炭素繊維
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
炭素繊維(たんそせんい Carbon fiber)とは、アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維。前者の原料を使った炭素繊維はPAN(Polyacrylonitrile)、後者を使った炭素繊維はPITCHと区分される。広義の意味で炭素の集合体。グラファイトの結合により高い強度を得ている。
1970年代以降、優れた強度を持つ特性から強化プラスチックの補強材や複合材料の素材として使われ始めたが、1980年代以降、製造コストの低減や加工方法の進歩が見られ、ロケットや航空機などの大型輸送機器からテニスラケットや釣り竿、白杖など身近な道具にまで応用の幅を広げた。最先端の素材として知名度が高いことから、例え副次的な要素であったとしても炭素繊維が使われている商品には「カーボン(Carbon)」と表記されていることが多い。
目次 |
[編集] 長所
[編集] 短所
- 難加工性、製造コスト(価格)が高い。
[編集] 使用用途
炭素繊維の主要な利用目的は多くの場合、軽量化である。また良質な材料を大量に入手することが困難な天然素材の代替として用いられる。
- 航空機の主翼の一部、尾翼の一部、エンジンカバーなど(ボーイング787、エアバスA380)、放電索
- ロケットのノズルなど
- フォーミュラ1競技車両、高級スポーツカーのモノコック、外装部品など
- オートバイのフレーム、マフラーなど
- ロードレーサーのフレーム、ホイールなど
- 燃料電池
- ガス(水素、CNGなど)のタンク
- 釣り竿
- ゴルフクラブのシャフト
- テニスラケット
- コンクリート構造物の耐震補強材
- 風力発電のブレード(羽根)
- ヴァイオリン属の弓
- ラジコンカーのシャーシなど
[編集] メーカー
世界市場に占める日本企業製品のシェアは非常に高い。
[編集] PAN系メーカー
[編集] PITCH系メーカー
- 三菱化学産資
- クレハ
[編集] 関連項目
- 繊維強化プラスチック・・・炭素繊維を使用した「炭素繊維強化プラスチック(Carbon-Fiber Reinforced Plastic)」がある。
- カーボンナノチューブ
- 酸化アルミニウム