ライダーハウス
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ライダーハウスとは、オートバイ・自転車などでの旅行者を主な対象にする比較的簡易な宿泊場所・宿泊施設。北海道で開設されている施設が多い。施設に明確な定義は無いが、多くは男女別の相部屋で、寝具も寝袋持参で雑魚寝(ごろ寝)とするところが多い。寝具を提供しないことによって旅館業法の適用を免れている施設がほとんどである。いわば、テントの要らないキャンプ場とも言える。
元々カニ族向けに駅前などで提供されていた臨時宿泊所が転じたもの(帯広カニの家など)と、80年代以降のミツバチ族が増加した時期に開設されたもの、それらを経験した者が開設したもの(これは北海道に限らない)がある。
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[編集] 利用方法
利用方法は、利用当日の昼もしくは夕方(もしくは夜)に電話による確認または飛び込みで利用を申し込む形態が多い。予約制のところも存在する。 夜遅くの申し込みはオーナーや他の利用者に迷惑をかけてしまうことから避けたほうが無難である。
[編集] 施設の形態・状況
- 空き家や空き倉庫
- 客車・気動車など鉄道車両の廃車体
- 廃線となった鉄道路線の駅舎
- 土産物店、食堂・居酒屋・銭湯の2階や空きスペース
- 夏場に遊休中の施設(カーリング場など)
- 自治体などが設置する場合は専用のプレハブやテントを建てることもある
[編集] 料金
無料も珍しくなく、多くは数百円から1000円程度であるが、入浴や食事等が付いて1500円程度の場所も存在する。また、食堂や土産物店との兼営では、食事をしたり買い物をすることを条件に宿泊でき、または料金が無料となる施設もある。
[編集] 食事・風呂・便所の提供・状況
- 基本的に食事提供は無い。独自での食料確保か、自炊もしくは適宜近隣の食堂などで食べることになる。
- 宿泊者用の風呂は無い場合が多いが、近くの銭湯や温泉を紹介してくれる場合がほとんど。
- 宿泊者用のトイレ・洗面所がなく、近くの公衆便所を利用する施設もある。
[編集] 運営形態
個人のボランティアや地方自治体、自治会が町おこしの一環として運営しているものが多い。また、食堂や土産物店などが副業あるいはサービスの延長として運営しているものもある。また、ライダーハウスという名称であっても、旅館業法上の許可を受けてある程度の設備と料金で営業している宿泊施設もあり、この場合はユースホステルや低料金の民宿(「とほ宿」など)に近い形態となる。
[編集] 営業期間
本州では通年営業しているライダーハウスもあるが、北海道では6~9月の期間営業がほとんどである。
[編集] その他
- 宿泊者の多くは同じくツーリングを行なうライダー・チャリダー(自転車旅行者の俗称)なので、互いに気安くうち解けられ、情報交換したり、持ち寄りで即席の宴会などが発生するなど、コミュニケーションを図るには最適であるが、プライバシーは少なめである。
- 「ぬし」と呼ばれる長期宿泊者がおり、他の宿泊者に威圧的な態度で接し、嫌がらせ(飲食を強要する等)を働くこともあり、これを嫌ってライダーハウスを敬遠する者もいる。「ぬし」の発生を防ぐため連泊の制限をしている施設もある。
- 時期によってはコンブ干しや農作業などのアルバイトを紹介してくれる施設もあり、多少ながら旅費の工面ができる可能性もある。
- 北海道では、施設の老朽化、管理人の高齢化、利用者の減少・トラブル(後述)などが原因で閉鎖が相次いでいる。しかし、本州では、かつて北海道で利用した者が中心に、新規で開設する例も見られる。
- 初期のライダーハウス等には、ライダー側に「泊めてもらう」と言う暗黙の了解が存在した。しかし80年代末から90年代前半にかけて北海道を旅するライダーが急増した頃から「泊まってやる」と言う意識で「客」として扱う事を要求する者が増えて、ライダーハウス側の定めた条件を守らないなどのトラブルが多発。バイク雑誌への情報提供拒否や閉鎖が多発する原因となった。