切手収集
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切手収集、切手蒐集(きってしゅうしゅう)とは、趣味の一つであり、狭義の意味と広義の意味に別れる。
狭義には、未使用・使用済み切手のみを収集すること。 切手とは、国もしくは地域が発行するため公式な物として完全なリストが残るので、収集においてはそのリストをもとにすることが出来る(国家がリストを発行しているわけではない)。イギリス王室によるコレクションや、著名人によるコレクションも知られ、King of Hobby(趣味の王様)として知られている。
広義には郵便に関する広範囲な事物について収集することを称する。広義については、特に郵趣と称する。
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[編集] 切手収集の歴史
切手が生まれた時点からその収集は始まったといわれる。世界で最初に発行されたのはイギリスのペニー・ブラックとペンス・ブルーである。
日本においては1960年代頃に切手ブームが起こり、新しい切手の発売日には郵便局に購入希望者が長蛇の列をなして並ぶ光景が見られた。
日本切手の中では、昭和23年発行の5円切手「見返り美人」(菱川師宣画)や、昭和24年発行の8円切手「月に雁」(歌川広重画)などが価値あるものとして一般に知られている。 このため、記念切手が高価なものの代名詞であるかのように誤解されがちだが、実際には記念切手はその性質から未使用で保存されている場合が多い為、希少性は未発行切手などの一部の切手を除いて高いとはいえない。稀品の多くは発行回数が多いために変種などが生まれる可能性の高い普通切手であることが多い。
日本における主要な切手収集(郵趣)組織としては、財団法人日本郵趣協会がある。
[編集] エラー切手
印刷上、あるいは目打の問題のある切手は廃棄されることが原則であるが、問題のある切手を完全に発見・廃棄することは不可能であり、それが出回った場合「エラー切手」として珍重される。有名なものとしてスウェーデンの「3シリング・バンコの黄色」、「喜望峰のウッドブロックの色違い」、モーリシャスの「Post Office」、アメリカの「逆さのジェニー」(米国での俗称・Inverted "Jenny"の直訳と思われる。日本の収集家からは、額面にちなみ宙返り24セントと呼ばれるのが普通)など。
[編集] 消印
消印(正式にはしょういんと言う)とは、切手が再使用されないように押された印のことを称する。郵便局による違い、手押し印と機械印の違い、日付・時間による違い、普通印と記念印の違いなどの種類がある。
外国のクラシック切手には、手書きで消印を付けた物があるが、これはペンキャンセルと呼ばれている。また、収入印紙として切手を使用した場合の消印はレベニューキャンセルと呼ばれる。
[編集] カタログ
切手のカタログには世界中の切手を扱った「スコット」(米国)や「ギボンズ」(イギリス)、「イーベル」(フランス)、「ミッヘル」(ドイツ)などのほか、特定の国や地域のみを扱った国別のカタログ、鉄道やチェスなどというテーマ別のカタログが発行されている。
日本国内では、「さくら日本切手カタログ」「日本切手専門カタログ」といった日本および関連地域を扱ったカタログのほか、アメリカやイギリス、ドイツ、中国など、国内においてよく集められている国の外国切手カタログが数種類発行されている。
[編集] 収集方法
切手の収集方法にはさまざまなものがあるが、主ななものとして下記があげられる。
- ゼネラル
- 国別
- テーマティク
ゼネラルとは、文字通りテーマを選ばず全般的に集めるものである。今日、発行数が多くなっている状況においてはあまり現実的ではない収集方法である。国別コレクションは、文字通り、日本だけとか英国だけとか特定の国の切手のみを収集するコレクションである。従来はこの国別のコレクターが多かったが、最近では次に述べるテーマティクコレクションが殆どとなっている。
テーマティクと、は特定の分野に関係する図案をもとにした切手について収集するものであり、そのためのカタログなども発行されている。ただし、それらの収集家を相手として、使用される可能性のほとんどない切手が発行されていることも考慮せねばならないであろう。切手収集ブームのころはアラブ土侯国とよばれた一群の国家と切手商が手を組み、大量の切手が発行された。産業基盤の小さい小国においては現在においても収集家を対象としたさまざまな図柄の切手をシリーズで発行している。これらの切手は発行された土地での使用を目的とせず郵便事情をほとんど無視し、収集家のためだけに発行されているといってもよい。 この他の収集方法として、年代別、切手発行目的別(航空郵便とか付加金付きとかのカテゴリ別)コレクションがある。
[編集] 切手の価値
[編集] 高価な切手
一部の希少な切手はその重量と価格から、世界で最も高価な物と考えることが可能である。希少性と価格は当然その収集家の数によって変わるため、たとえ世界に一枚しか存在しないと考えられている物でもその価格な大きな隔たりがある。
英領ギアナの1セント切手(1856年発行)が最も高額な世界に一枚しかない切手とされている。
[編集] 一般的な切手
切手収集家が存在するか、しないかによってその価格は大きく変化するため、一時的に大きな値上がりをすることもあるが、ブームが沈静化すると価格は長期的に安定する。投機的な高騰化などについては識者による沈静化などもあり、成功することは少ない。
[編集] 切手に類似するもの
切手に類似するものとして、広告付き官製はがきである「エコーはがき」や、企業などの広告が入ったメータースタンプを収集している人もいる。前者は販売される地域や枚数が極めて限定されており、後者はメータースタンプを使用している企業からの郵便物を手に入れなければならないため、ある意味で入手が困難なものの一つであろう。
[編集] 切手の関連する作品
- シャレード。金を隠す方法として、切手が使われている。高価なことで知られている切手が3枚登場する。