数 (文法)
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文法カテゴリー |
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性 gens / 名詞クラス |
数 numero |
格 casus |
定性 definitas |
法/ 法性 |
態 vox |
時制 tempus |
人称 persona |
相(体)aspectus |
言語学における数(すう)とは、語を語形変化させる文法カテゴリーの一つ。
名詞などでは、その語が指示する対象の数量的な相違を表している。例えば、英語でcatと言えば一匹の猫、catsと言えば何匹もの猫を指している。
動詞や形容詞などでは、その主語や被修飾語などの名詞が指す対象の数量的な相違を表す。例えば、ラテン語で、amatは「彼/彼女は愛する」(主語は一人)であるが、amantは「彼ら/彼女らは愛する」(主語は二人以上)である。
指示対象の数量が1であるものを単数、それ以上であるものを複数と呼んでいる。また言語によっては、単数・複数以外に、2をあらわすのに特別な形式をもつものがあり、これを双数(あるいは両数)と呼んでいる。双数は主に、目・耳・腕・足など、1対になっているものに用いる。双数を有する言語の代表例はアラビア語である。
[編集] 日本語の数
日本語では名詞について複数を表す「たち」「ら」「ども」といった接尾辞がある。ただし、英語と異なり、「猫たち」といってもそれは猫だけが何匹もいるとは限らず、猫を含めて犬や鼠、鳥…といった動物が総合的に複数いることを表すこともある。そのため「山田君たち」という表現が成立し、それは何人もの山田君がいるのではなく、山田君を代表とするグループで複数の人間がいることを示している。つまりこれら接尾辞は、文法上の数を表現するものではない。しかも、一般には無生物には用いられない(ただし例外的に古い言い回しでは「ことども」などと言う)。
そのほか、「人々」「山々」「国々」など名詞を反復する言い方もあるが、これも特定の名詞にしか用いられず、「*机々」などとは普通言わない(インドネシア語にも同じ用法があるが、かなり一般の名詞に適用される)。
このように日本語には、文法上の数は存在しない。