小菅信子
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小菅信子(こすげ のぶこ、1960年8月 - )は日本の歴史学者、日本の政治学者。専門は近現代史、国際関係論。山梨学院大学法学部政治行政学科教授。
東京都生まれ。1984年上智大学文学部史学科卒業後、同大学院文学研究科修士課程修了。1992年同大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程修了満期退学。帝京大学国際文化学部兼任講師などを経て、ケンブリッジ大学国際研究センター客員研究員(1996-98年)。山梨学院大学法学部政治行政学科専任講師、助教授を経て現職。東京女子大学現代文化学部地域文化学科兼任講師。二児の母。英語名 Nobuko Margaret Kosuge。 2006年9月、『戦後和解』で石橋湛山賞受賞。
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[編集] 主張
戦場における人道の理念と実践の関心から戦争をめぐる研究を行なう。大学院生時代には大学を越え立教大学の粟屋憲太郎などに学ぶ。研究対象は戦争後の「和解」に興味が移り、第二次世界大戦後の東京裁判などに関心を寄せる。
主著『戦後和解』(中公新書、2005年)では、1000年以上におよぶ戦争後の「和解」についての歴史を辿る。
時代が下るに従い「神の名」においた宗教を通じた和解から、近代にいたり講和・賠償といった国家間の現実的な対応による「忘却」の和解、そして20世紀に入り、戦争犯罪裁判といった法によって「記憶」される和解になった事実を追う。そのうえで、混迷する日本の第二次世界大戦後の「和解」の可能性を探る。
左派的な人脈のなかで教育を受けてきた小菅だが、堪能な英語を駆使しイギリスやオランダの史料を忠実に読み込んだ論証・議論は、現実主義的でもあり非常にバランス感覚に富んでいる。第二次世界大戦や東京裁判を研究している女性の政治学者・歴史学者が、少ないなか期待される中堅の学者である。
[編集] 著書
[編集] 単著
[編集] 共編著
[編集] 共著
- (油井大三郎)『連合国捕虜虐待と戦後責任』(岩波書店[岩波ブックレット], 1993年)
- 「<戦死体>の発見――人道主義と愛国主義を抱擁させた身体」石塚久郎・鈴木晃仁編『感覚と欲望(身体医文化論 2)』(慶應義塾大学出版会、2002年)
- 「泰緬鉄道の日本軍捕虜収容所における腐敗、即興、再生」小菅隼人編『腐敗と再生(身体医文化論 3)』(慶應義塾大学出版会, 2004年)
[編集] 翻訳
- B.V.A.レーリンク/A.カッセーゼ『レーリンク判事の東京裁判――歴史的証言と展望』(新曜社, 1996年)
- 連合国最高司令官総司令部編纂・天川晃編『GHQ日本占領史 第5巻 BC級戦争犯罪裁判』(日本図書センター, 1996年)