金星 (相撲)
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金星(きんぼし)とは、大相撲で、平幕の力士が横綱と取組をして勝利することである。
金星を獲得すると力士褒賞金の支給標準額が10円の増加となる。これは、勝ち越し20点分に相当し、獲得場所に負け越しても本場所ごとの褒賞金の支給額が、10円を4000倍した4万円まるまる昇給となる。ただし、不戦勝や反則勝ちの場合は金星扱いにはならない(2003年7月場所10日目、朝青龍の反則負けに際して金星不適用が確認された)。
金星に対して、大関に勝つことを銀星ということがあるが、これは昇給に関係しない。
金星を獲得した力士はその場所の勝敗数にもよるが、三賞、特に殊勲賞の選出対象となりやすい。
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[編集] 有名な金星
- 昭和14年1月場所4日目、安藝ノ海-双葉山。双葉山70連勝ならずの「世紀の一番」。日本のスポーツ史上で最初の号外で伝えられたといわれている。また、双葉山が敗れた瞬間、国技館では座布団だけでなく火鉢までが宙を舞ったと伝えられる。
- 昭和27年9月場所5日目、名寄岩-千代の山。大関から二度の陥落、平幕に落ちて現役を続ける名寄岩が、昭和13年1月(武蔵山戦)以来14年ぶりの金星獲得。敢闘賞も受賞して相撲ファンの喝采を浴びた。大関経験者の金星獲得もとても珍しい。
- 昭和59年9月場所14日目、小錦-千代の富士。入幕2場所目で優勝を争う小錦に、三役勢が相次いで「止め男」として立ったがことごとく返り討ち。満を持して第一人者千代の富士の登場となったが、得意の前回しをつかむこともできずに突き放され、「小錦旋風」の猛威を改めてしらしめることになった。なお、小錦自身の初金星は、同場所11日目隆の里から。
- 平成3年5月場所初日、貴花田-千代の富士。二人の年齢差は17歳2ヶ月で、昭和以降の横綱戦では史上最大の年齢差対決。貴花田が千代の富士を寄り切り、18歳9ヶ月の史上最年少で金星獲得。千代の富士はこの取組の2日後に引退を表明し、世代交代を象徴する一番となった。なお、貴花田としてはこれが生涯唯一の金星獲得でもある。
[編集] 派生した俗語
- 金星を上げる - 勝てないと思える相手に勝利する事。または、絶対に勝つ事を必須としている勝負事に勝利する事。誰が見ても勝てないと思えた相手に勝利した場合は大金星とも言う。
- 相撲界の隠語で、美人、または会うと勝負事に運があがるような女性のことも「金星」と呼ぶ。
[編集] 金星獲得数記録
(2005年3月場所現在)
1位 | 安芸乃島勝巳 | 16個 |
2位 | 高見山大五郎 | 12個 |
3位 | 土佐ノ海敏生、栃乃洋泰一 | 11個 |
[編集] 金星配給記録
1位 | 北の湖敏満 (63) | 53個 |
2位 | 輪島大士 (47) 、貴乃花光司 (49) | 39個 |
4位 | 柏戸剛 (47) 、曙太郎 (48) | 35個 |
6位 | 千代の山雅信 (32) | 34個 |
7位 | 栃ノ海晃嘉 (17) | 33個 |
8位 | 鏡里喜代治 (21)、栃錦清隆 (28) | 31個 |
- ()内は横綱在位場所数。
[編集] 金星配給の一場所平均
休場場所などを考慮せず、単純に「金星配給数÷横綱在位場所数」で見た時、年6場所制移行10場所以上在位の横綱で「金星配給率」のもっとも高いのは栃ノ海晃嘉。在位17場所で33個配給は一場所平均約1.94個になる。若乃花勝の在位11場所で18個配給、一場所平均約1.63個がこれに続く。どちらも軽量の技巧派横綱として期待されての昇進だったことを思うと、この面では皮肉な結果だったことになる。昭和以降年6場所制以前の横綱の中では男女ノ川登三の在位12場所で22個、一場所平均約1.83個が、目を引く。
逆に金星の少なかった横綱としては戦前の玉錦三右エ門と、戦後の玉の海正洋という二所一門の先輩後輩が双璧。玉錦は在位12場所で金星4個、一場所平均約0.333個、玉の海は在位10場所金星3個で一場所平均は0.3個、ともに3場所に1個金星を与えるかどうかだった。この二人はともに横綱在位中の現役死だったためもあるが、大鵬幸喜(在位58場所、金星28個、一場所平均約0.482)や千代の富士貢(在位59場所、金星29個、一場所平均約0.491個)といった大横綱でも、この面では彼らには一歩及ばない。
面白い記録として、横綱在位数=金星配給数となる金星配給率1の横綱が昭和以降で3人だけいる。東富士欽壹(在位20場所、金星20個)、佐田の山晋松(在位19場所、金星19個)、そして双羽黒光司(在位8場所、金星8個)である。
[編集] 座布団
現在では横綱が敗れると会場全体から座布団が舞う(ここ数年の福岡場所では、横綱が勝っても座布団が舞うことがある。これはマナー違反と言われてもおかしくない)。金星を挙げた力士に対する賞賛の意味であるが、実際は土俵上の力士や行司、またその他の観客に座布団が当たるなどして怪我の恐れがあるため、館内では投げないようにと放送が流れるが、現在では伝統的になっているため、おそらく座布団投げが無くなることはないと思われる。
[編集] 関連項
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