指し棒
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指し棒(さしぼう)は、何等かの一点を指す事に用いられる棒のこと。教師・講師などが生徒・聴衆を前にして、図表や黒板といった物の一点を指し示して、見る側に注意を促すために使用される事が多い。
[編集] 概要
特に棒の定義は決まっておらず、手ごろな場所にある棒、またはそれに類するものであれば、どんなものでも指し棒になりうる。云ってしまえば使う者の腕力如何では、丸太の棒を持ってきて図表を指し示しても指し棒とする事もできるが、常識的な範疇では以下の要件を備えた棒である。
- 片手で素早く目的の図表を指し示す事の可能
- 軽量である
- 必要にして充分な長さがある
- 動かしても自重や慣性によって折れたりしない
- 見易い
- 細過ぎない
- 背景と紛らわしい色をしていない
- 長時間持っていても滑らない
特に見え易さは重要なポイントで、この用途に向くよう、先端部がオレンジ色や赤と言った注意を喚起する色に塗られた指し棒も市販されている。
以上の要件を満たしている専用の商品は幾つかが販売されているが、一部向きにおいては「プロジェクター用スクリーンを下ろすための棒状の器具」を便宜的に用いる事がある。なおこれは、長さの面では至極便利ではあるものの、重量があり筋力に欠ける者には取り回し難い上に、指し示す対象である所の映写スクリーンを傷める危険性があるため、あまり誉められた活用方法ではない。
市販の製品としては
- 演奏奏者用指揮棒
- 俗に云う「オーケストラで指揮者が振り回しているアレ」である。握り部分に滑り止めのコルクがはめ込まれている事もあり、また軽量であるため、非常に扱い易い。反面、余り長くは無いので、映写スクリーンのような広範囲を指し示す用途には向いていない。
- 教鞭
- 今日ではあまり見掛けられないが、黒板用には白、スクリーン用には黒の物が適すると思われる。
- 伸縮式指し棒
- 伸縮式ロッドアンテナ等のような物だが、短く縮められるため携帯に便利である。先端部がボールペンに成っている物もあるが、そのキャップが見易いように、オレンジ色になっているものも多い。ラジオ受信機等の機械部品を流用したような安価な物から、専用の部品を使った高価なものまで様々な製品があるが、強度の面では専用部品を使った物の方が良く、非常に長く伸びる事もあり、指示範囲も広くて便利である。ロッドアンテナを流用した製品の中には、振り回す事には堪えられず、簡単に折れてしまう物も少なくない。特にやしきたかじんは1時間番組の収録で最低でも3本は折ってしまい、今まで折った本数は少なくとも1万本を超え、指し棒の消費量は間違いなく日本一を誇るが、現在はあまりやらない。
なお最近では、これら指し棒に替わって、携帯に便利で指示範囲が非常に広い(また見易い)レーザーポインターを用いることが多くなってきている。