無煙火薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
無煙火薬(むえんかやく)とは、従来の黒色火薬が着火時に大量の煙を放出する(有煙火薬)ことに対し、発煙防止のために発明された火薬をいう。
ニトログリセリン、ニトロセルロース、ニトログアニジンの3つが基剤となる。ニトロセルロースは古くは脱脂綿などの繊維を濃硝酸と濃硫酸の混酸によりニトロ化することで製造されていた。ニトロセルロースだけを原料に用いたもの、ニトロセルロースとニトログリセリンを用いたもの、3つの物質を用いたものの3種類に大別できる。それぞれ、シングルベース火薬、ダブルベース火薬、トリプルベース火薬と称される。
主に銃器の弾薬の推進剤(薬莢内の火薬)として使われる。実際には様々な火薬が実用化されており、その成分の詳細は銃器、弾薬メーカーの企業秘密であることが多い。したがって広義には無煙火薬という名称は黒色火薬ではない火器の推進剤用火薬と言う意味であり、先に述べた特定成分の火薬のみを示すものではない場合もある。