弦楽四重奏曲第3番 (バルトーク)
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バルトークの弦楽四重奏曲第3番 (げんがくしじゅうそうきょくだい3ばん)Sz.85は、1927年に完成した弦楽四重奏曲である。単一楽章から成る。この前年に作曲されたピアノ協奏曲第1番やピアノソナタでも見られた、打楽器的な器楽法が要求されており、コル・レーニョなどの特殊奏法を用いた荒々しいリズムが特徴である。その反面、音楽の構成は極めて簡素で緊密な構成で書かれている。
この作品は、フィラデルフィア音楽基金協会主催の室内楽音楽コンクールに応募作品として提出され、1等の名誉と賞金をイタリアの作曲家アルフレード・カセルラと分け合った(賞金はそれぞれ3000ドルずつであった)。この作品はフィラデルフィア音楽基金協会に献呈された。このコンクールにはシマノフスキも弦楽四重奏曲第2番を提出していた。
目次 |
[編集] 作品紹介
[編集] 作曲年
1927年
[編集] 楽曲構成
- Moderato
- Allegro
- Recapitulazione della prima parte (第1部の再現部)
- Coda
の4つの部分で構成される単一の楽章。演奏時間は全曲で約15分。
[編集] 初演
1929年2月19日 ロンドン。ヴァルトバウエル弦楽四重奏団による。
[編集] 作品の内容
第1部のモデラートは、いわば序奏にあたる部分で、小さな動機が互いに絡み合って構成されている。弦楽四重奏曲第1番と同様、冒頭の動機で8度音程内の12の音すべてが用いられるが、シェーンベルクの12音技法によっているわけではない。ピウ・アンダンテの新しい楽想は、スル・ポンティチェロ(駒の近くを弓で擦る特殊奏法)で提示される。対位法部分とリズムが優勢な部分とが交錯しながら第2部アレグロとなる。第2部はかなり変則的ではあるがソナタ形式をとどめている。チェロのピツィカートとヴァイオリンが主題を提示し、ヴァイオリンの主題によるフガートにチェロの主題が絡み、それに再現部が続くという構成である。第3部では第1部の楽想のいくつが回想されるが、その音楽の文脈は第1部のそれとは全く異なっており、これを「第1部の再現部」と呼ぶのは適切でないとさえ思われる。最後のコーダは、第2部の雰囲気に戻り、順当に名付けるのであれば「第2部の再現部」にあたるものであるが、さすがにこれを再現部と呼ぶのははばかられたのであろう。コーダとされている。
[編集] 参考図書
- ポール・グリフィス・著、和田旦・訳『バルトーク -- 生涯と作品 --』 泰流社 1986年 ISBN 4884705599