血盟団
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血盟団(けつめいだん)とは、昭和時代初期に活動した民間右翼団体。
血盟団は日蓮宗の僧侶・井上日召によって作られた民間右翼団体であった。日召は1931年、同志を集めて性急な国家改造計画を企てた。その方法として挙げられたのが、現政府の指導者一人一人を「テロ」によって血盟団員が「一人一殺主義」で暗殺してゆくというものであった。血盟団に暗殺候補者として挙げられたのは犬養毅・西園寺公望・幣原喜重郎・若槻礼次郎・団琢磨・鈴木喜三郎・井上準之助・牧野伸顕らなど、いずれも政・財界の大物ばかりであった。そして、血盟団は海軍と通じて密かにピストルを手に入れた。
1932年2月9日、東京本郷に選挙の応援演説に来ていた井上準之助が暗殺された。これは、浜口雄幸内閣で蔵相を務めていたとき、金解禁を断行した結果、かえって世界恐慌に巻き込まれて日本経済は大混乱に陥った。そのため、第一の標的とされてしまったのである。
翌三月、東京の日本橋にある三井本館で、三井財閥の総帥・団琢磨が暗殺された。これは、労働組合法の成立を先頭に立って反対した報復であると言われている。
この二つのテロ事件を「血盟団事件」という。事件後、警察による大規模な捜査により、暗殺計画の首謀者が井上日召(本名:井上昭)であることが突き止められた。日召は逃げられないと悟って警察に自首し、他の血盟団員も全て逮捕された。しかし、計画に密かに賛意を表していた海軍の一部の将校が、逮捕されることはなかった。