倉敷保雄
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倉敷 保雄(くらしき やすお 1961年3月11日 - )は、日本のフリーアナウンサー。大阪府出身。現在は主にSKY PerfecTV!やJ SPORTSでサッカー中継の実況アナウンサーとして活動中。
愛称はブラジルで「名手」を意味する「クラッキ」と苗字の「倉敷」とをかけた「クラッキー」。その愛称が示すように、サッカー実況では人気・実力ともにトップクラス。
好きな選手はヤリ・リトマネン。好きなチームはかつてリトマネンが活躍していたアヤックス(エールディビジ)の他、コリンチャンス(ブラジル)、アラベス(リーガ・エスパニョーラ)、マインツ(ドイツ・ブンデスリーガ)、中日ドラゴンズ等。Jリーグにも好きなチームはあるというが公表はしていない。
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[編集] プロフィール
東洋大学社会学部卒業後、ラジオ福島アナウンサー兼プロデューサー、文化放送記者を経て、現在はフリーランスのアナウンサー。 ちなみに、同じくサッカー実況で有名な八塚浩はラジオ福島時代の先輩にあたる。
サッカー実況を担当するようになったのは、Jリーグが開幕した1993年。以来、CS放送を中心に国内外のサッカー中継で実況を担当。これまでに実況した試合は1000試合以上に上る。
その中には1998年、NHKのサッカー実況アナが長野オリンピック中継で東京に不在のため、当時BS1で放送していたリーガ・エスパニョーラの代打実況も含まれる(BS1での実況自体はインディカー(CART)等で経験あり)。
2001年のW杯欧州・南米予選特番「12時間テレビ」(SKY PerfecTV!)では、解説の粕谷秀樹と共に同時に行われている最大7試合の分割画面を見ながらザッピングした試合を即興で実況する(通常は前もって下調べをしたり、スタッフが用意した資料に目を通してから実況に臨む)という離れ業を見せた。
2002年の日韓W杯では、SKY PerfecTV!のメインキャスターとして日本戦3試合や決勝戦などを担当した。日本-ベルギー戦で稲本潤一がゴールを決めた際の「決めてくれぇ~!ゲットォォ~~!!稲本潤一ゲットォ~!!」は名ゼリフ。また、「ワールドカップジャーナル」(えのきどいちろう司会)のスーパーバイザーでもあった。2006年のドイツW杯でも、日本戦3試合を含むグループリーグ8試合を解説の原博実とともに現地から実況した。
2003年、リーガ・エスパニョーラの放映権がJ SKY SPORTS(現J SPORTS)からWOWOWに移った際にはネット上で抗議の書き込みが殺到した(「リーガ、ゲッツ!」の項参照)が、その中には「倉敷アナの実況で聞けなくなる」という理由も少なくなかった。2005年にJ SPORTSはFCバルセロナのオフィシャルTVである「バルサTV」の放映権を獲得するが、決め手となったのが、バルサファンサイトへのリサーチで「倉敷アナにバルサの試合を実況してもらいたい」という声が非常に多かったからだという(MSN-Mainichi INTERACTIVE バルサスタッフ日記)。
なお、ジャーナリストとしての側面も持ち、様々な場所にサッカーコラムを寄稿することもある。
夫人は公表していないが、同業者で職場結婚であること、金子達仁にフィギュアスケート好きを指摘され、「家庭内の影響で…」と発言していることから、J SPORTSなどでフィギュアスケートやテニスの実況を担当している小林千鶴(元ラジオ福島アナウンサー)と思われる。
[編集] 特徴
サッカー競技の実況において「ボールを持っている選手の名を瞬時に呼ぶこと」は、基本的な事柄であるが、それだけに非常に難しい。激しくポジションチェンジを繰り返すサッカー競技のなかで、そのチームのメンバー表、フォーメーション、髪形、背番号、体型などから、遠い視点からの画像からでもリアルタイムで瞬時に判断し声を出さなければならないからである。倉敷アナは、この能力が飛び抜けて高い。サッカー通を自認する年季が入ったファンからも「なぜこのようなマイナーなチームのマイナーな選手の名前を瞬時に呼べるのか」と驚嘆されることもたびたびである。本人が時折漏らしているように、インターネットや現地新聞をも利用した幅広い情報収集と蓄積が彼の実力の基礎となっている(ただ、流石に早朝四時からの実況などでは、体力的にきついのか、ミスを幾度か繰り返すこともある)。また、試合中頭部など人体の急所を打って倒れている選手がいる場合(「試合を止めるべきです!」と声を張り上げたこともある)や、人種差別的なチャントが起こってしまったときなどの非常事態におけるコメントも非常に冷静で的確であることも評価につながっている。
選手名などの発音に対するこだわりから、なるべく現地の発音に近づけるように心がけており、例えばリーガ・エスパニョーラ所属のブラジル人選手の「r」音はリーガやUEFAチャンピオンズリーグではスペイン語読みの「ラ」行(例・ロナウド・リバウド)、W杯南米予選ではブラジリアン・ポルトガル語読みの「ハ」行(例・ホナウド、ヒバウド)と使い分けたりしている。そのため、発音が画面の日本語テロップとは必ずしも一致しない。
現地のサッカー用語を多用するのも特徴のひとつ。主審(スペイン語では「アルビトロ(a'rbitro)」、ドイツ語では「スィーツリヒター(Schiedsrichter)」)やイエローカード(スペイン語では「タルヘタ・アマリージャ(tarjeta amarilla)、ドイツ語では「ゲルベカルテ(gelbe Karte)」等。
また、独特の緩やかなテンポを持った、耳に快い美声とユーモラスな語り口には評価が集っている。フットボール文化について、現地の文化について、テニスやフィギュアスケートなど他のスポーツについてなど、多方面の知識を有しているのみならず、漫画やアニメ、特撮などのいわゆる「オタク文化」にも造詣が深く、実況の中にもこうした知識が「小ネタ」としてちりばめられる。「試合内容自体にはそれほど興味ないが、倉敷アナが実況するから観よう」というファンも多い。その一方で、非常に個性的でヒューモラスな独特のその実況スタイルは、「ふざけすぎ」との批判があることもまた確かである。しかし高水準のサッカー知識を楽しく伝えるというその実況は、サッカーは「エンターテインメント」で「も」あるとするファンからは、絶大な支持を受けている。 コンビを組む相手としては、「名コンビ」としてあげられるだけでも、リーガ・エスパニョーラやドイツ・ブンデスリーガでの金子達仁、リーガ・エスパニョーラでの幸谷秀巳、ブラジル全国選手権やW杯南米予選での向笠直、国際試合での原博実・粕谷秀樹とのコンビがあり、どんな解説者を迎えても水準以上の楽しい実況を実現している。
普段は冷静沈着な倉敷アナだが、宮川賢とのコンビになると、いつもの実況では考えられない辛口コメントを言い出したり、サッカーネタから下ネタまで幅広く笑いのツボを押さえており、ユーモアにあふれている。
[編集] 主な担当リーグ
- Jリーグ(1993年 - (スポーツ・アイ ESPN、J-SPORTSなど、現在はテレビ埼玉でさいたまダービーなど年間数試合を実況))
- ブラジル全国選手権(1993年 - 1998年(スポーツ・アイESPN)、2003年 - 2004年(J SPORTS))
- エールディビジ(1993年 - 1998年(スポーツ・アイ ESPN)、2002年 - 2006年(SKY PerfecTV!))
- ドイツ・ブンデスリーガ(1998年 - 2000年(J-SPORTS)、2004年 - (J SPORTS))
- リーガ・エスパニョーラ(1998年 - 2003年(J-SPORTS→J SKY SPORTS、ディレクTV))
- UEFAチャンピオンズリーグ(1995年 - 1996年(スポーツ・アイ)、2003年 - (SKY PerfecTV!、J SPORTS))
- コパ・リベルタドーレス(2004年 - (J SPORTS))
[編集] 出演番組
- Foot! (J SPORTS) コメンテーター
- 週刊サッカー・ナビ (GAORAほか) ナレーション担当
- NHKサンデースポーツ (NHK総合テレビ) ナレーション担当
- FIFAフットボール・ムンディアル (NHK-BS1、GAORA、J SPORTSほか) 日本語版ナレーション担当
- TBSラジオ夜な夜なニュースいぢり X-radio バツラジ専属サッカー解説者(番組側から勝手に命名)
[編集] 書籍
- 『実況席より愛をこめて』(徳間書店) 2002年4月17日刊 ISBN 4198615020
[編集] CD
- 「BEATS JAPAN」(DJ CELORY a.k.a. Mr.BEATS、ポニーキャニオン) 2004年4月28日リリース
- 「Half Time」、「Time Up」、「Kick Off」の作詞(実際には実況アナウンス)を担当
[編集] 映画出演
[編集] 実況を担当したサッカーゲーム
※いずれもナムコ(現・バンダイナムコゲームス)から発売
[編集] 関連項目
- サッカー実況アナウンサー一覧
- 金子達仁
- 八塚浩
- 西岡明彦
- 原博実
- 幸谷秀巳
- 向笠直
- 粕谷秀樹
- 土田晃之(2006 FIFAワールドカップ直前、「倉敷・土田のワールドカップlog」(SKY PerfecTV!)を担当)
- ゴジラ(「ゴジラ」シリーズDVDのオーディオコメンタリーを、ほぼ全作担当している)
- 宮川賢
[編集] 外部リンク
- 今夜はRocketPunch!- 本人の運営サイト。コラムなど
- 倉敷倶楽部 - 本人公認のファンサイト。名言集など