生きている化石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
生きている化石(いきているかせき)とは、太古の地質時代から変化無く生息し続けている生物のことを言う。「生きた化石」とも、「遺存種」とも呼ばれる。地層の中から出土する化石と同じ姿で現代にまで生息していることから、このような呼び名が付いた。
目次 |
[編集] 生きた化石の価値
化石は過去の生物を知る重要な手掛かりであるが、化石資料は断片的なものが多い。そもそも化石に残らない生物があることは当然としても、化石が出るにせよ、化石から知ることのできる、その生物の姿は完全なものではない。たとえば内臓器官の構造は残らない。生態が分かることはまずない。
しかし、化石で見つかる生物が、現在も生きて発見されれば、それを手掛かりに化石資料を理解し、逆に化石で分かるその生物の位置付けから、その生物の再評価が可能になる。生きた化石は、そのために分類学や古生物学では重要なものである。たとえばイチョウから精子が発見されたのはその代表的なものであろう。
生きた化石と言っても、ごく普通に身近に生息するものもある。ゴキブリやソテツなどはその例である。しかし、化石で発見され、はるか昔に絶滅したと考えられていた生物が、突然発見されることもある。シーラカンスやメタセコイアの発見は、現在では伝説的な物語として語られる。
おおよそ「生きた化石」と呼ばれる生物は以下の基準を満たしている。
(1)太古の化石種と比較してその現生生物種の形態があまり変化していない。
(2)かつて繁栄したが現生種は細々と生き残っている。
(3)現生種が再発見される前に化石の方が先に発見され研究されている。
狭義の生きた化石と呼ばれる場合は(1)・(2)の両方の条件もしくは(1)・(3)の両方の条件が満たされていなくてはいけないが広義には(1)のみを満たしていれば良しとする場合もある。理想的には(1)~(3)の全ての条件を満たしている事である。
例えば典型的な生きた化石のシーラカンスやメタセコイアは(1)~(3)全ての条件を満たしている。しかしカブトガニやシャミセンガイは(1)・(2)しか満たしていないし、ゴキブリに至っては(1)のみであり地球上に出現以来繁栄を重ねていてとても“細々”などと言えたものではない。またサメも出現以来大きな体制の変化をする事がないという意味では(1)の条件を満たしているので生きた化石と言えよう(しかしサメで生きた化石と呼ぶ場合は大抵ラブカを指す)。
[編集] 動物
- カブトガニ
- キムラグモ
- ムカシトンボ
- オウムガイ
- シーラカンス
- ポリプテルス
- ハイギョ
- ムカシトカゲ
- アフリカゾウ
- オカピ
- ゴキブリ
- ラブカ(サメ)
- オオサンショウウオ
- カブトエビ
- タカアシガニ
- ミドリシャミセンガイ(シャミセンガイ)
- ウミユリ
- カモノハシ
- オキナエビスガイ
- カニョウ(Laotian Rock Rat)