銀残し
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銀残し(ぎんのこし)は、フィルムや印画紙での現像手法の1つで、本来の銀を取り除く処理をあえて省く事によって、フィルムや印画紙に銀を残すものである。一般的に映画の現像で行われるもののことを言うが、写真のカラープリントでも同様の作業が可能である。
[編集] 映画での銀残し
この作業により映像の暗部が非常に暗くなり、画面のコントラストが強くなるので引き締まった映像になる。又、彩度の低い渋い色にもなる。
1960年の日本映画、『おとうと』(市川崑監督作品)で、初めて実用化された。
日本で生まれた技術だが、世界中で使われている。大映社員のカメラマン、宮川一夫がこの手法を完成させた。アメリカ映画『セブン』でこの銀残しの手法が使用され、日本に逆輸入される形で現在まで流行が続いている。
[編集] 銀残しを使用した映画
- 「おとうと」(1960年日本)
- 「セブン」(1995年アメリカ)
- 「女と女と井戸の中」(1997年オーストラリア)
- 「プライベート・ライアン」(1998年アメリカ)
- 「どら平太」(2000年日本)
- 「友へ チング」(2001年韓国)
- 「火山高」(2001年韓国)
- 「マイノリティ・リポート」(2002年アメリカ)
- 「リターナー」(2002年日本)
- 「座頭市」(2003年日本)
- 「父、帰る」(2003年ロシア)
- 「ゴジラ FINAL WARS」(2004年日本)
- 「フラガール」(2006年日本)
[編集] 写真での銀残し
通常のカラーネガプリント作業では発色現像の後、定着を行うが、この定着を行わず、酢酸などで発色現像を停止すると画像に銀が残り独特の色調になる。
ただし、この方法では時間経過とともに化学変化が進むので長期保存には向かず、印刷原稿などで使う場合にはスキャニングを早めに行うべきである。