白髪三千丈
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白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)は、唐代の詩人・李白の五言絶句「秋浦歌」第十五首の冒頭の一句。
「縁愁似箇長(うれいによりてかくのごとくながし)」と続き、通常、「積もる愁いに伸びた白髪の長さは、三千丈(約9キロメートル)もあるかのように思われる」と解釈されているが、日本においては、この一句のみを取り出し、極端な誇張表現の例としたり、あるいは中国人の誇張癖を象徴するものとして(一種の冗談として)引用することもある。
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[編集] どうして「三千丈」か
「三千丈」という表現の背景には、作詩上の制約がある。
「白髪三千丈」の平仄について見れば、最初の二字「白髪」が仄仄であり、近体詩の規則によれば、続く二字は平平でなくてはいけない。一方、一~九までの漢数字及び十・百・千・万・億・兆という位数のうち、平声の字は「三」と「千」のみである(京も平であるが、通常使用される位数ではない)。
この結果、句頭に「白髪」を示した時点で、次に続く数字はほぼ選択の余地なく「三千」に定まってしまうことになる。
また、句末の一字は、仄でなくてはいけないため、ここに長さを示す字を置くとなると、仄声である「寸」、「尺」、「丈」等から選択するしかない。
もっとも、以上のような制約があるからといって、無数の可能性の中から「白髪三千丈」の五字を選び、人口に膾炙する名句とした李白に対する評価が損なわれるわけではない。
[編集] 白髪三千丈に関する異説
[編集] 白髪は「増えた」
日常の感覚として、白髪は、増えるものであって、「長く伸びる」とは言わない。また、「長」の字には、「大きい、多い」の意味もあることから、「愁いに増えた白髪の多さは、継ぎ足していけば三千丈の長さになるだろう」と解釈することもできる。
なお、人間の髪の毛の本数を約10万本、髪の毛の長さを約10~15センチメートルとすれば、その延べ長さは10~15キロメートルとなり、このとき、三千丈という表現は、実際にはむしろ控え目なものであることになる。
[編集] 三千大千世界
仏法の 「三千大千世界」から、「三千」の語を、「極めて多い」、「極めて広い」などという意味で包括的な形容に使うようになったものであって、算術の「三千」ではない。
[編集] 関連項目
- 黄塵万丈