国鉄ED28形電気機関車 (初代)
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ED28形は、かつて日本国有鉄道(国鉄)に在籍した直流用電気機関車である。
[編集] 概要
本形式は豊川鉄道及び鳳来寺鉄道(現在は、いずれもJR東海飯田線の一部)が、1922年(大正11年)にイギリスのイングリッシュ・エレクトリック社から輸入した小型電気機関車で、各社1両、計2両が輸入された。国鉄東海道本線電化時に輸入されたED50形等と同じ、デッカーの一党であるが、その他のデッカーが箱型車体であるのに対して本形式は凸型であり、凸型のデッカーは、日本では本形式のみである。小さな運転台の前後にボンネットを有しているが、台車はボンネットの前端からさらに前方に張り出しており、本形式の特徴的な形態を作り出している。
当初は、豊川鉄道電機50形(50)及び鳳来寺鉄道電機51形(51)であったが、1930年(昭和5年)10月に豊川鉄道電機50形はデキ50形に改形式され、鳳来寺鉄道の電機51形はデキ100形(100)に改番された。さらに1938年(昭和13年)1月18日付けで鳳来寺鉄道のデキ51はデキ50に改番され、その翌日付けで豊川鉄道のデキ50はデキ51に改番されている。
1943年(昭和18年)8月に両社とも、戦時買収により国鉄に編入され、本形式は私鉄時代の番号のまま引き続き飯田線で使用された。1952年(昭和27年)に国鉄形式を付与され、ED28形(初代。ED281,2)となった。
ED281は1956年(昭和31年)2月1日、ED282は1959年(昭和34年)に廃車となったが、ED281は近江鉄道に、ED282は遠州鉄道に譲渡され、いずれも国鉄時代の番号のまま使用された。このうち、近江鉄道に譲渡されたED281は、1963年(昭和38年)に山形交通に再譲渡され、ED2と改番のうえ、同社の高畠線で、1974年(昭和49年)に同線が廃止となるまで使用された。
2006年現在、山形交通ED2(旧ED281)は山形県上山市のリナワールドに静態保存、遠州鉄道ED282は現在も車籍を保持しており、通常は遠州西ヶ崎駅構内に常駐し、工事列車の牽引などに使用されている。
[編集] 主要諸元
- 電気方式 : 直流1500V
- 主要寸法(最大長×最大高×最大幅) : 8928×3766×2438
- 軸配置 : B+B
- 重量 : 25.4t
- 1時間定格出力 : 240kW(1300V定格)
- 1時間最大引張力 : 3050kg
- 主電動機形式(個数) : DK36(4個)
- 動力伝達装置 : 1段歯車減速、吊り掛け式
- 歯数比 : 15:81=1:5.40
- 制御方式 : 非重連、抵抗制御、2段組合せ制御
- 制御装置 : 電動カム軸接触器式
- ブレーキ方式 : AMM空気ブレーキ、手ブレーキ
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