牝馬
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競馬の世界では、メスの馬のことを牝馬(ひんば)と呼ぶ慣習が定着している。なお、オスの馬のことは牡馬(ぼば)という。
牡馬に比べ競走能力などは劣るが、中には牡馬をも脅かすような牝馬も存在する。
牝馬は引退後、多くが繁殖牝馬となり、牡馬と交配し仔を産む。競走馬の現役時代に活躍したような牝馬が繁殖入りし、その仔が産まれデビュー戦を迎えると話題となる。そのため、古馬戦での活躍を期待されながら、驚くほど早くに引退し、繁殖牝馬となる馬も見られる。
競走馬として活躍した牝馬が優秀な繁殖牝馬になるとは限らない。逆に、競走成績が芳しくなかった馬やレースに出走することすら出来なかった馬から優れた能力を持つ競走馬が誕生することもある。
[編集] 日本で活躍した牝馬の競走馬
- クレオパトラトマス: 28戦16勝。デビュー3戦目にして天皇賞の前身である帝室御賞典を制する。
- クリフジ: 11戦11勝。東京優駿競走(日本ダービー)・阪神優駿牝馬(オークス)・京都農商省賞典四歳呼馬(現在の菊花賞)を制する。1984年顕彰馬に選出。
- トキツカゼ: 農林省賞典(現在の皐月賞)、優駿牝馬(オークス)を制する。母としてもオートキツ(東京優駿)、オンワードゼア(天皇賞(春)・有馬記念)を産む。1984年顕彰馬に選出。繁殖牝馬としても成功した。
- ガーネツト: 1959年天皇賞(秋)・有馬記念を制する。
- スターロツチ: 1960年有馬記念を制する。3歳(当時の表記では4歳)牝馬で唯一の有馬記念制覇。
- トウメイ: 史上2頭目の天皇賞(秋)・有馬記念制覇。1971年年度代表馬。母としても天皇賞優勝馬テンメイを産む(以降有馬記念を制した牝馬は現れていない)。
- メジロラモーヌ: JRAGI 3勝 日本競馬史上初の牝馬三冠+トライアル三冠
- ロジータ: 牝馬として唯一の南関東三冠馬。母としてもカネツフルーヴ(帝王賞・川崎記念)、シスターソノ(JBCクラシック優勝馬レギュラーメンバーの母)などを産む。
- ベガ: 1993年牝馬クラシック二冠、三冠目はホクトベガに阻止される。1994年、現役を引退し繁殖牝馬となり、東京優駿(日本ダービー)優勝馬アドマイヤベガ、芝・ダートの両方でGIを勝利したアドマイヤドンなどを輩出している。
- ホクトベガ: エリザベス女王杯勝ち、地方競馬交流競走のエンプレス杯で2着以下を18馬身の差をつけて圧勝。
- ノースフライト: JRAGI 2勝 1994年安田記念・マイルチャンピオンシップを制する。
- ヒシアマゾン: JRAGI 2勝 ジャパンカップ・有馬記念で2着。
- エアグルーヴ: JRAGI 2勝 牡牝混合の天皇賞(秋)を制す。1997年年度代表馬。母ダイナカール、自身、子アドマイヤグルーヴと親子三代GI級勝ちを果たす。
- メジロドーベル: JRAGI 5勝 4年連続GI勝利。
- シーキングザパール: JRAGI 1勝 日本調教馬として初の海外国際GI(モーリス・ド・ギース賞(フランス))を制する。
- スティルインラブ: JRAGI 3勝 史上2頭目の牝馬三冠。
- カワカミプリンセス:JRAGⅠ2勝 現役競走馬 49年ぶり無敗のオークス馬。後の秋華賞の制し2冠を獲得した。
[編集] 海外で活躍した牝馬の競走馬
- クルシフィックス 12戦無敗、1840年初めて英クラシックを3勝(1000ギニー、2000ギニー、オークス)
- キンチェム (世界最高の54戦54勝、バーデン大賞を3連覇など)
- フォルモサ (1000ギニー、2000ギニー、オークス、セントレジャーステークス)
- セントマーガレット(1000ギニー)、ゲハイムニズ(オークス)、ショットオーバー(2000ギニー、エプソムダービー)、ダッチオーブン(セントレジャーステークス)の4頭で1882年英クラシックを独占
- ラフレッシュ (イギリス牝馬三冠、アスコットゴールドカップ、チャンピオンステークス、エプソムダービー2着)
- セプター (1000ギニー、2000ギニー、オークス、セントレジャーステークス、ジョッキークラブステークス、チャンピオンステークス、ハードウィックステークス、セントジェームズパレスステークス、エプソムダービー4着)
- プリティーポリー (イギリス牝馬三冠、ジョッキークラブステークス、チャンピオンステークス、24戦22勝)
- アレフランス (フランス牝馬三冠、凱旋門賞)
- ダリア (競走馬) (キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス2回)
- ラフィアン (旧ニューヨーク牝馬三冠、11戦10勝)
- オーソーシャープ (イギリス牝馬三冠)
- パーソナルエンサイン (ブリーダーズカップ・ディスタフ、13戦無敗)
- オープンマインド (ケンタッキーオークス、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ、新旧ニューヨーク牝馬三冠)
- バヤコア (ブリーダーズカップ・ディスタフ2回)
- ミエスク (ブリーダーズカップ・マイル2回)
- ダンススマートリー (カナダ牡馬三冠、ブリーダーズカップ・ディスタフ、1991年カナダ年度代表馬)
- リッジウッドパール (1000ギニー、ブリーダーズカップ・マイル、1995年欧州年度代表馬)
- サンライン (コックスプレート2回、香港マイル、豪新年度代表馬計5回)
- アゼリ (ブリーダーズカップ・ディスタフ、2002年米年度代表馬)
- マカイビーディーヴァ (メルボルンカップ3連覇、コックスプレート)
- ウィジャボード (エプソムオークス、アイリッシュオークス、プリンスオブウェールズステークス、香港ヴァーズ、ナッソーステークス、BCフィリー&メアターフ2回、ジャパンカップ3着など)