糸満町
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糸満町(いとまんちょう)はかつて沖縄県(戦後は琉球政府)沖縄本島南部の島尻郡にあった町で、現在の沖縄県糸満市字糸満にあたる。
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[編集] 沿革
かつては兼城間切糸満村で同間切の一部だったが、この一帯は海人(うみんちゅ)の町として漁業が盛んであったため、1908年の島嶼町村制施行時に兼城村から分立し、唯一町制を敷いた(当時の沖縄県は現在の那覇市の一部にあたる県都の那覇区と首里区、そして糸満町以外は村だった)。その後、港を中心に沖縄本島南部の中心として発展していった。また1923年には沖縄県営鉄道糸満線が開通し、町内には終着駅となる糸満駅が糸満小学校の近くに設置された。しかし鉄道は沖縄戦で破壊され、糸満駅の跡地には糸満中学校が建てられた。
1961年10月1日に兼城村・高嶺村・三和村と合併し(新)糸満町となり、旧糸満町は糸満町字糸満となった。そして1971年12月1日に(新)糸満町は市に昇格、糸満市となった。
[編集] 行政区
- 南区(1区)
- 前端区(2区) 一部は合併後に埋立て
- 新川区(3区)
- 新島区(4区)
- 稲嶺区→新屋敷区(5区)
- 上之平区(6区)
- 西区(7区)
- 町端区(8区) 一部は合併後に埋立て
なお、西川区は(新)糸満町に合併後の埋立てで誕生した地域であるため、旧糸満町時代には存在しなかった。
[編集] 隣接していた自治体
いずれも現在の糸満市
- 兼城村
- 高嶺村
[編集] 現在の糸満市字糸満
合併後は(新)糸満町、そして市制施行後は糸満市の政治・経済の中心地としてさらに発展し、市役所をはじめ警察署、郵便局、消防署、銀行などが旧町内に置かれていた。
しかしもともと住宅が密集し過密状態であることと、市全体の人口増加で公共施設が老朽・狭隘化し、市は合併後の(新)町時代から漁港拡充・工場誘致も含め周辺の西側に次々と埋立地を建設した。そのため主な公共施設は1990年代までにすべて埋立地に移転した。また市制施行時に漁港西側の埋立地に移転した市庁舎も老朽化と国道331号バイパス建設のため、2002年に南側に埋め立てた潮崎町に移転した。現在は公設市場や銀行の支店を残すのみとなったが、郵便局は旧敷地内に「糸満新島郵便局」として存続しているほか、警察署も旧敷地に近い糸満ロータリーに交番を設置している。
それでも旧町内を通る国道331号や県道77号の幹線道路は迂回する道路はあっても、道幅がそれほど大きくないため糸満ロータリー付近は国道331号を中心に渋滞する。そのため那覇市から市南部の旧三和村にある南部戦跡に向かう観光バスは国道を避けて内陸の県道7号を通る。また渋滞解消のため沖縄西海岸道路糸満道路を建設しているほか、国道や県道の拡幅、旧町内の市街地を迂回する大型車通行可能な道路が建設されている。
このため、旧町内自体はかつてに比べ陰りが見えつつあるが、周辺の埋立地が発展しているためその分助けられている面もある。
[編集] 交通
- 道路
- 国道331号
- 国道507号(糸満ロータリーが起点だが国道331号に重複)
- 沖縄県道77号糸満与那原線(主要地方道)
- 沖縄県道54号線
- 沖縄県道250号糸満具志頭線
糸満市内を発着する路線バスはすべて旧町内を通過し、旧町内の糸満バスターミナル(琉球バス交通・沖縄バス)または旧高嶺村の真栄里の那覇バス糸満営業所(33番&46番・糸満西原線のみ)を発着する。
- 33番・糸満西原(儀保)線(那覇バス) 糸満ロータリー~照屋~県道7号
- 34番・糸満(東風平)線(沖縄バス) 糸満ロータリー~県道77号~与座~県道52号~国道507号
- 35番・糸満(志多伯)線(沖縄バス) 糸満ロータリー~照屋~座波・賀数~志多伯~東風平~国道507号~那覇方面
- 36番・糸満~新里線(沖縄バス) 糸満ロータリー~県道77号~与那原方面
- 46番・糸満西原(鳥堀)線(那覇バス) 糸満ロータリー~照屋~県道7号
- 81番・西崎向陽高校線(琉球バス交通) 糸満ロータリー~西崎~糸満ロータリー~照屋~大里・新垣~県道250号~具志頭方面
- 82番・糸満玉泉洞線(琉球バス交通) 糸満ロータリー~国道331号を南下~具志頭方面
- 85番・国吉(大里廻り)線(琉球バス交通) 糸満ロータリー→照屋→大里→新垣→国吉→真栄里→糸満ロータリー
- 86番・国吉(真栄里廻り)線(琉球バス交通) 糸満ロータリー→真栄里→国吉→新垣→大里→照屋→糸満ロータリー
- 89番・糸満(高良)線(琉球バス交通・沖縄バス共同運行) 糸満ロータリー~国道331号を北上(西崎経由もあり)~那覇方面
- 100番・白川線(沖縄バス) 糸満ロータリー~照屋~座波・賀数~志多伯~白川小学校~南部徳洲会病院~那覇方面
- 107番・南部循環(真壁廻り)線(琉球バス交通)
糸満ロータリー→照屋→大里→新垣→真栄平→真壁→米須→国道331号→喜屋武 - 108番・南部循環(喜屋武廻り)線(琉球バス交通)
糸満ロータリー→喜屋武→国道331号→米須→真壁→真栄平→新垣→大里→照屋→糸満ロータリー
[編集] 教育
- 学校
- 沖縄県立糸満高等学校
- 糸満市立糸満中学校(戦前は沖縄県営鉄道糸満駅だった)
- 糸満市立糸満小学校
- 糸満市立糸満南小学校
[編集] 主要施設
- 現在ある主要施設
- 以前あった主要施設
- 糸満市役所
- (現在の糸満新島郵便局近くから、1971年の市制施行時に漁港西側の埋立地に移転、さらに2002年に現在の潮崎町に再移転)
- (1970年代末期に隣接する旧高嶺村の真栄里に移転。現在の局舎は1995年に改築。移転後元局舎は糸満新島郵便局として存続し、1980年代後半に現在の局舎に改築された)
- 糸満市消防本部(1990年に旧高嶺村の大里の県道77号沿いに移転)
- 糸満電報電話局
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