名鉄6750系電車
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6750系とは、1986年から名古屋鉄道が瀬戸線用に製造した通勤形電車。
名鉄最後の吊り掛け駆動方式を採用して製造された車両である。
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[編集] 概要
瀬戸線では間接非自動制御方式(HL)の3770系電車や3780系電車などが現役で使用されていたが、その性能が悪いことから通勤ラッシュ時には定時運転に支障をきたすようになってきており、また3770系電車には冷房装置が搭載されていないのもサービス上問題があった。
そのため、3900系電車の下回りを転用して6600系電車に準じた車体を新造することで6750系が生み出され、1986年にまず2両編成2本が運用についた。これは第1期製造車とされ、区別するため6650系と呼ばれることもある。
その後、1990年に第2期製造車として仕様を大きく変えた4両編成5本が製造され、総数24両となった。
全車両とも釣り掛け駆動・AL車(間接自動制御車)である。
[編集] 第1次車
車体は前述の通り6600系に準じた仕様で、方向幕も種別と行先表示が一体の構造になっている。3扉で、室内は通勤輸送に適したロングシートとなった。冷房装置は能力10,500kcal/hのものを2基搭載した。標識灯はLED式である。自動放送装置は当初取り付けられていなかったが後年の改造で取り付けられた。
台車は3900系第4編成のものをそのまま転用したFS16ペデスタル式コイルバネ台車である。但し運転速度の低い瀬戸線に合わせて、減速比は3.21から3.71に変更した。CP(空気圧縮機)およびSIV(静止型インバータ、冷房電源などを供給する)は新造された。
昨今では2編成を固定した4両編成で常時使用されているため、中間の2両には列車無線装置が取り付けられておらず、代わりに幌が付けられ行き来ができるようになっている。
[編集] 第2次車
前面が貫通型なのは変わらなかったが、瀬戸線では4両編成が標準編成となっていたため、4両固定編成となった。しかし喜多山駅に隣接した喜多山工場での検査の際に都合が良いよう、中間運転台は取り付けられている。また、曲線が多い瀬戸線での運用を考慮し、ホーム視野を確保するため中間車にも車掌室が設けられた。自動放送装置は登場当初から取り付けられている。
前面は大型窓となり、側面は6500系電車第6次車以降に準じた連窓になった。室内は第1次車と同じロングシートではあるが、これも6500系8次車や3500系の先行仕様になっていて、化粧板はクリーム色で扉周りの立席スペースを広く取っている。但し扉間の座席はそれらよりも1人分長い。当初の座席モケットはライトパープルであったが、褪色が激しいためブラウンパープルに取り替えられた。なお、冷房装置は第1次車の能力が低く不評だったこともあり、6500系5次車以降に倣い、第1次車の2基搭載に対して3基搭載となっている。
台車は3850系・3900系のものを流用し、栄町方先頭車のク6650がFS13(ペデスタル式)、その他はFS107(ゲルリッツ式)ないしは3780系電車の廃車発生品流用のFS35(ペデスタル式)を履いている。
また、カルダン駆動方式・電磁直通空気ブレーキへの改造にも対応している。 しかし、2008年頃に、瀬戸線への新型車両導入が予定されており、改造されないまま廃車となる可能性が高まっている。
[編集] 編成
- (第1次車)
- 6751 - 6651(幌)6752 - 6652
- (第2次車)
- 6753 - 6683 - 6783 - 6653
- 6754 - 6684 - 6784 - 6654
- 6755 - 6685 - 6785 - 6655
- 6756 - 6686 - 6786 - 6656
- 6757 - 6687 - 6787 - 6657
[編集] 今後
本系列は、3300系電車(2代)・モ510形電車などの退役に伴い、名古屋鉄道最後の吊り掛け駆動電車となっている。
しかしながら、瀬戸線へは、2008年に新型車両投入が検討されているため、6750系は廃車となる公算が高まっている。
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