ノート:四精霊
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パラケルススよりずいぶん後になりますが、文学の分野においては、ゲーテのファウストが知名度の点からも重要だと思われますので、本項目に追記してもよいでしょうか?主人公のファウスト博士が唱える「4つの呪文」(den Spruch der Viere)では、それぞれ、
Salamander soll glühen, Undene sich winden, Sylphe verschwinden, Kobold sich mühen.
となっています(引用はja.wikibooksのドイツ語上級ですが、de.wikisourceのFaust 1の方が改行の都合上、読みやすいかもしれません)。ドイツ風の発音を度外視するとサラマンダー、ウンディーネ、シルフまでは本項目の記述と共通で、最後の精霊だけ、ノームではなくKoboldつまり、コボルドです。高橋義孝訳では、コボルドが、はっきりと四大精霊の一つと数えられていたと記憶していますし、それを下敷きにしたと見られる日本のファンタジー作品についても同様ですので、まずは、ファウストとコボルドに間する簡単な記述の追加を提案します。
それで、次が問題なのですが、上記4つの呪文の直後にこういう科白が続きます。
Verschwind in Flammen, Salamander! Rauschend fließe zusammen, Undene! Leucht in Meteoren-Schöne, Sylphe! Bring häusliche Hülfe, Incubus! Incubus!
つまり、サラマンダー、ウンディーネ、シルフに続いて最後に来るのがIncubus、インキュバスなのです。この後、かなり先の方でコボルドは一度だけ触れられますが、インキュバスは一切出てきません。果たしてインキュバスも四精霊に数えていいものかどうか、ということです。私の個人的な見解では、wikipediaでインキュバスを四精霊として紹介するのには躊躇いがあるのですが、少なくとも、ファウストにおいては、コボルドとインキュバスが同一のもの(つまり、土の精霊)を指しているとしか思えません。理由は、
- 前段は"den Spruch der Viere"、後段は"Keines der Viere"という風に4という数字が一貫していることが明言されています。
- 拙訳ですが、前段は「コボルドは働きつづける」であり、後段は「家事を手伝え、インキュバス!インキュバス!」ですので、実質的に同じ動作です。光ったり回ったりしている他の精霊の動作は明らかに異質なので、どう見ても2者には関連性があると思われます。
などです。
私はドイツ語が得意ではありあませんし、ゲーテ/ファウストについて殊に詳しいわけでもないので、インキュバスについては識者のご意見を待ちたいと思います。