催涙スプレー
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催涙スプレー(さいるいスプレー)とは、暴漢などの顔面に噴射する事により、相手がひるんだ隙に避難するための護身・防犯グッズである。
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[編集] 概要
一般的に市販されている催涙スプレーのほとんどはクロロアセトフェノン(CNガス)、クロロベンジリデンマロノニトリル(CSガス)、トウガラシの辛味成分であるカプサイシン(OCガス)のいずれかを主成分としている(一部には以上のガスを複数混合したモデルもある)。特にOCガスは麻薬中毒の状態にある者や泥酔者にも一定の効果があるとされ、またクマ等の野生動物撃退用の物も見られる。護身用具である事から、日本国内でも一般の防犯具を扱う商店や通信販売等で入手可能となっている。クマ除けの物はアウトドアショップでも見られる。小型の物ではライター程度の大きさの物から、大型の物では小型消火器ほどの大きさの物まで存在している。また形も純粋なスプレー缶型以外に取扱いの容易さや誤射の防止(とっさに取り出した際、ガスの噴射口が自分の方を向いているといったことによる事故)と(おそらくは)外見による威嚇効果を期待した拳銃型や警棒型の物も存在する。
カプサイシンを主成分とするOC(Oleoresin Capsicum)ガスは、常温下では主に油状の液体で、スプレー缶より勢いよく噴射される。これを顔面にスプレーされると皮膚や粘膜にヒリヒリとした痛みが走り、咳き込んだり涙が止まらなくなるなどといった症状が現れる。
小型の物でも5~10秒程度の連続噴射が可能だが、至近距離からきちんと狙えば0.5~1秒程度の噴射でも激しい咳と洟水が停まらなくなり、十数分は行動困難な状態となる。暴漢1~2人程度なら、小型の製品で充分に対応可能で、行きずりの犯行などと言ったケースでは、そのような軽度の反撃でも充分に相手の気勢を削ぎ威嚇できる可能性が高い。
30~40分程効果が持続した後、完全に正常な状態に戻るには数時間ほどの時間を要する。噴射した相手に失明の危機や後遺症を残すような事はないとされている。顔面に命中させなくても、舞い上がるエアロゾルは周囲に漂い吸引してしまうため、例え相手がオートバイ用のフルフェイス・ヘルメットを着用していても、首やベンチレーター付近に吹き付けるだけで一定の効果が見られる。
この他、暴漢の逮捕を容易とするために、染料が含まれる製品も多く、噴射された相手が黄橙色に染まる製品も多い。これらでは顔面などの効果的な部分に命中しなくとも着衣や皮膚を染色し、例え水や石鹸で洗っても簡単に落ちないようになっている。また実際に色は付かないもののUV塗料が含まれている製品もあり、ブラックライトで照らせば発光する。
目や鼻・口等の粘膜に付着する事で激しい焼けるような痛みを与え、涙・洟水が止まらなくなるが、これは性器であっても同じ事で、ストリーキングや露出狂が露出した下半身に噴射され、取り押さえられたり撃退された事例も聞かれる。
噴射される液体は、ごく微量でも影響があるため、噴射の後に使用者が目や鼻をこすっても効果が出る事もある。液体が付着した手は早急に石鹸で良く洗った方がいいだろう。
液剤は化学薬品やスパイスなどと同じく、長期の保存によって性質が劣化する可能性があるため、原則的に各製品には使用期限が設けられている。これは製造から数年程度が一般的である。保存状態によっては期限以降もかなり長期に渡って効果が持続するケースも多いが、効果が確実ではないため、新たに期限内の製品を入手した方が賢明である。
類似製品として、粘着剤を噴射して犯人の身動きを取れなくするスプレーが「ポリススプレー」という製品名で販売されている。
[編集] 噴射形状
噴射される液剤の飛び方には大きく分けて3種類ある。霧状タイプ(コーンミストタイプ・フォッガータイプ)の物は噴射口から遠くなるほど拡散する飛び方をする。水鉄砲タイプ(ストレートタイプ)は、遠くまで一直線に飛ぶ。泡状タイプ(フォームタイプ)は、泡状の液剤が噴射される。
霧状タイプは、広く拡散するのであまり正確に狙わなくても命中し、目標が多数でも効果的であるという利点があるが、逆風時は使えず、狭い室内では自分も吸い込むことになり、近くにいる人物にも被害が出るという欠点がある。水鉄砲タイプは、逆風時にも安心して使用ができ、狭い室内でも他人に被害が少ないという利点があるが、遠くの目標には命中させにくいという欠点がある。泡状タイプは、狭い室内での使用時も自分に被害がでにくく、掃除もしやすいという利点があり、他の点は霧状よりも噴射範囲は狭く、逆風にある程度強いなど、霧状タイプと水鉄砲タイプの中間的な性質である。
これ以外にも、粉末の薬剤を液化炭酸ガスで拡散させる(というよりも吹き飛ばす)強力なタイプのものも存在する。このタイプはかつて日本国内でも市販されていたが普及はしておらず、例外的な存在と言える。
[編集] 使用法
噴射距離は大体2~4メートルだが、危険を察知した時点で相手に気付かれない様に催涙スプレーを手に持ち、「自分の口元にハンカチを当てる」「眼を閉じる」「風向きに気を付ける」など自分に催涙スプレーがかからないようにして確実に相手の顔面に向けて噴射する。
相手がひるんだ隙に逃げ、周囲に助けを求めたり警察に通報して難を逃れる。防犯ブザーの併用も推奨されている。
[編集] 訓練
催涙スプレーの噴射方式や飛距離は製品によって差があるため、実際の使用時に戸惑わずにすむように事前に試し撃ちをすることが望ましい。ただし、製品によっては一度噴射したものは液体が噴射口で固まってしまい、実際の使用時に噴射できなくなるという危険性もあるので、噴射後はシャワーでよく洗浄すべきである。
[編集] 問題点
- 日本では、催涙スプレーを悪用した異臭騒ぎ等の悪戯や強盗傷害事件などが度々報道され、問題となっている。犯罪目的の使用は無論、悪戯で使用した場合でも犯罪として処罰される可能性がある。過去の事例では後遺症がなくとも、傷害として扱われている。なお、大阪府では有害玩具指定を受けている
- 店頭で購入時に本人確認や購入記録などを行わないことで問題視されている。
- 正当防衛での使用でも、相手が無抵抗で必要以上に使用し続けた等の場合には過剰防衛だと実刑判決が下される場合もある。相手の行動を完全に封じるために使うのではなく、相手の行動を阻害するためにのみ使用すべきだと考えられる。
この他、呼吸器疾患のある者に使用した場合、気管支喘息等の疾患を誘発させる危険性もあるため、注意が必要とされる。ただ暴漢から身を守るためにはそのような事情は許容される(→緊急避難)と思われるため、必要と感じたら躊躇せず使用し、相手が怯んだらすぐさまその場を離れ、周囲に助けを求める事が奨められる。