揮発油税
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揮発油税(きはつゆぜい)は、揮発油税法(昭和32年4月6日法律第55号)に基づき、製造所から移出される又は保税地域から引き取られる揮発油に対して課される税金である。道路特定財源の一つ。揮発油税と地方道路税とをあわせたものが、いわゆる「ガソリン税」である。
目次 |
[編集] 課税物件
揮発油税の対象となる揮発油とは、「温度15度において0.8017をこえない比重を有する炭化水素油」である。
[編集] 納税義務者
揮発油税の納税義務者は、次の者である。
- 揮発油の製造者
- 揮発油の保税地域からの引取者
[編集] 税率
揮発油税の税率は揮発油税法上、1キロリットルあたり24,300円となっているが、租税特別措置法(昭和32年3月31日法律26号)第89条第2項の規定により、1993年(平成5年)12月1日から2008年(平成20年)3月31日までの間、倍額の48,600円が適用される。
また、沖縄については、沖縄復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和46年法律第129号)、沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和47年政令第151号)に基づき、揮発油税は42,277円となっている。
[編集] あゆみ
[編集] 制度
- 戦前
- 昭和12年4月、代用燃料生産を助長する目的で創設。税率13円20銭/リットル
- 昭和15年4月、税率34円45銭/リットルに引き上げ。
- 昭和18年7月、石油専売法の施行によりガソリンが配給制となり課税廃止。
- 戦後
- 昭和24年5月、揮発油税復活。当時代用燃料車がガソリン車に比し割高であったのでそれとの均衡及び財源の確保等の見地から復活。従価制。
- 昭和26年1月、従量制に(税率11,000円/キロリットル)
- 道路特定財源となって以降
- 昭和29年4月、道路特定財源となる。税率13,000円/キロリットルに引き上げ。
- この間幾度かの税率引き上げあり
- この間、他の道路関係税創設、自然増収等により大きな制度改定なし。
- 昭和49年4月、第7次道路整備五箇年計画の財源確保のため「暫定的」に29,200円/キロリットルに引き上げ
- 昭和51年7月、36,500円/キロリットルに引き上げ
- 昭和54年6月、45,600円/キロリットルに引き上げ
- 昭和59年12月、代替ガソリンにもガソリン税が課税開始(租税特別措置法改正)
- 平成5年12月、48,600円/キロリットルに引き上げ(平成19年度末までの暫定措置)
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- 本項は『道路行政』(全国道路利用者会議)を参考とした。
[編集] 税収の推移
財務省の統計を参照(単位:100万円)
- 平成14年度 2,126,266 内譲与分710,200
- 平成13年度 2,098,103 内譲与分715,500
- 平成12年度 2,075,186 内譲与分693,400
- 平成11年度 2,070,652 内譲与分671,600
- 平成10年度 1,998,244 内譲与分665,400
- 平成9年度 1,926,065 内譲与分657,000
[編集] その他
暫定税率であること、税率が消費税等に比べて非常に高いことなどから、重税感を訴える者も多い。さらに、消費税との二重課税についても消費税導入当初、税率引き上げ時に大いに問題視された。
一方では、受益と負担の関係が明確であることを評価するものもある。2006年に行われた道路特定財源見直しの議論の際に、石油連盟が「受益者負担の観点から特定財源の一般化への反対。また、財源に余剰が生じているから、まず現在の暫定税率を元に戻すべき」と主張した。→ 道路特定財源の記事参照のこと
欧州各国と比較すると日本の揮発油税率は低い。さらに従価税ではなく従量税であるため、ガソリン小売価格は原油価格の高騰に正比例せず、原油価格の高騰に伴う“痛み”を平準化させている側面を持つ。