いを持ち探ろうとしたことがある（事実そうだったわけだが、結局その時には忠四郎の方が一枚上手で誤魔化しきられた）。
- 商人や武士などが己の強いをいいことに弱者をいたぶり踏みにじる事を忠四郎に劣らず強く嫌っており、闇奉行の仲間になることには非常に積極的だった。
- おぎん（磯村みどり）
- 居酒屋「せいろむ」の女将。子供の頃見た象の優しげな目がいたく気に入り、間夫を持つなら象に似た目をした男が良いと思っている。おぎんの基準では忠四郎の目が象に似た目らしい。居酒屋の名「せいろむ」もその象の故郷の地名からとった。
- お文（杉本美樹）
- 殺しのメンバーの中では唯一の長崎弁使い。造花の花束を剣に変える手品を殺す相手に見せ、その剣で突き殺す。
- 加田宇太郎（新克利）
- 長崎奉行所同心。切れ者とは言いがたいが、奉行所と商人の癒着を嫌う真面目な人柄の人物。そのため忠四郎が賄賂を受け取るのにはイヤな顔を見せる。そういう真面目さが好まれてか忠四郎からはウタさんと親しく呼ばれていたが、遊郭に御供をさせられたり凧を作らされたりとかなり振り回されてもいる。
- 猪俣安兵衛（高峰圭二）
- 長崎奉行所同心。
- 三島与五郎（御木本伸介）
- 長崎奉行所与力。
- 沢田一馬（太田博之）
- 長崎奉行所通詞。
[編集] スタッフ
- 企画：梅谷茂(日本テレビ)
- プロデューサー：加藤教夫（日本テレビ）、中岡潔治（中村プロダクション）、中島正幸（ユニオン映画）
- 音楽：矢野誠(選曲：鈴木清司)
- オープニング・エンディングタイトルバック演出：実相寺昭雄
- 協力：中村プロダクション
- 脚本：池田一朗、下飯坂菊馬、藤川洋一、小川英、胡桃哲、長曽我部清親、猪又憲吾、直居欽哉、鴨井達比古 他
- 監督：渡邊祐介、大洲斎、松島稔、森崎東、田中徳三、戸田康貴、内出好吉 他
[編集] 放映リスト(サブタイトルリスト)
- すごい男がやって来た
- トンネル抜ければ地獄だぜ
- 彼奴は医者か殺し屋か
- 闇の中の闇奉行
- 殺しの番号 二、三、一
- トラの罠を噛み破れ
- 闇奉行はよか男
- 日見峠に散った花
- 赤い炎は闇で消せ
- ウンスンカルタは地獄札
- 真夜中の逃亡者
- 刃には刃 眼には眼を
- 闇に消えた用心棒
- 旅路の果てのふたり
- 花嫁替玉大作戦
- 帰ってきた男
- 復讐にかけた姉妹
- 忠四郎危機一髪
- 呪いの連発銃
- 怪談唐人屋敷
- 辻斬り犯人を追え
- 子の刻心中
- 風の噂の孫七郎
- 悪い奴らをあぶりだせ
- 欲ボケ野郎は海へ沈めろ
- さよなら長崎 また来るぜ
| 日本テレビ系 日曜時代劇 | ||
|---|---|---|
| 前番組 | 長崎犯科帳 | 次番組 |
| おんな浮世絵・紅之介参る! | 十手無用 九丁堀事件帖 | |
