神業-KAMIWAZA-
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神業-KAMIWAZA- | |
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ジャンル | アクション |
対応機種 | プレイステーション2 |
開発元 | アクワイア |
発売元 | アクワイア |
人数 | 1人 |
発売日 | 2006年8月31日 |
価格 | ¥7,140 |
対象年齢 | CERO:B |
『神業-KAMIWAZA-』(かみわざ)は2006年8月31日にアクワイアより発売のプレイステーション2用ゲームソフト。
目次 |
[編集] 概要
このゲームは泥棒の「海老三」が主人公のステルスアクションゲーム、人呼んで、ステルス泥棒アクション。 隠密アクションゲーム『立体忍者活劇 天誅』シリーズや、忍者アクションアドベンチャー『忍道 戒』など、数多くの時代劇ゲームのヒット作、とりわけステルスアクションを開発してきた会社アクワイアの、最新作である。 盗人をモチーフにゲーム上の様々な概念が従来のアクションとはずらされており、さらに海老三の動きは不審そのものであり、風合の異なゲームであるが、実質的なアクション、アドベンチャーとしての出来はしっかりしている。 泥棒といっても、海老三は、「義賊」としての盗みを己に課しており、殺し、押し入り強盗は法度。秘密裏に、持てるものから盗み、持たざるものに分け与えることを目指す。とはいえ、主人公を取り巻く状況の中で、何の為に盗みをし、いつどこから盗み、盗んだ成果をどのように生かすかはプレイヤー次第。 プレイヤーの行動によってシナリオは変わってくる。 メニュー画面の項目が「はじめから」と「続きから」しかなく、全てが本編につめこまれている。
[編集] ゲームシステム
- 風呂敷・・・盗んだものは風呂敷に詰めていき、詰め込んだ分大きくなる。ボールのように扱うことも可能。着脱が可能で、離れたところに置き去りにした風呂敷も手元に引き寄せるというトリックが可能。見つかりにくさや内容積などそれぞれ異なった特徴を持った風呂敷が存在。風呂敷には盗品とは別にアイテム欄が存在し、いくつかの便利グッズを収められる。
- 変装・・・手拭を顔に結ぶことで変装。手拭の種類や結び方で見つかりにくさや面割れのしやすさが変わる。変装すると昼夜を問わず不審に思われる。
- 不審な行動・・・変装、目立つほど大きく膨らんだ風呂敷を背負う、風呂敷を引き寄せる、盗むなどの行動や私有地に足を踏み込んだ姿を見られる、そっくりな人相書が出回っている状態で見られたりすると、あからさまに警戒される。逆に言えば、不審な行動を見られさえしなければ、いくら姿を見られても、周囲から警戒されたり、追い回されたりはしない。
- すずな・・・病に倒れた娘。薬や食物を与え、病を癒せ。
アクションは、泥棒に必須の、「隠れる」、「盗む」動作をメインに仕立てている。
「隠れる」・・・連続して相手の視線を奪った回数により1隠、2隠・・・という「隠コンボ」が発生
- ワンボタンステルス・・・ボタン一発の簡単操作で、華麗に隠れる。地形や屋内の構造にあわせ、最適な隠れ方をとることが出来る。これで隠れたのか?と自ら疑うような不審な隠れ方であっても、相手が気付かなければそれは隠れているのだ。人間心理の虚を突き、巧みに身を隠せ。また、隠れる動作は、マップにおける行動範囲を広げたり、敵との格闘中に攻撃を避けるのにも役立つ。ただし、ただ単に身を隠したり、発覚後に敵の追跡を逃れる為に身を隠しても隠コンボは発生しない
- アテンション・コントロール・・・読んで字のごとく、敵の注意、視線を自在にそらし、プレイヤーの存在に気付かれないような行動をとる。浮世絵や花火といったアイテムや、手持ちの風呂敷包みによって相手の視線を奪う。何かに視線を奪われた者からはその視線を指し示す赤い光線が発生し、隠れるのと同等の効果をもたらす。多くの耳目をひきつける花火などは一発でも多くの隠コンボを稼ぐことが出来る。
- ジャストステルス・・・相手の視界に入った瞬間に隠れる動作を行うことで、周囲に隠れるところがない状態でも敵の目を逃れることが出来る。自らの残像で相手の視線を奪っているため、隠コンボを稼ぐのに有効。
「盗む」
- 盗みアクション・・・盗む動作は、必要以上に派手である。両手によるブローや蹴りといった格闘的動作によって盗み取ることが可能になる。
- スリ盗り・・・人物の正面から盗みアクションを行うことで懐の金品を掏ることができる。
- 錠前破り・・・「針金」によって錠前を破る。所持している針金のレベルによって破れる錠前が決まる。掛かっている錠前を破れる針金を所持していれば、錠前破りのアクションが発動。サイトにあわせ複数回タイミングよくボタンを入力することで錠前を破れる。
「隠れる」×「盗む」
- 素敵スティール・・・ジャストステルスやアイテムによって隠コンボを稼ぐと、100素敵、200素敵・・・と表示され、表示が消える前にに盗むことで「素敵スティール」が発動し、1盗、2盗・・・という「盗コンボ」が発生。多くの隠コンボを稼いだ後、さらに多くの獲物を盗めば、隠れることで得た素敵点の素点とその直後に盗んだ回数の積の分だけ「素敵点」を獲得できる。素敵スティールを発動させなければ、隠コンボで得た素敵点の素点は消え、素敵点を得ることは出来ない。
- 素敵点・・・素敵スティールなど素敵な行いをすると得られるポイント。「おやっさん」による修行に使用。
- 盗人之湯・・・表向きは銭湯「白波之湯」だが、盗み道具の販売、盗品の換金など、盗人をサポートする施設。
- 元締め・・・金を貢ぐことでよきにはからってくれ、店やおやっさんの教えてくれる技のラインナップが増加。さらにいいことも・・・
- ネタの市・・・さりげなく控えている男を通して、高額物件や落し物探しなど盗人向けの様々な依頼(ネタ)を請けることができる。
- 換金楼・・・風呂敷の中身の換金。素敵スティールで盗めば換金楼のオヤジの歓心を買え、高額で引き取ってもらえる。
- 盗人屋・・・風呂敷、手拭、花火、浮世絵など盗人の用いる道具の販売。
- おやっさん・・・素敵点と交換に、隠れ技や手拭の結び方を教えてくれたり、免状試験への挑戦権をくれる。
- 免状試験・・・おやっさんのくれる免状情報を風呂敷に入れ、条件をこなすことで盗みの仕事がしやすくなる特典のついた免状を得ることが出来る。
- 民箱・・・義賊ならば、盗品を民に施すべし。施せば民衆からの人気を得、好意を持たれたり英雄扱いされ、人相書を破り捨てたりしてくれるので、盗みを行いやすくなる。
- 火付盗賊改・・・盗人を捕まえようと躍起になっている役人たち。偉くない順に同心クラス、与力クラス、御頭がいる。正体がばれていず、不審な行動を見かけられなければ、普通にやり過ごせる。町で不審な行動を見られるとどんどん動員され、徐々に偉い人が増える。御頭まで来た暁には逃げた方が無難。
- 人相書・・・現場で目撃されればされるほど絵が本物の顔に似てくる。
- 脱獄・・・義賊ではあるが、そんな言い訳は火盗改には通用しない。捕まってしまえば牢獄にぶち込まれる。しかし脱獄できる。さらに脱獄中に逃げながら盗むことさえ可能。罪が重ければより地下にぶち込まれる。
「戦闘」
- 武士や火盗改といったマップ上の敵と戦ったり、ストーリーじょうにはいくつかのボス戦が織り交ぜられている。盗む動作を攻撃に、隠れる動作を回避に見立て戦闘を繰り広げる。海老三以外にはHPは存在せず、主に相手の心を盗むことで対抗する。
- 風呂敷による攻撃・・・風呂敷を相手に蹴り当てることで気絶させる。また、風呂敷の中の盗品をマシンガン張りに射出することで気絶させる。
- スリ取りによる攻撃・・・懐のものを盗む。全て盗み取ったついでに奴の心も盗み取り、気絶させる。得物を盗み丸腰にして負かすことも。
- 蹴り・・・蹴るのは風呂敷、獲物、そして人・・・転ばせることが可能。
- 隠れ動作による回避・・・敵の攻撃の軌跡を見切り、華麗にかわせ。
[編集] ストーリー
舞台は江戸末期、東北地方を根城として名を馳せていた義賊集団『銀鴉衆(ぎんがらす)』。 義賊に身をおいていた若き日の海老三は、義賊の道を信じ、周囲の大人たちのような立派な義賊になることを夢見ていた― 十年前―銀鴉衆としての初仕事の日、屋敷に赴いた海老三。仕事中、幼き少女、すずなを見つける。 一方そのころ、義賊であるはずの銀鴉衆の他の仲間は、寝屋で殺しを行っていた。失望する、兄貴分の藍之助と海老三。 海老三は、藍之助の指示で、幼き命を守る為、すずなとともに逃げ出す― 十年後―堅気の仕事である大工に職を移し、親を亡くしたすずなを養ってきた海老三。明るく健気な娘に育ったすずな。貧しいながらも平穏で幸福な暮らしだった。 しかし、そんな幸せも束の間、すずなは重い病にかかってしまう。治すには高価な薬が必要だ。貧しい海老三には到底手の届くものではない。 葛藤する海老三、しかしすずなの為に、再び盗みに手を染めることを決意。 その矢先、かつての兄貴分、藍之助と再会、彼を信じ、海老三は義賊「藍三団」として働きを開始した。
[編集] 地図
- 零村・・・貧しいぎりぎりの生活をするものの住処。海老三の家も此処にある。
- 鳴洲町・・・そんなに貧しくなく、大金持ちでもない者たちの退屈な生活の場。
- 盗人之湯・・・白波之湯として普通に営業しているが、実は盗人の拠点。
- 紅天通り・・・商店が集中している。あくどく儲けた富める商家が多い。
- 三角港・・・漁師の仕事場、また商船「尖閣丸」が停泊。
- やしゃらぎ大社・・・人々の訪れる神社。「心の巣」というスナックのような名前の社務所があり、妙に力の抜けた巫女がお守りなどを販売。
- 外ヶ崎屋敷・・・風情豊かな武家屋敷。宝が多い。黄武士、青武士、赤武士がたくさん。
- 三角城・・・御取り潰しで廃墟となり、荒れ放題の城。
- 無間牢獄・・・罪人を放り込む場所。地下に階層が伸びている。
[編集] 登場人物
- 海老三(えびぞう)(声:小野大輔)
- 主人公。『銀鴉衆』を抜け、盗みから足を洗い大工となりすずなを育ててきたが、病に倒れた娘すずなの薬を買うために義賊としての盗みを再開。
- すずな(声:仙台エリ)
- 親を亡くし、ひょんなことから海老三に育てられる。内職をし、実入りの少ない家計の手助けをしていたが、重い病にかかってしまう。
- 藍之助(あいのすけ)(声:藤原啓治)
- 海老三の兄貴分。完璧な盗みをポリシーにしているが人に対しては寛大。
- 元締め(もとじめ)(声:沢海陽子)
- 盗人の同業組合「盗人之湯」の元締め。過去に幕府の御庭番としての経歴を持つ。海老三に自分に貢ぐことを要求する。
- 「火付盗賊改」 御頭 (ひつけとうぞくあらため おかしら)(CV:楠見尚己)
- 放火・窃盗・博打を取り締まる「火付盗賊改」の首領。多くの同心を率い、盗人に睨みを利かす。苛烈な法の番人の裏の顔とははたして。
[編集] 銀鴉衆
- 銀狐(ぎんぎつね)(声:納谷六朗)
- 銀鴉衆の副総代。盗人歴は長くすでに老人といっていい風貌だが、短気で残虐、己の為には他を顧みない男。得物は斬って盗める刀「釣包丁」。
- お夏(おなつ)(声:谷育子)
- 女盗賊。女とは思えない魁偉な容貌を持ち、怪力による豪快な盗みを行う。
- 百紋(びゃくもん)(声:甲斐田裕子)
- 謎めいた女盗賊。派手な装いとは裏腹に、物腰は丁寧で慎重。
- 狛獅子(こまじし)(声:吉野貴宏)
- 見た目は獅子舞のからくり。口から火を吐き、火付け盗賊のような盗みを行う。中には意外な人物が。