特四式内火艇
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特四式内火艇 | |
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基礎データ | |
全長 | 11.00 m |
全幅 | 3.30 m |
全高 | 2.25 m(車体) 4.05 m(含む防盾) |
重量 | 16 t |
乗員数 | 5 名 |
装甲・武装 | |
装甲 | 前面10 mm(軟鉄) |
主武装 | 八年式魚雷×2 |
副武装 | 13mm機銃×2 |
備考 | 積載量 4 t |
機動力 | |
速度 | 20 km/h(整地時) 8 km/h(水上) |
エンジン | 空冷6気筒ディーゼル 110 hp |
懸架・駆動 | |
行動距離 | 300 km(水上) |
特四式内火艇 カツ(とくよんしきないかていかつ)は大日本帝国海軍(海軍陸戦隊)の水陸両用装軌車。昭和19年(1944年/皇紀2604年)に制式採用された(年式は皇紀による)。
目次 |
[編集] 概要
帝国海軍は上陸作戦用にこの種の車輌を開発しており「特型内火艇」(内火艇とはモーターボートのこと)と呼称した。
本車は、上陸作戦用の大型発動艇(大発)が糧食弾薬を運搬する際、波打ち際での揚陸作業中に攻撃を受けて度々被害を出していたことへの対策として発案され、米軍のLVTの情報を参考としていた。
設計当初構想された運用方法は、夜間に沖合の潜水艦から発進し、夜が明ける前に砂浜からジャングルの葉陰に隠れる事で敵の攻撃を避けるというものだった。すなわち上陸能力を与えられた運貨艇としての運用が想定されていたといえる。貨物の積載能力は4 t で、LVTと同じく車体自体に浮力を持たせており、他の特型内火艇のような着脱式の舟形フロートは不要である。車体サイズには余裕がありこれが魚雷を搭載した攻撃兵器に転用された理由だと思われる。
1943年(昭和18年)12月末、潜水艦部隊である第6艦隊隷下の第15潜水隊(潜水艦6隻)にウルシー環礁の米軍艦隊を攻撃する任務が命令された。これは魚雷を搭載した本車が環礁を形成するサンゴ礁の外側の潜水艦から発進、無限軌道で岩礁を乗り越えて環礁内に侵入、敵艦隊を魚雷攻撃するというもので、車体にも爆薬を搭載した特攻作戦であった。この作戦名「竜巻作戦」に向けて実験が繰り返され、魚雷発射の試験は問題がなかったものの、特二式内火艇から流用された無限軌道は岩礁に踏み込むと破損しやすく、空冷ディーゼルエンジンは騒音が激しく隠密性も低かった。作戦実行時の潜水艦長に指名されていて、実験にも参加した板倉光馬少佐によると、騒音は「まさに戦車が吼えている」感じで、走行性能は「ヒキガエルの王様」だったらしい。
潜水艦に搭載されることも考慮されていたため主要部は耐圧構造となっていた。しかし潜水艦からの発進には20分前後を必要とし、複数の潜水艦が敵前浮上して発進させるとなると肉眼はまだしもレーダーの目を逃れることは出来ず、大きな危険が予想された。また長時間海水を運ばれてきた本車のエンジンが始動するか疑問であった。このため潜水艦長からは作戦に真っ向から反対され、技術陣からも作戦実行を不安視する意見具申が行われた。さらに潜航時のプロペラシャフト接合部からの油の漏洩が改善できず、位置暴露の原因になりかねなかった。一時は1944年(昭和19年)4月10日[1]の決行を予定して準備が進められたものの、潜水艦による出撃は行われなかった。
将兵60余名によって構成された特攻部隊Z隊が瀬戸内海の呉市情島で訓練を行い、輸送船2隻に分乗し出撃したが、フィリピン沖合で1隻が撃沈され、作戦は中止された。
18輛が生産されたが、最終的には50輛近くが生産されたとする資料もある。
[編集] 出典
- 堀 元美 『潜水艦 その回顧と展望』 原書房、1987年、ISBN 4-562-01855-0
- 板倉光馬 『あゝ伊号潜水艦』 光人社NF文庫、1993年、ISBN 4-7698-2005-4
[編集] 外部リンク
- 生存者の証言、襲撃隊員の慰霊
- 碑文にはZ隊の概要が書かれている
[編集] 脚注
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