警視流
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警視流(けいしりゅう)とは、明治時代に警視庁で制定された形。木太刀形(撃剣形)、立居合、柔術(警視拳法)からなっていたが、現在の警視庁では木太刀形のみが伝承されている。
1877年(明治10年)の西南戦争での、警視庁警視官によって編成された抜刀隊の活躍によって、剣術の有用性が再認識されたことにより、警視庁(当時は内務省警視局)に撃剣世話掛、柔術世話掛が設置されたが、この武術世話掛の出身流派がまちまちな状況で、指導方法を統一するために、明治10年代に制定された。
木太刀形は10流派から、立居合は5流派から1本ずつ技を採用して構成されていることから、形の名称と元になった流派名が並記されている。なお礼法は日本剣道形とは異なる。木太刀も専用のもので、全長3尺3寸(約1m)で身2尺4寸(約73cm)・柄9寸(約27cm)、刀身部の断面の形状は蛤刃と定められており、写しは市販されている。
柔術は、木太刀形、立居合のように各流1本ずつではなく、14流派と諸流併合した技で16本で構成されていた。
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[編集] 警視流木太刀形
現在も警視庁で伝承されている木太刀形十本の内容は以下の通りである。
[編集] 警視流立居合
警視庁では現在、立居合は伝承されていない。(一部の民間道場で行われている)
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[編集] 警視流柔術形
この柔術形は、警視庁で講道館柔道が採用されたことによって、最も早く指導されなくなった。
柔術16本、早捕捕法7種からなる。(早捕には技の名前が付けられていない)似た技が複数あるなど、木太刀形、立居合に比べると余り整理されていない内容に思われる。木太刀形、立居合と異なり、元になった流派名を並記する規定はないが、元流派も記す。
[編集] 柔術
- 柄取 :天神真楊流と真蔭流より
- 柄止 :渋川流より
- 柄搦 :立身流より
- 見合取 :戸田流と気楽流より
- 片手胸取 :荒木新流より
- 腕止メ :起倒流より
- 襟投 :渋川流と天神真楊流より
- 摺込 :無双流と清水流より
- 敵ノ先 :神明殺活流より
- 帯引 :良移心頭流より
- 行連レ 左上頭 :殺当流より
- 行連レ 右突込 :各流合併
- 行連レ 左右腰投 :渋川流「四方組」より
- 行連レ 右壁副 :揚心流より
- 行連レ 後捕:各流合併
- 陽ノ離レ :扱心流の同名の技より
[編集] 早捕
- 鈎縄
- 捕縄 :各流合併
- 捕縄 :立身流より
- 早縄 :関口流より
- 早縄(五寸縄) :水野流より
- 早縄(七寸縄)
- 手錠縄