札幌市営地下鉄南北線
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札幌市営地下鉄南北線(さっぽろしえいちかてつなんぼくせん)は、北海道札幌市北区の麻生駅から同市南区の真駒内駅までを結ぶ、札幌市営地下鉄の路線である。
車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「グリーン」(緑:■)。路線記号はN。
中央のレールをまたいでゴムタイヤで走行する案内軌条式鉄道であり、集電は第三軌条より行う。
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[編集] 路線データ
[編集] シェルター
旧定山渓鉄道の廃線跡を通る平岸駅~真駒内駅間(4.5km)は建設費圧縮を目的に高架となっているが、軌道は雪を防ぐためにアルミ合金製のシェルターで覆われている。世界で唯一の構造で、札幌市営地下鉄の特徴にもなっている。なお、このため、平岸駅から南平岸駅にかけては、最大勾配43‰にもなる急な登りになっている。
シェルター導入が決まる前までは、雪への対策として軌道に熱線を通し融解させる方法が検討されたり、ササラ電車をヒントに除雪用の車両も開発されたが、日の目を見ることはなかった。
シェルターによって降雪期でも影響を全く受けず、安定した輸送が可能であるほか、沿線の騒音防止にも役立っている。シェルターに降り積もった雪は深夜に手作業で除雪されている。
[編集] 歴史
- 1971年12月16日 北24条駅~真駒内駅間(12.1km)が開業。1000形(後に2000形に改番)車両が登場。札幌オリンピックの1ヶ月半前に開業。開業当時から有人改札はおかず、全駅が自動出改札であった。なお開業から数年間は、自動券売機で「五円硬貨」を使うことができた。
- 1978年3月16日 北24条駅~麻生駅間(2.2km)が延長開業。全車両8両編成化。
- 1978年10月1日 3000形車両が登場。
- 1994年10月14日 霊園前駅が南平岸駅に名称変更。
- 1995年9月 北海道初の4扉車、5000形車両が登場。
- 1999年6月 2000形(1000形)車両が全車引退。
- 2014年度 5000形への車両更新完了予定、またホームドア(ホーム柵)を全駅に設置完了予定。
[編集] 車両
[編集] 車両基地
- 南車両基地(自衛隊前駅南南東)
- 南北線で使われている21編成134両の全車両(3000形4編成32両、5000形17編成102両)が所属している。
[編集] 利用状況
札幌市交通局の調べによると、2005年度の一日平均乗車人員は23万6345人(乗換人員を除く)で、これは前年度比3.32%の増であった。 南北線の乗車人員は1991年度以来減少が続いていたが、2004年度から13年ぶりに増加し始めた。
日本の公営地下鉄では、数少ない黒字路線である(日本の地下鉄の経営状況を参照)。
[編集] 運行形態
ほとんどが全線通しで運転されているが、南車両基地への回送のため一部の便が「麻生→自衛隊前」で運転される。
日中は6~7分間隔、朝ラッシュ時は3~4分間隔、夕ラッシュ時は5~6分間隔で運転される。
[編集] 駅
駅番号 | 駅名 | 北24条からの営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
N01 | 麻生駅 | 2.2 | 北海道旅客鉄道:札沼線(新琴似駅) | 札幌市 | 北区 |
N02 | 北34条駅 | 1.2 | |||
N03 | 北24条駅 | 0.0 | |||
N04 | 北18条駅 | 0.9 | |||
N05 | 北12条駅 | 1.7 | |||
N06 | さっぽろ駅 | 2.7 | 札幌市営地下鉄:東豊線(H07) 北海道旅客鉄道:函館本線(札幌駅) |
中央区 | |
N07 | 大通駅 | 3.3 | 札幌市営地下鉄:東西線(T09)・東豊線(H08) 札幌市電:一条線(西4丁目停留場) |
||
N08 | すすきの駅 | 3.9 | 札幌市電:山鼻線(すすきの停留場) | ||
N09 | 中島公園駅 | 4.6 | 札幌市電:山鼻線(山鼻9条停留場) | ||
N10 | 幌平橋駅 | 5.6 | 札幌市電:山鼻線(静修学園前停留場) | ||
N11 | 中の島駅 | 6.1 | 豊平区 | ||
N12 | 平岸駅 | 6.8 | |||
N13 | 南平岸駅 | 7.9 | |||
N14 | 澄川駅 | 9.1 | 南区 | ||
N15 | 自衛隊前駅 | 10.4 | |||
N16 | 真駒内駅 | 12.1 |
※距離起点は、北24条駅にある。
[編集] 過去の接続路線
- 北24条駅:札幌市電鉄北線 - 1974年廃止
- 鉄北線はもともと札幌駅前停留場~新琴似駅前停留場間で運行されていた路線で、南北線の北24条駅~真駒内駅間が開業した際、並行する札幌駅前停留場~北24条停留場間のみが廃止された。南北線のうち、残る北24条駅以北の部分に並行する部分が開業したのは1978年であり、その間北24条~麻生(新琴似)間の鉄道路線は空白となっていた。
- 大通駅:札幌市電西4丁目線(三越前停留場) - 1973年廃止
- すすきの駅:札幌市電西4丁目線 - 1973年廃止
[編集] 備考
- 公式文書での呼び名は札幌市高速電車南北線である。また、当初の計画では中島公園以南および北12条(北24条説も)以北を高架で建設する予定だったという。
- ドア数の異なる3000形と5000形では乗車位置も異なるため、ホームには3000形用の「緑色の乗車位置」と5000形用の「青色の乗車位置」が設けられている。3000系が到着する際は「緑色の乗車位置」への整列を促す放送がある。かつては「青色の乗車位置」の放送もあった。
- 1971年の開業以降、真駒内駅周辺の人口増加や同駅以南の住宅地化が進行しており、この地域の住民の中には自衛隊前駅~真駒内駅間の新駅建設や、石山地区以南への路線延伸を望む声がある。実際、札幌市も計画当初は藤野地区までの建設を計画し、定山渓鉄道廃止時に該当区間の路線跡を買収していた。しかし札幌市交通局が巨額の累積赤字を抱えていることに加え、用地も既に一部が他の用途に転用されており、実現の見通しは全く立っていない。
- 地元民はよく当該路線の読み方を「なんぼく(Boku)せん」ではなく「なんぽく(Poku)せん」と呼ぶ。これは北海道方言によるものである。
- また、「麻生駅」の正式名称は「“あさぶ”(aSabu)」であるが、「あざぶ(aZabu)」と誤って読まれることも多い。もちろん車内アナウンスでは「あさぶ(aSabu)」であるが、「さ」と「ざ」は聞き分けにくく、誤って読まれる原因の1つである。
- さっぽろ駅での乗り換えのための階段は、JR線が■黄色、東豊線が■青色に塗り分けられている。またその説明を車内放送でも知らせてくれる。
- 地下鉄にありがちな都市伝説は当路線にもあり、「冷戦体制下に建設された路線のため、札幌有事に備えて、自衛隊前駅から札幌市中心部まで戦車を含む陸上自衛隊車両の輸送が可能であることを考慮した設計になっている(軌道限界が他の都市の地下鉄に比べて大きくなっており、有事の際は、施設部隊が駅施設の一部を破壊して通路を確保することにより、速やかに車両移動が出来る)」という話がある。一般道路を封鎖して通したほうが遥かに早く、もちろん事実無根。
[編集] 車内放送
- 英語での車内放送
- 2003年から新しく、日本語での次駅案内や乗り換え案内に続いて、英語でも同内容の放送がされる英語の車内放送が追加された。その例は下記のとおり。
- 発車後 - The next station is Odori. Please change here for the Tozai Line and Toho Line.
- 2003年から新しく、日本語での次駅案内や乗り換え案内に続いて、英語でも同内容の放送がされる英語の車内放送が追加された。その例は下記のとおり。
- 広告放送