絶対奪格
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絶対奪格(ぜったいだっかく)は、ラテン語の文法の用語で奪格の分詞句が副詞句の働きをするものである。英語の文法の分詞構文、ギリシア語の絶対属格にあたる。英語の分詞構文と異なり、絶対奪格の主語は主文の主語とは一致しない。
[編集] 例
- Urbe capta, Aeneas fugit
- 都市が攻め落とされるとアイネイアスは逃走した。
名詞だけで絶対奪格をとることがある。
- Cn. Pompeio M. Crasso consulibus. . .
- グナエウス・ポンペイウスとマールクス・クラッススがコンスルのときに
- Ovidio exule Musae planguntur.
- ムーサはオウィディウスが流されて嘆いた
形容詞+名詞の例
- vivo Caesare. . .
- カエサルが生きているときに
以下は状況を表す例
- Ira calefacta, sapientia dormit.
- 怒りに火がつけば知恵は眠り去る
- Domino absente, fenestram penetravit.
- 家主がいないときに窓を通って入る
動作の描写の例
- Passis palmis pacem petiverunt.
- 手を広げて和平を訴える
リーウィドゥスや後期の作家には節になっている用例がある。
- audito eum fugisse...
- 彼が逃げたのを聞いて