笑ゥせぇるすまん
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笑ゥせぇるすまん(わらうせえるすまん)は藤子不二雄A原作のブラックユーモア漫画でアニメ化、テレビドラマ化もされた。セールスマンの喪黒福造(もぐろふくぞう)が現代人のちょっとした願望をかなえてやるが、約束を破った場合、その代償も負わされる。この作品の本質は単なるブラックジョークではなく、喪黒がオチで発するセリフが示すように、美味い話には用心せよという警鐘的・寓話的な意味合いを兼ねている。
原作のタイトルは『黒イせぇるすまん』(あるいは『黒ィせぇるすまん』)で、アニメ化の際に改題された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 作品概要
「私の名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまん。ただのセールスマンじゃございません。私の取り扱う品物は心、人間の心でございます。ホーホッホッ・・・。」で始まり、タイトルコール。導入部には「この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかり、そんな皆さんの心のスキマをお埋め致します。いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたらそれが何よりの報酬でございます。さて、今日のお客様は・・・」で始まる。低く不気味な喪黒の声から始まるこのストーリーは、生活が満たされていないと思い悩んでいる現代人の前に喪黒が突然現れるところから始まる。
喪黒は「魔の巣」というバーに出入りすることと、小田急線内に乗車していること以外の私生活一切が謎の男で、客に対して「ココロのスキマ♡ お埋めします」と書かれた名刺を差し出し自己紹介、一回だけという約束で束の間の夢をかなえてやる。なお、名刺に書かれている「ココロのスキマ」には「、」がついていたが後に「♡」になった。ちなみに名刺はウォータープルーフである("温泉奇行"より)。
しかし、多くの客はその夢に欲望を惹起されて暴走(喪黒との約束を破ることも含む)、あるいは喪黒にもう一度夢を叶えてくれるよう懇願し、それを約束違反として「ドーン!!!!」という呪文とともに奈落の底に落とされてしまう。軽いものでは、単なる遅刻をしたり妻に怒られたりするものから、財産的・精神的な破産や、進退窮まったり、動物や化け物にされたり、廃人にされたり、ひどい場合は死んでしまうといった結末が待っている。また、喪黒と関わった客が他の話で再登場することもある。
原作・アニメともに初期は喪黒によって(怪しげな物をプレゼントされる場合も含めて)「ドーン!!!!」という呪文によって客は束の間の夢を励起され、その後欲望のままに暴走し自滅してしまうパターンが多かった(「ドーン!!!!」はストーリーの中盤から後半にかけて出る)が、やがて客が喪黒との約束を平気で破ったがために、ストーリーの最後で「ドーン!!!!」を浴び、破滅するパターンが圧倒的に多くなった。最後には不幸のどん底へ陥れられた客を見届けた喪黒の一言と笑いのオチで閉めくくられる。客が喪黒の誘惑を振り切ったり("プロローグ")、喪黒自身が客を破滅から救う話("夜行列車")もあるが、それぞれ1回だけという希少なものである。一方、彼が最初から客をひどい目に遭わせようとするなど、せこい手を使うケースも少なくない。
変わったオチでは、外国人夫婦共々日本通になった話("ブルー・アイ・ジャパニーズ")や、失敗しても懲りない男の話("看板ガール" これには喪黒自身も呆れていた)、痴漢のプロになってしまう老人の話("チ漢さん")など、意外に多彩である。ただ、唯一"愛妻写真"だけはややハッピーエンドである。現代社会の風潮として考えられないオチでは、ホステスになった男の話("5時からCLUB")や、夫が妊娠してしまう話("主夫道")など。
初登場時は『黒イせぇるすまん』であったが、1980年代末にアニメ化にあたり『笑ゥせぇるすまん』に改題された。これに関しては、当時黒人差別表現問題が大きな話題となっており、「黒」が自主規制にひっかかって変更されたという説がある。また、主人公の名も『黒イせぇるすまん』の当時は「もぐろふくぞう」の読みではなく、「もこくふくぞう」であったが、改題と共に変更されている。
関連作品として喪黒福造の弟が主人公の「喪黒福次郎の仕事」がある(後述「その他」参照)。
[編集] 歴史
- 1968年に小学館のビッグコミックの読みきり作品「黒イせぇるすまん」として登場。
- 1969年から1971年まで実業之日本社の漫画サンデーで「黒ィせぇるすまん」として連載。
- 名刺には「ココロのスキマお埋めします」ではなく「友愛事業団 外務主任」と書かれている。
- 1989年10月から1992年までTBS系の番組ギミア・ぶれいくでアニメ化。タイトルが「笑ゥせぇるすまん」と変わった。
- 1989年12月号のビッグコミック「笑ゥせぇるすまん」として読みきり作品を掲載。
- 1990年から1995年まで中央公論社の中央公論に「笑ゥせぇるすまん」として連載。
- 1996年から2000年まで漫画サンデーに「帰ッテキタせぇるすまん」として連載。
- 1999年にテレビ朝日系でドラマ化。
- 2001年よりコミック伝説マガジンおよび漫画サンデーに「踊ルせぇるすまん」を連載。
- 2003年にビッグコミック1001号記念作品として誕生秘話を明らかにした読みきり作品「わが名はモグロ・・・ 喪黒福造」を掲載。独特のふてぶてしい見た目は大橋巨泉がモデルであることが明らかにされた。
[編集] アニメ
大人向け番組であるギミア・ぶれいく内でアニメ化され、それまで一般には児童漫画だと思われていた藤子不二雄作品に別の面があることが認知されるきっかけになった。
アニメはヒットし、笑ゥせぇるすまんの知名度を押し上げた。夜9時以降の放送にもかかわらず、小学生にも人気があったという。実際、漫画サンデー連載分の原作がアニメ化され尽くされると、オリジナルストーリーのアニメを放送した。さらに、中央公論で連載が始まると、オリジナルストーリーに中央公論での連載分のアニメ化作品を混ぜて、放送を続けていった。また、中央公論からの作品には少し内容をアニメ用に変更しているものもある。
特番と再放送にのみ主題歌がある。なお余談であるが、後にホワイトアウトなどの小説を書いた真保裕一が演出を手がけている。
1989年10月17日~1990年9月25日、1991年3月12日~1992年3月24日、同年7月7日~9月29日放送。
またその人気の高さからか、ギミア・ぶれいく放送終了後はスペシャル版が過去3回特番として放送されている。
- 笑ゥせぇるすまんスペシャル:1992年12月26日午後10時~11時30分放送
- 全4話。うち、原作のアニメ化ストーリーは1話のみ。
- 笑ゥせぇるすまん春の特大号:1993年4月6日午後9時~11時放送
- 全5話。うち、「大変愛」と「何もしない課」は、原作は喪黒とは何の関係もない独立した作品だったが、ストーリーを改変して、喪黒を登場させている。また、1968年の小学館ビッグコミックでの読みきり作品「黒イせぇるすまん」が、「弱肉強食」として、アニメ化された。
- 笑ゥせぇるすまん年忘れ特大号:1993年12月28日午後9時~11時放送
- 全5話。全話とも、中央公論での連載後期の作品のアニメ化。うち、「豹変ゴルファー」は、初期のパターンを踏襲した異色作で、客がストーリーのちょうど中間で「ドーン!!!!」を浴び、そのままCMへと入っていった。
[編集] 登場人物
- 喪黒福造:大平透
- バー「魔の巣」のマスター(彼は喪黒とグルを組んでいるらしい)
- 客
[編集] 主題歌(特番と再放送のみ)
[編集] ビデオ・DVD
- ビデオ(全24巻)
- 『藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまん』
- 『新・藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまん』
- 『新新・藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまん 喪黒福造がドーン!』
- 『藤子不二雄Aの笑ゥせぇるすまんスペシャル』
- DVD
- DVD化はされていないが、ファンからのDVD化を要望する声も多い[1]。
[編集] ドラマ
1999年にテレビ朝日系でドラマ化された。同年6月26日~9月18日に放送、全10回。平均視聴率8.4%。喪黒役の伊東四朗がハマリ役であった。各話の『お客様』は知名度の高い俳優を毎回起用。なお「魔の巣」のマスターは当初は原作通り一切喋らず、喪黒と客のやりとりにも無関心な男であったが、後半では喋るようになった。また、梨花演じるドラマオリジナルの魔の巣の助手も、当初は怪しいジェスチャーだけをとる不思議な女性であったが、後半にはマスター同様喋るようになった。2006年現在ソフト化されていない。
[編集] キャスト
[編集] ゲスト出演者
- SALE1「ココロ痴漢」
- SALE2「シルバーバンク」
- SALE3「化けた男」
- SALE4「ダミイ」
- SALE5「5時からCLUB」
- SALE6「主婦タレント」
- SALE7「言いたいことを思いきって…」
- SALE8「マンガニア」
- SALE9「スタア病患者」
- SALE10「たのもしい顔」
[編集] スタッフ
[編集] 歌
- オープニング - 「Dear...My love」(作詞:KEN、作曲:KEN、編曲:D-SHADE、歌:D-SHADE)
- エンディング - 「モグロのサンバ」(作詞:藤子不二雄A、作曲:MASAKI、歌:喪黒福造 with ダイナマイトSHU(伊東四朗))
- 挿入歌 - 「ふたりなら(single version)」(作詞・作曲・歌:山口由子)
[編集] パチンコ
藤子・F・不二雄と違い藤子不二雄Aは自身の作品のパチンコ機化には寛容で、この笑ゥせぇるすまんについても、過去3度パチンコ機化され、最新では2005年に「CR笑ゥせぇるすまん3」が登場している。
[編集] その他
2000年と2001年にはビジネス・ソフトウェア・アライアンス (BSA) と社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 (ACCS) の2団体が共同で行った「違法コピー撲滅キャンペーン」で、ソフトの違法コピーを貸し借りしていた会社員を喪黒が「ドーン!!!!」という呪文とともに奈落の底に突き落とし、最後に「コンピュータソフトの違法コピーは犯罪ですよ。ホーッホッホッホッホッホ」と警告するテレビCMが放送された。記事(2000年) 記事(2001年)(外部リンク)
この他、東京都の悪徳商法防止啓発のテレビCM(1991年)やJR東海の「きっぷは必ず目的地まで」のポスター(2003年)、駅員への暴力が頻発していたJR東日本の犯罪防止啓発ポスター(1999年、管内各都県警察と合同)も「喪黒福造」がPRキャラクターとして使われた。
泉谷しげるが日刊スポーツで連載していたコラムで、槇原敬之のことを「笑ウせえるすまんのようなヤツ」と批判をしたことがある。
[編集] 喪黒福次郎の仕事
外伝として主人公喪黒福造の弟、喪黒福次郎を主人公にした「喪黒福次郎の仕事」という作品がある。内容は喪黒福造とは逆で主人公の福次郎が「痴漢に間違えられた」「ゴルフ中の不正を部下に見られた」など困っている人を助けるという話。
文藝春秋社「カピタン」で1997年から連載され作者自身も気に入っていたが、雑誌が廃刊になったため、1998年にわずか12話全1巻で終了した。
[編集] 関連項目
テレビ朝日 土曜20時台 | ||
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