田中春男
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田中 春男(たなか はるお、1912年3月25日 - 1992年2月21日)は、昭和期の日本の俳優であり、名脇役として日本映画界を支えたバイプレイヤーである。
[編集] 略歴
1926年、日活の俳優としてデビュー。後に東宝に移籍、さらにフリーとなる。日本映画史を彩る数々の巨匠の下で、脇役中心ながら出れば光る独特の個性を発揮した。
特に腹に一物ある関西人(商人など)を演じさせたら天下一品の名優であった。分けても清水次郎長で知られる「次郎長三国志」シリーズの登場人物である法印大五郎は、自らもって適役と任ずる当たり役で、監督や配給会社が変っても自ら志願して可能な限り演じ続けた。東宝で9本、東映で4本の同映画を残し「次郎長ものの神様」とも称されたマキノ雅弘監督などは、彼の意志と演技力を高く評価していた。
[編集] おもな出演作品
- 狂恋の女師匠(監督:溝口健二 日活 1926年)
- かんかん虫は唄ふ(監督:田坂具隆 日活 1931年)
- 大地に立つ 前篇/後編(監督:内田吐夢 日活 1932年)
- 一九三二年の女(監督:村田実 日活 1932年)
- 風流活人剣(監督:山中貞雄 日活 1934年)
- 忠臣蔵 刃傷篇/復讐篇(監督:伊藤大輔 日活 1934年)
- ハワイ・マレー沖海戦(監督:山本嘉次郎 東宝 1942年)
- 三十三間堂通し矢物語(監督:成瀬巳喜男 東宝 1945年)
- わが青春に悔なし(監督:黒澤明 東宝 1946年)
- 今ひとたびの(監督:五所平之助 東宝 1947年)
- 三百六十五夜 東京篇/大阪編(監督:市川崑 新東宝 1948年)
- 小原庄助さん(監督:清水宏 新東宝 1949年)
- 暁の脱走(監督:谷口千吉 新東宝 1950年)
- 雪夫人絵図(監督:溝口健二 新東宝 1950年)
- 銀座化粧(監督:成瀬巳喜男 新東宝 1951年)
- 生きる(監督:黒澤明 東宝 1952年)
- 次郎長三国志(全九作)(監督:マキノ雅弘 東宝 1952年~1954年)
- 煙突の見える場所(監督:五所平之助 新東宝 1953年)
- 祇園囃子(監督:溝口健二 大映 1953年)
- やくざ囃子(監督:マキノ雅弘 東宝 1954年)
- 近松物語(監督:溝口健二 大映 1954年)
- 夫婦善哉(監督:豊田四郎 東宝 1955年)
- 王将一代(監督:伊藤大輔 新東宝 1955年)
- 決闘巌流島(監督:稲垣浩 東宝 1956年)
- 早春(監督:小津安二郎 松竹 1956年)
- 赤線地帯(監督:溝口健二 大映 1956年)
- 愛情の決算(監督:佐分利信 東宝 1956年)
- 妻の心(監督:成瀬巳喜男 東宝 1956年)
- 雪国(監督:豊田四郎 東宝 1957年)
- 東京暮色(監督:小津安二郎 松竹 1957年)
- どん底(監督:黒澤明 東宝 1957年)
- 無法松の一生(監督:稲垣浩 東宝 1958年)
- 血汐笛(監督:小沢茂弘 東映 1958年)
- 殿さま弥次喜多 怪談道中(監督:沢島忠 東映 1958年)
- 一心太助 天下の一大事(監督:沢島忠 東映 1958年)
- 暗黒街の顔役(監督:岡本喜八 東宝 1959年)
- 或る剣豪の生涯(監督:稲垣浩 東宝 1959年)
- 天竜母恋い笠(監督:工藤栄一 東映 1960年)
- ギャング対Gメン 集団金庫破り(監督:石井輝男 東映 1963年)
- 人生劇場 飛車角(監督:沢島忠 東映 1963年)
- 悪名市場(監督:森一生 大映 1963年)
- 次郎長三国志(全4作)(監督:マキノ雅弘 東映 1963年)
- 車夫遊侠伝 喧嘩辰(監督:加藤泰 東映 1964年)
- われ一粒の麦なれど(監督:松山善三 東宝 1964年)
- 高校さすらい派(監督:森崎東 松竹 1970年)
- 新網走番外地 嵐を呼ぶ知床岬(監督:降旗康男 東映 1971年)
- 山口組三代目(監督:山下耕作 東映 1973年)
- 竜馬暗殺(監督:黒木和雄 ATG 1974年)
- 潮騒(監督:西河克己 東宝 1975年)
- 悪魔が来りて笛を吹く(監督:斎藤光正 東映 1979年)
- 炎のごとく(監督:加藤泰 東宝 1981年)
- お葬式(監督:伊丹十三 ATG 1984年)
- ビー・バップ・ハイスクール(監督:那須博之 東映 1985年)